セミナー内容をダイジェストで紹介している「カバラと『生命の木』」の、今回は第6回。
第5回までで「生命の木」の第1の三角形(至高の三角形)と第2の三角形(機能的三角形)について述べた。その第5回では最後に
至高の三角形たる第1の三角形が顕現世界の土台を形成するのに対して、第2の三角形は顕現世界そのものを形成するのである。
と書いたが、それは別の形で言い換えると、第1の三角形に表されているのは世界を成り立たせる実体を創造する力であり、第2の三角形に表されているのは成立した世界を発展させる力である、とも言える。
そして第2の三角形を構成する最後の1つ、ティファレトの背後には「生命の木」を横切るように「神殿の幕(パロケト)」が引かれる。これは第1の三角形の背後に横たわる「深淵(アビス)」の一段下に置かれた類似物で、「深淵」と同じようにこの「幕」は意識の裂け目を表している。それはつまり、第10セフィロトであるマルクトから始めて「生命の木」を上昇していく霊的修行において、第6セフィロトであるティファレトに至るには意識の変容が必要だということを意味する。
さて、「生命の木」の第3の三角形はネツァク、ホド、イエソドによって構成されるが、カバリストによってはこれを第3の三角形とは考えず、最後のマルクトを加えた四つ組みを1つのユニットとする考え方もある。ただここでは、第3の三角形+マルクトという形で「木」を解釈することにする。
ネツァクは「勝利」を意味し、対応する天体は金星(ビーナス)。よってネツァクの性質は愛や収穫に関わる。
「木」の上でネツァクと対置されるのがホド「栄光」で、天体では水星(マーキュリー)が配当されるので、分別、賢さ、ズルさなどと関わるほか、商業や幸運も司る。
このネツァクとホドはイエソド「基礎」に終着し、ここに第3の三角形が完成する。イエソドは物質界が築かれている捉えがたい土台であり、エリファス・レヴィとH・P・ブラヴァツキーによれば「アストラル界」だという。対応する天体は、受動的で上からのエネルギーを反射することで輝く月。カバラ的には、月の属性は死んでも活気のある身体であり、それはその一片まで能動的、破壊的な活力と魔術的潜在力に満ちている。
それゆえ、第3の三角形は魔術的三角形とも呼ばれる。
ここで、セミナーの中で更にイエソドについて語った部分のダイジェスト動画を。
さて、最後のマルクト「王国」は、均衡を取るべきいかなる三角形にも属さない(が、他の一切の影響力を受け入れる器である)こと、堕ちたセフィラであり「木」の他の部分から切り離されていること、四大の世界であり、物質は完全な形をなし、それは五感によって知覚することができることで、他のセフィロトと異なっている。
そしてまた、マルクトはこの下に続く「生命の木」にとってのケテルでもあるのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます