『よしなしごと』

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

心の宝箱【恋はオンナをきれいにするが、失恋はもっときれいにする】

2024-09-29 17:27:42 | 心の宝箱


『オレンジシルク』神田茜01(新潮社2016/4/25)

ヒロインの印子は手品など興味のない信用金庫勤務の地味な30歳のOL。友人キヨミの恋人がマジシャンであった為、嫉妬半分、その世界を覗き見して、人気マジシャンのユウト出会う。ユウトに、やがてマジックそのものに魅せられていく印子はその世界を知ろうと入り込んでいってしまう。マジックというのは魅惑的な世界。虚構があって真実がある。目の錯覚で見える幻の裏に仕掛けが隠されている。最も虚構と真実が存在するのは手品の世界だけではないことに徐々に気づかされる。例えば印子の周りで起きる『オレオレ詐欺』。この手の行為もある種のマジックだ。悪質な犯人たちが作り出した不幸せな虚構。その中にある仕掛けを見破らなくてはならない。印子の恋だって、虚構と真実の間を彷徨い、一方的にユウトのファンになり、世話を焼く。拒絶はされないけれど、それは恋愛なのか? あるいは妄想なのか?想いを寄せる相手が何を考えているのか、印子をどう思っているのか、答えを見つけるのはマジックよりも難しい。この物語は虚構と真実が幾層にも積み重なっていて味わい深い。終盤に、大きな事実が明らかになる。なぜ『オレンジシルク』のモチーフはマジックでなければならなかったのか?マジックにはどこか危うい人を連れ去ってしまうような怖さがあるが、それとは真逆の力もある。人の心を温めるような不思議な力があったからマジックは人に愛されて受け継がれてきたのだ。


・恋はするものじゃなくて、落ちるものなの P8

・男性を一方的に想って追いかけるのは人生のなかで無駄な時間ではないか P54

・お金目当てに何かやってもらうのも情けないからねえ(略)
いきいきとして見えるのも、自分のために時間とお金を使うのだと、きっぱりと決めたからなのだろう P58

・恋をしたときには女友だちも必要だった(略)
誰かを好きになると、好きな気持ちを共有してくれる同性の友達がとっても必要だ P77

・恋はオンナをきれいにするが、失恋はもっとオンナをきれいにする P120

・ひとを好きになる気持ちには共感できるが、その相手の魅力というのは共感できない場合のほうが多い P150

・相手に見合うような女になろうって、努力するほうがいいんじゃないの?(略)
いい男と釣り合いがとれる、いい女になろうって努力するほうが、よっぽどポジティブじゃない?
見かけだけじゃなくて、内面的にも磨いて P174

・男は自分の仕事のことはなんにも知らない女のほうが好きなんだぞ P178

・好きなだけではエネルギーが切れるんだ P229

・同じことを続けることでわかってくることもある P246

・どんなことでも、近い未来に叶いそうな気がする P277




心の宝箱【今とはちがう人生を体験できないから、人は結局こうするしかなかったのだと思いこむ。やることはやったのだと考える。 そうすることで自分を納得させる】

2024-09-29 15:40:19 | 心の宝箱


『夜の側に立つ』小野寺史宜03(新潮社2018/8/20)

愛する女性の前で親友は死に僕が生き残った。
夜の湖で、どこかで間違えたのか?
誰にだって秘密はある。後悔もある。欲望もある。嘘だってつく。
この人がいなくなればと思うことだって、一度くらいはきっとある。
十代、二十代、三十代、そして四十歳になろうとする現在。
四つの時間軸を行き来して描かれた誠実な青春の残滓。


・人生にほかの選択肢はあったのか(略)
人は何かを選べるのか(略)
今とはちがう人生を体験できないから、人は結局こうするしかなかったのだと思いこむ。
やることはやったのだと考える。
そうすることで自分を納得させる P59

・やるべきことが明確になったのが大きい P67

・変えるなら、善くも悪くもそこに意志はなければならない P71

・練習で力を出せない人は本番でも力は出せない P81

・好きな人のことは離さないで P100

・環境が変われば気持ちも変わる P185

・忘れたいことは忘れないのだ。
忘れたいことというのは、多くが自身にとても強い印象を残しているものだから P205

・自ら動かなければ解決しない P217



心の宝箱【物事はただ努力すれば全て解決できるほど甘くはない】

2024-09-26 11:17:38 | 心の宝箱


『下町ロケット④ ヤタガラス』池井戸潤01(小学館2018/10/3)

