乾酪庵 Cottage de fromage

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転載:『おおかみこどもの雨と雪』感想(ネタバレだらけ)

2024-01-07 18:00:00 | マンガ、アニメ、ドラマ

前回『未来のミライ』の感想を書きました。ついでに昔に書いた表題作の感想を某ブログから転載します(その記事はそちらからは削除予定)。

ちなみにこの時以来当該作品は観てません。

 

 写真AC

 

初出:2015年11月04日

録画しておいた『おおかみこどもの雨と雪』を観ました。

感想を書きますが、最初に言っておきますが、正直後味が悪く、救いのない話だな、と言うのが見終わった時の印象でした。

そんな感想でもいいという人だけ読んで下さい。
 

作品としてはつまらない訳ではなく、楽しめたと思います。私はつまらないと思ったら感想も書かないんですけど、そういう意味では何か引っかかるモノがあったのだと思います。

細かいツッコミどころは色々あると思うのですが、大きく言ってしまうと、『前半部分は要るのか』と。

雪(娘)に花(母)の半生を語らせる、という手法を取るなら、雪が物心付く前のエピソードはもっと大胆にカットしてしまった方がよかった。
  • (なんかよく知らないけど)二人は大学で出会ったそうだ。
  • (母は生前の父についてあまり多くを語りたがらないが)二人はとても愛し合っていたという。
  • (あんまよく覚えてないんだけど)私が小さい頃は都会に住んでいた。けど、色々あって母は田舎に移住する決意をした。
こんな感じでまとめて、母子が廃屋同然の家に引っ越してくる描写から始めても…ってソレなんてとなりのトトロ?

そう考えるとトトロってよくできてますね…。私ごときが言うのも何なのですが。

とにかく最初の方は『要らないよなぁ…』って思いながら観てました。監督としてはあそこ(乳児二人を抱えて奮闘するシーン)をやりたかったのかもしれませんけど。

ネットを見ると「大学生が無計画にフリーターの子を産んじゃって(二人も)、シングルマザーになって苦労する話」的な批判が見られるのですけど、20歳そこそこの女性が誰の助けも得られずにあの状況、昼は子育て夜は勉強…。

よく倒れなかったね。よく倒れないっていうかよくななかったね。

これって子育てする母親を応援ていうか礼賛してるつもりなんでしょうか。陰鬱な気分にしかならなかったですけど。

母親に限らず、日本人はぶっ倒れるまで働くのが美しいことだと思ってるフシがあるんだけど、このブログで何度か言ってると思うけどそれ違うから

他に違和感があったのは、児相の職員みたいな人が訪ねてくるシーン。あの人達はなんであんな描かれ方してるんだ。

誰も好き好んで『親子を引き裂く悪役』みたいな事をしてるわけじゃない。セリフは同じでもいいからせめてもうちょっと心配そうな顔させてあげてほしい。

花も別に普通に明日子どもたちが起きている時間に来て下さいって言えばいいだけで、子どもたちにも今日お客さんが来るけどいい子にしててねって言えばいいだけだ。

とにかく母子は逃げるように都会を後にするんだけど、母子にとっては田舎は都会よりは暮らしやすかったらしい。

それはよかったんだけど、花はいつオオカミ化(耳が生えたり鋭い爪が生えたり)するかわからない子どもたちを保育園にも預けられない。つまり子どもたちは世間から隔絶されたまま…。

小学校にすら上げたくないみたいでいくらなんでもムリだよね。二人の父親だって(彼がおおかみおとこだということを)何も知らない親戚の家で大学の講義を受けられるくらいの学力は身につけたんだから義務教育は受けてたと思う。

無事小学校には通えるようになるのですが、この辺から野生児のようだった姉(雪)は人間社会に溶け込んでいき、大人しい弟(雨)は学校に馴染めず孤独を深めていく。

弟がいじめられて姉が庇う…、という描写もあるんですけど、この二人はあまり仲良かったようには残念ながら見えない。

最終的に、弟はオオカミとして生きていくために家を出るんですけど、私には、「ねーちゃんにもかーちゃんにも世間にも理解されないので僕は家を出ます」という後ろ向きな印象しか受けないのだ。花も雪もそれでいいのか。



…と、そんな訳でなんともすっきりしない話でした。

もっとファンタジーに徹して、『奥様は魔女』みたいに、正体バレちゃう~、花、後ろ後ろ~みたいな話だったら同じラストでも素直に良い話だったって思えるのかもしれませんけど。それか逆に『火垂るの墓』みたく、制作者がどうぞ暗い気持ちになって下さい、ってスタンスだったら、ハイ、分かりましたって言えるのだけど。

コレ観てほっこりした気持ちになって下さいって言われてもなぁ~、私にはちょっと難しかったです。


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