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国訳一切経 本縁部 二

2014-07-21 07:37:20 | 仏道 
樹下誕生品 第六の下


(9) 菩薩生まれ已るや、人の扶持するなくして即ち四方に行き、面ごとに各七歩し、歩歩足を舉ぐるや

   大蓮華を出し、七歩を行き已りて四方を観覗し、目未だ曾て瞬かず、口自ずからに言を出す。
   

   先ず東方を観て、彼の小嬰孩 の言の如くならず、自らの句偈に依って正語正言すらく

   『世間の中、我れ最勝たり、我れ今日より、生分已に盡く」と。

   此れは是、菩薩希奇の事、未曾有の法なり。餘方も悉く然り。

   初め生まれし時、人の扶持するなくして四方の面に於いて各七歩を行くは、如来佛道を成ずるを得已りて、

   七助道菩提法分を得たり。此れは是、如来住先の瑞相なり。菩薩生まれ已りて四方を観覗るは、如来佛道を成ずるを得已りて、

   具足して、四無畏の法を得たまう。此れは是如来住先の瑞相なり。

   菩薩生まれ已りて口に自ら、『我れ世間に於いて最も殊勝たり』と唱言せるは如来佛道を成ずるを得已り、

   一切世間の諸天及び人悉く皆尊恭敬承事したてまつる。此れは是、如来住先の瑞相なり。

   菩薩生まれ已りて口に自ら、『我れ生死を断ず、是れ最後邊なり』と唱言せるは、如来佛道を成ずるを得已りて、一に語るが如く

   行いたまえり。此れは是、如来住先の瑞相なり。

   
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