『ホテル・コンシェルジュ』門井慶喜01(文藝春秋2013/2/10)
大規模ではないけれど、お客様に上質の時間を提供する京都の老舗ホテル『ホテルポラリス京都』には持ち込まれた相談をなんでも解決してしまう凄腕のコンシェルジュがいる。「盗まれた金の仏像を取り返して」「駐日アメリカ大使の暗殺計画を阻止せよ」「行方不明になった化粧品の訪問販売員を探してほしい」といった難題の数々をベテランコンシェルジュの九鬼銀平が新人フロント係の坂名麻奈を助手代わりにして、次々と解決していくコージーミステリー(ハードボイルドのニヒルでクールなイメージに対し、「地域社会が親密である」「居心地が良い」といった意味を持つ「コージー(cozy)」を使用し、日常的な場面でのミステリー)『みだらな仏像』『共産主義的自由競争』『女たちのビフォーアフター』『宿泊客ではないけれど』『マダムス・ファミリー』5話連作短編集。
・世の中には、生まれながらにすべてを手に入れている人がたしかに存在する P8
・固定観念というのは拘束服のようなものでして、いったん身につくと首がなかなか動かせなくなります。
つまり視覚が動かない P155
・冷静さや公平さは、人間の物欲の前ではしばしば最悪のアジテーションになる P179