NHKの『クローズアップ現代』で2月に放送された番組が、2カ月以上たった今もメルマガなどで取り上げられている。それは、治療院で受けた施術によって健康被害が発生していることをリポートした、「肩こり解消で思わぬ被害」である。
治療院の治療でひどい目に遭った、というのは昔からよく聞く話で、何を今更、とも思わないではないが、NHKがそれを看板番組で取り上げたという意味は決して小さくない。それはつまり、「NHKが治療院での健康被害が社会問題になっている/なりつつあると判断した」ということだから。
この手の報道でよくあるのは、「国家資格を持たない者がやっているから危険だ」というステレオタイプの論調だが、この番組では柔道整復師などの国家資格者が急増していて、有資格者であっても十分な技術のない人間が施術を行っているという背景も踏まえて、単純な「無資格者=危険、有資格者=安全」のような図式にしていないところは評価できる。
それにしても、番組ではリラクゼーション業界が従業員教育に取り組んでいる様子などもリポートされているが、これを見ると「おお、業界も頑張ってるな」と思うよりまず、「え、お前らこんなことも知らずに施術してたのか?」と背筋が寒くなる。こりゃあ、いっぱい健康被害が出るわけだ、と思わずガッテン。NHKだけに。
また、柔整師の業界でも医師と連携して技術の向上に努めている、というリポートも出てくるが、そういうことに積極的に取り組む勉強熱心な先生は、そもそも施術で健康被害など起こさない、というのが本当のところ。
で、その番組がこれ。いつ消されてもおかしくないので、見るなら急いで
さて、ではそもそも、どこに行ったら安全で効果のある施術が受けられるのか、ということになるが、治療家をやっている私にも、これはもうわからないとしか言いようがない。
ウチの周りにも把握しきれないくらいたくさんの治療院、サロンがあるが、私はこれまでどこにも一度も行ったことがない。それは周りにいる先生が全員ダメだということではなく、そこがいいのか悪いのか判断できる情報がほとんどないからだ。情報発信してるところでも、出してるのはまるで何でも治せそうに読めてしまう胡散臭い情報ばかり(ウチも人のこと言えた義理じゃないけど、これについては、過去記事「ダメ治療にハマらない方法」も見てほしい)。
そんな中、病院などを含めた医療界全体を巻き込んで広告宣伝に厳格な規制をかけようという動きがある。例えば、接骨院や鍼灸院に対しては広告内容の監視や指導が強まりつつあるようだ。これについては、加藤孝氏のブログ記事「接骨院の違法広告から見る業界の今後」に詳しい。
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