昨日の参議院本会議で公職選挙法に規定される被成年後見人の選挙権排除規定の削除が可決され、この夏の参議院選挙から、被後見人に選挙権と被選挙権が認められることになりました。
改正前民法では、意思能力が十分でない人は「禁治産者」あるいは「準禁治産者」という扱いにより様々な人権が奪われていました。成年後見制度はそれに代わるものとして介護保険制度の導入を機に、ノーマライゼーションの理念の趣旨に沿って、高齢者の自己決定の尊重、残存能力の活用、財産の保護などを目的として導入されました。
しかし一方で、旧民法の考え方を引き継いだ面もあり、「後見人」がつくと「選挙権が無くなる」「公務員になれない」など、憲法が保障する権利は失われたままでした。
現実の問題として、後見人をつける必要がある人が選挙権を行使できるとか?とか公務員試験に受かるの?という疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが、基本的人権の保障や法の下の平等を「全ての人に付与する」のが基本原則であって、それを行使するかどうかは個人の自己決定や選択の自由ということになります。(成年後見制度には、判断能力よって「保佐」とか「補助」という形もあり、その場合は選挙権は行使できます)
今回の公職選挙法改正のきっかけは、ダウン症の女性(とその後見人である父親)が2011年に「自分に選挙権がないのはおかしい」と提訴し、この3月、東京地裁が違憲判決を出したことによりますが、知的障がい者の方が成年後見制度を活用するようになったのは、2003年(H15年)に福祉制度が「措置」から「契約」に変ったことが契機となっています。
行政の一方的な「措置」(実際多くのケースは同意を得てから行われますが)から、サービス提供者と利用者が対等な関係となり、「契約書」を取り交わすことになったことは劇的な改革でした。
しかし、それまで、当事者に代わり、様々な手続きを代行していたのは多くの場合「親」でした。当事者が未成年の間は「未成年後見人」として、その立場が保障されていますが、ひとたび成人を迎えると「後見人としての親」は「ただの親」(法定代理人では無い)となり、本人に代わって契約行為などはできない事態となってしまいます(その後、厚生労働省は福祉サービスの利用については家族の契約代行を認めていますが…)。
そのため、家族が家庭裁判所に申し立てを行い、「親」や「兄弟」が成年後見人となるケースが一気に拡大しました。中には、司法書士や社会福祉士などの第三者に後見を依頼する方もいました。
それと同時に、選挙権を持っていた多くの知的障がい者や高齢者が投票権を失いました。
それまで選挙の度に投票に行くことを楽しみにしていたご本人に、突然、「あなたは被後見人なので選挙権が無くなりました」と宣告されたのは、大きなショックだったと思います。
一人の行動が政治を動かす大きな力となった今回のニュースを聞いて、今の閉塞した社会的状況にスコーンと風穴を開けてもらったような気がしました。
夏の参議院選挙では、13万6000人の人が選挙権を回復するそうですが、過去に例があるように施設に入所中のお年寄りへの強要やナリスマシ投票をもくろむ輩も現れないとも限りません。
また、今回は公職選挙法に焦点が当てられましたが、成年後見制度で阻害されている他の権利にも目を向けていく必要があるようです。
補足ですが… 全国の被後見人の数が13万6000人というのは、意外と少ないのではないかと感じました。手続きが面倒、医師の鑑定料や第三者後見人への謝礼の問題などがあるのでしょうか…
お年寄りの場合は、(想像ですが)年々一定数で推移していくということもあるかもしれませんが…
改正前民法では、意思能力が十分でない人は「禁治産者」あるいは「準禁治産者」という扱いにより様々な人権が奪われていました。成年後見制度はそれに代わるものとして介護保険制度の導入を機に、ノーマライゼーションの理念の趣旨に沿って、高齢者の自己決定の尊重、残存能力の活用、財産の保護などを目的として導入されました。
しかし一方で、旧民法の考え方を引き継いだ面もあり、「後見人」がつくと「選挙権が無くなる」「公務員になれない」など、憲法が保障する権利は失われたままでした。
現実の問題として、後見人をつける必要がある人が選挙権を行使できるとか?とか公務員試験に受かるの?という疑問をお持ちの方もいるかもしれませんが、基本的人権の保障や法の下の平等を「全ての人に付与する」のが基本原則であって、それを行使するかどうかは個人の自己決定や選択の自由ということになります。(成年後見制度には、判断能力よって「保佐」とか「補助」という形もあり、その場合は選挙権は行使できます)
今回の公職選挙法改正のきっかけは、ダウン症の女性(とその後見人である父親)が2011年に「自分に選挙権がないのはおかしい」と提訴し、この3月、東京地裁が違憲判決を出したことによりますが、知的障がい者の方が成年後見制度を活用するようになったのは、2003年(H15年)に福祉制度が「措置」から「契約」に変ったことが契機となっています。
行政の一方的な「措置」(実際多くのケースは同意を得てから行われますが)から、サービス提供者と利用者が対等な関係となり、「契約書」を取り交わすことになったことは劇的な改革でした。
しかし、それまで、当事者に代わり、様々な手続きを代行していたのは多くの場合「親」でした。当事者が未成年の間は「未成年後見人」として、その立場が保障されていますが、ひとたび成人を迎えると「後見人としての親」は「ただの親」(法定代理人では無い)となり、本人に代わって契約行為などはできない事態となってしまいます(その後、厚生労働省は福祉サービスの利用については家族の契約代行を認めていますが…)。
そのため、家族が家庭裁判所に申し立てを行い、「親」や「兄弟」が成年後見人となるケースが一気に拡大しました。中には、司法書士や社会福祉士などの第三者に後見を依頼する方もいました。
それと同時に、選挙権を持っていた多くの知的障がい者や高齢者が投票権を失いました。
それまで選挙の度に投票に行くことを楽しみにしていたご本人に、突然、「あなたは被後見人なので選挙権が無くなりました」と宣告されたのは、大きなショックだったと思います。
一人の行動が政治を動かす大きな力となった今回のニュースを聞いて、今の閉塞した社会的状況にスコーンと風穴を開けてもらったような気がしました。
夏の参議院選挙では、13万6000人の人が選挙権を回復するそうですが、過去に例があるように施設に入所中のお年寄りへの強要やナリスマシ投票をもくろむ輩も現れないとも限りません。
また、今回は公職選挙法に焦点が当てられましたが、成年後見制度で阻害されている他の権利にも目を向けていく必要があるようです。
補足ですが… 全国の被後見人の数が13万6000人というのは、意外と少ないのではないかと感じました。手続きが面倒、医師の鑑定料や第三者後見人への謝礼の問題などがあるのでしょうか…
お年寄りの場合は、(想像ですが)年々一定数で推移していくということもあるかもしれませんが…
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます