銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

文化浴泉

2017-03-19 12:32:15 | 銭湯
東急田園都市線池尻大橋から商店街を歩いて5分。お隣は渋谷ということだが、こちらは落ち着いた雰囲気の商店街だ。ただ所々には東京ならではのお洒落なお店もあり、ほかとは違った雰囲気を漂わせている。
訪れたのは10時頃。開店して間もなくの時間帯だった。文化浴泉は最近リニューアルしたらしく、のれんからして現代的な新しさを感じさせる。入口の下駄箱は札が木製。このあたりは新旧ない交ぜの演出だろう(脱衣場の体重計も昔の目盛りタイプ。このタイプは精度が低いのであまり好きじゃないのだが…)。扉を開けると小さな休憩室と受付カウンターがある。椅子の前には大きなテレビが設置してある。
カウンターで料金を支払い、下駄箱の札を預け、ロッカーの鍵を受け取る。マンションの一画にある施設だが、内装のデザインはとにかく洗練されており、素晴らしい。脱衣場に入ると、人が多くごった返していた。年齢層は偏っておらず、このへんは魅力ある銭湯の証拠だろう。浴室に入ると、手前側がカラン、奥が浴槽。右手奥にはサウナ(別料金で300円)がある。浴槽の頭上には、丸で囲われたペンキ絵の赤富士。LED照明が当てられている。隣の女湯はまた違った絵柄の富士山のようだが、これも素晴らしい。今まで体験してきた中で、ここが一番お洒落ではないだろうか。これは来て良かったと思えた瞬間だった。スーパー銭湯でもここまで洗練された施設は期待できない。ただ、すべてが小さく、狭い。湯船も実質、二つのみ(ほか水風呂がある)。ジェットバスと薬湯。薬湯は、レモンだったが、レモンの香りは皆無である。ここは水にこだわってるらしく軟水が売りなのだが、肌音痴の自分としてほかの水道水と比べて違いが分からなかった。多分感性が豊かな人や経験値の高い人には違いが分かるのだろうけれども…。
水温は、薬湯が46℃を示していたが嘘だろう。隣のジェットバスが42℃。こちらが本当なはずだ。感覚的に両方とも変わらない。しかし、温度計が壊れてる銭湯が多すぎないだろうか? こういう設備がしっかりした銭湯でもこうなのだから、温度計というのは壊れやすいものなのか。
文化浴泉に来て発見したのは、設計デザインが素晴らしいだけで、これだけ居心地がいいのかということだった。軟水以外に設備で目新しさはないが、デザインによって銭湯の可能性の広がりを感じた。地元横浜にも是非こうしたモダン銭湯ができてほしいと思った。

評価チェック箇所
・値段 460円
・アクセス(道程) 近い
・周辺の店 コンビニやレストラン、カフェいろいろある
・休憩所 小さい
・混雑ぶり 非常に混んでる
・清潔さ 清潔
・接客 あまり愛想はよくない
・客層 年齢層はバランスが良い。背中に絵を描いた人も
・脱衣所 綺麗だが混んでる
・キャパシティ 足りない
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 良い。カランのデザイン、機能ともに
・温度 ちょうどよい
・高低差 なし
・眺望 内風呂のデザインが素晴らしい。見入ってしまった
・食事 なし

