Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

「タイタニック」重箱のスミ感想

2021-05-14 07:56:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


映画「タイタニック」を初めて見ました。

では公開当初はなんで見なかったのかなぁと当時のことを思い出してみたら、逆に見た映画は「ガタカ」。このジュード・ロウの輝きにクラクラしていた頃で、誰が見てもかっこよく作られた「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオは「太陽と月に背いて」の危なさはもうないなあ、ケイト・ウィンスレットは「乙女の祈り」でその美しさに惚れ惚れしたけど・・・とうるさいオタクになっていた、いや実は当時私が嫌いだった女が「タイタニック」とセリーヌ・ディオンが好きでカラオケで歌っていたのでものすごく嫌なイメージになってしまったのがホントのところでした。

今年になって「ディカプリオは眩いばかりに美しい」というさえぼう先生のフェミニスト本の一言が気になったのと、「アンモナイトの目覚め」で久々にケイト・ウィンスレットを見て、解説で彼女のキャリアの中でのタイタニックの大きさを知り、まあそれならば見ておこうかな・・・とhuluにあったので^^

昔嫌いだった女のことも24年も経ってるから忘れてたんですが、これってジェイムズ・キャメロン監督ってことも忘れてました!もうね、同じなんです、「ターミネーター」「エイリアン」と!私「エイリアン」はデザイナーのギーガーの画集を持ってたくらい好きだったんですね、それにあのジェットコースターのような怖いことが起こるのがわかっているドキドキ、実際に起こる、切り抜けた安堵、以下繰り返しが続く・・・のも同じでした〜 誰だよ〜ラブロマンス映画と言った人!

真面目な話、ディカプリオかっこいい話は否定しませんが、脚本がよくできてるな、とかアーティストで生存能力高いのは魅力だな、とか理屈で考えてしまいます。これはもうどうしようもありません。

でも予期してなかったところの感動の多い映画でした。まず船の造り。世界最大の蒸気機関船のエンジン室とか操縦室とか!石炭をくべてあの巨大な塊を動かしていたのか?!とびっくりです。その規模が大きくて、働く人たちが誇りを持ってキビキビと頑張れば頑張るほど、のちの事故を予期させて怖いんです。

下の操縦盤のような円系のパーツ、その昔日本人が夜も眠れなくなった黒船が来た下田のカフェで見たことがありまして、確かmade in ベルファーストではなくグラスゴーだったのですけど、その重厚さと手作り感が印象深かったので、映画で実際に使うところが見れて興奮してしまいました。



ベテラン船長は、この航海が最後の仕事とのことで、彼は避難が開始され部下が乗客の避難を誘導する中操縦室に戻りました。ここで思い出したのがラジオドラマ「キャビン・プレッシャー」で知った「キャプテンたるもの、沈みゆく船と命運を共にする」という概念・・・まさしく。

それとどうでもいいことですが、イギリスの上流階級の男性が救命胴着をつけず正装で最後を迎える、というシーンで、彼が手にしていたお茶はレモンティーだったのも印象的で。よくイギリス通の人が「イギリスでレモンを紅茶に入れるの見たことない」と言うようで、でも私はどこかで見たことがあった気がしたんです。それでそのシーンを見て「上流階級の習慣だったのか?!」と椅子の中で飛び上がりまして。

主役のカップル、ジャックとローズが仲良くなった3等室パーティーではケルトの曲が演奏されて、ふたりともアイリッシュダンスができたのがきっかけで意気投合したのも感慨深いものがありました。船の作られたベルファーストに敬意を払ってのエピソード?このずっと後のシーンで船が沈没始めてふたりが水から逃げるシーンでもケルトミュージックが使われていたし、あの大ヒット曲もエンディングで流れたらケルト調のメロディと多分楽器も!造船した15.000人のアイルランド人への敬意だったのかな。

上流階級の人から優先して救命ボートに乗せられる中、下々の人間はまだ鉄格子で下の船室に閉じ込められていました。その時子どもに恐怖を与えないようにママがおやすみのお話を聞かせていたシーンがこちら。「300年間幸せに暮らしました。・・・



あああ、タイタニック号はティル・ナ・ノーグの国へ旅立ったのです。

よくできた映画でした。ほぼ古さを感じさせないです。唯一ローズのフィアンセがどこを切っても100%ヤナ奴で、ローズを正当化するには完璧な理由でしたが逆によくできたディズニーみたいだ・・・と思ったもののディズニーだって今はそんなことしないのでやはり時代性なんですかね。

ローズは駆け出しピカソの絵を買った才能で画商にでもなれていたのか気になります。