 

社長の佃航平の閃きにより、
トランスミッションの開発に乗り出した佃製作所の挑戦はうまくいくのか?
ベンチャー企業のギアゴーストやライバル企業のダイダロスとの戦いの行方は?
帝国重工の財前道生が立ち上げた新たなプロジェクトとは?
実家の危機に直面した番頭の殿村直弘のその後は?
大きな挫折を経験した者たちの熱き思いとプライドが大激突。
準天頂衛星「ヤタガラス」が導く壮大な物語の結末は?
シリーズ第4弾


・商売ってのは人がやるもんだ(略)
世の中には、理解できないことも思うようにならないこともあるさ。
でもね、それはそれで受け入れていくしかないんじゃないですか P11

・怒り狂うことができればそのほうが楽なのかもしれない P24

・必ずしも人格者出世するわけではない P71

・新たな何かを生みだすときに必要なのは非日常的な力 P128

・物事はただ努力すれば全て解決できるほど甘くはない P170

・強気は、内に秘められた危機感の裏返しではないか P227

・陰口を叩く者には叩かせておけばいい。
人間はその歴史の中で、様々な差別や偏見と戦ってきた。
だがそれは、決してなくなることはない。
人前でせいぜいあからさまにしないだけの社会性を多少学ぶ程度だ P274

・カネに縛られるほど、無様なことはない P322



心の宝箱【人間というのは何もないときには助け合うが、問題が起きると途端に退いてゆく生き物】

2024-09-15 18:26:53 | 心の宝箱


『経済特区自由村』黒野伸一06(徳間文庫2015/6/15)

 

会社をリストラされ、大手外食産業ヘルシー☆ファストニッポンが提携するブロイラー養鶏場のオーナーとなった鈴木明男だが、その実態は隷属下請け業者だった。設備投資のための借金、劣悪な環境、鶏を工業製品のように扱う現場。キレた明男はファストニッポンの営業マンに暴力を振るってしまう。殺人の罪に怯え、逃亡した先に辿り着いたのは人里離れた山奥の神山田村。親切な老婆のこなたに助けられ、村で暮らし始めた明男はFEE=フリーエコノミー&エコロジーなる団体の存在を知る。脱マネーと自給自足を提唱するコミュニティで、若きカリスマ民人が率いるFEEの目的はどこにあるのか。
民人の正体とは? 格闘家の岬洋子、村の知恵袋こなたばあちゃん、不登校高校生の雅と彼女の義母、民人の取り巻き達、
各々の理由で神山田村に移住してきた人々。個性豊かな登場人物たちのエコをめぐる群像劇でもある。


・人間というのは何もないときには助け合うが、
何か問題が起きると途端に退いてゆく生き物 P79




心の宝箱【人に感謝されることのありがたみ。笑顔でお礼を言われると、次はもっと役に立ちたいと考える】

2024-09-15 12:52:56 | 心の宝箱


『脱・限界集落株式会社』黒野伸一05(小学館文庫2016/11/13)

 

限界集落と言われ、過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難だった止村は東京からきた多岐川優の活躍で、なんとか窮地を脱した。あれから四年。麓にはショッピングモールができるなど、止村は活況が続いている。そこへ麓の町の駅前開発計画が持ち上がり、世論は二分される。その争いは多岐川家の夫婦間にもおよび、美穂は家を飛び出し、住民投票での劣勢が予想される側である駅前商店街保存に奮闘する。現状維持か、都市開発なのか。
日本のそこかしこで直面している問題に切り込む地域活性エンタテインメントの続編。


・求められる快感というか。
頼りにされる優越感というか。
感謝される満足感というか P150

・他人の揚げ足を取ることしか頭になくて P184

・失敗しないためには、多くを求めなければいい。
小さくまとまれば、それだけリスクは少なくて済む(略)
ライフスタイルそのものは、人生の目標ではない。
そこそこ意義のある、こぢんまりとした生き方を身に付けたところで、
これから先の長い人生、いずれ退屈する時が来る P247

・人に感謝されることのありがたみ(略)
笑顔でお礼を言われると、次はもっと役に立ちたいと考える P312

・人の言うことを途中で遮り、
早口でまくし立てるのは、
ボロが出るのを恐れているためだ P345

・殴るのを自制するのは、殴っちまうより勇気のいることだ。
殴られたら、痩せガマンせずに、痛さをアピールすれば、相手にダメージを与えることだってできる。
相手は生涯罪悪感を背負うからな P432