福美湯

2017-03-17 08:00:19 | 銭湯
JR菊名駅を下車して、改札口反対側にある綱島街道を歩くこと5分。中華料理店の脇に福美湯をみつけることができる。
受付は番台タイプではなくカウンター式。客は年齢層が低く、一般的な銭湯にしては非常に若者が多い。入ってすぐの休憩所には、テーブル型の水槽。奥にはマッサージ機があり、そのマッサージ機の周りにはドライフラワーが取り囲む。経営者の趣味全開の店である。それと横には乾燥機が併設されている。
料金を払って脱衣場に入ると、一画には個人名の記されたロッカーがある。常連客用だろうか? 飲食店ではボトルキープという言葉があるが、ここではロッカーキープができるようだ。左手にはテラス。ストーブまで用意されている。床材はおそらく竹製で、水がたまりにくい構造だ。山岳の写真や中国風の蛸が飾られるなど随所にこだわりを感じさせるが、いかんせん休憩所とおなじく統一感がない。浴室の入り口には乾燥機とはべつの洗濯機がある。
浴室は外からみた想像よりも小さく、左手に水風呂、サウナ、露天風呂と続き、右には薬湯、岩盤泉、寝湯ジェットバス、炭酸泉と並ぶ。炭酸泉は、個人経営の銭湯では非常に珍しい。それと、炭酸発生装置がむき出しなのもはじめてみた。炭酸泉の濃度、広さは申し分ない。
刮目すべきは内風呂の壁画で、小さなタイルを用いたモザイク画。男女湯を通してひとつの絵となっているが、下絵に沿って一つひとつタイルを選びなが貼っていたことを考えると気の遠くなるような作業だったろう。一般的な銭湯では日本各地の景勝地がモチーフとなるが、ここでは湖畔に佇む西洋のお城。背景には均等の取れた山が連なっている。当時としては慣習に捕らわれない斬新な絵だったのではないだろうか。
建物は外側からみるとやや古さが目立つが、内装は先述したようにこだわりを感じさせ、よく手が行き届いている。清潔感もあり、若い人たちに支持される理由も分かる気がする。

評価チェック箇所
・値段 470円
・アクセス(道程) そこそこ近い
・周辺の店 商店街を通るため、飲食店が充実してる
・休憩所 経営者の趣味全開
・混雑ぶり そんなでもなかった
・清潔さ きれい
・接客 素っ気ないが、悪い気はしなかった
・客層 中年か若者
・脱衣所 ここも趣味全開
・キャパシティ 一つひとつの湯船は小さいが十分
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 普通
・温度 ちょうど良い。理想的
・高低差 なし
・眺望 内風呂の壁画が素晴らしい。露天風呂の眺めはそんなに良くない
・食事 なし

千代田湯

2017-03-15 19:24:49 | 銭湯
昔ながらの銭湯はたいてい住宅街にあるが、千代田湯は商店街の中にある。東急白楽駅から徒歩2~3分と好立地である。
表からは見つけにくいが、裏路地に入ればすぐにみつけることができる。
銭湯といえばレトロの代表格。千代田湯はそうした昭和の面影を追い求める人たちにとっては、格好の場所だろう。ただ本当に銭湯としてのサービスを求めるなら、ちょっとお勧めできないかもしれない。
入り口の外に下足箱があり、扉を開けると番頭が座っている。
先客が数人入浴してるが、会話は一切聞こえてこない。聞こえてくるのは、シャワーや体を洗う音だけ。脱衣場では、小さなテレビがニュースを流していた。建物はたしかにレトロ風情。天井も高く、典型的な昔ながらの銭湯だ。ただ、お世辞にも手入れができているとはいえない。とにかく全体がボロく、雑然としている。
浴室に入ると、手前側にカランが並び、奥に浴槽がある。奥左手に薬湯。その右手にメインとなるバイブラと、おそらく単なる水道水。それと右手に寝湯のジェットバスがある。ジェットバスはなかなか勢いがあり、ボコボコ音を立てていた。
はじめて来る銭湯は、最初にどれぐらいの熱さなのか手を入れて確認するのだが、千代田湯の場合はとにかく熱すぎた。
薬湯のほうはそれほどでもないのだが、それでも感覚的には41~2℃。温度計をみると34℃。完全に壊れてる。今度は熱すぎる湯船に覚悟して入ってみると、足が熱いというか、痛い。氷のはった水に手を突っ込んだときのような痛覚がある。
しかし、こんなに熱くて客は入るのだろうか? 自分が浴室に滞在してる間(およそ30分の間)に入ったのは、二人だけ。そのうち、一人は入ってすぐに出てしまった(ほんとうに数秒)。ジェットバスに反復浴する人はいたが、バイブラ湯には入らなかった。結局まともに入ったのは自分だけで、入浴しながらバタ足をしたり出入り口の縁で座り込んだりと自由を満喫させてもらったが、やはり肩まで浸かってると怒りがこみ上げくるほど熱い。
おそらく昔の人はこれぐらいの熱さに慣れっこだったのかもしれないが、銭湯側としても客の回転を早める措置もあったのではないか。
今の時代は自宅にお風呂をもつ人がほとんどで、そうした家庭では40℃前後のお湯が一般的だ。そうした温度に慣れてしまった人たちからすると47~8℃(おそらくそれぐらいだったろう)の温度など尋常じゃないし、そもそも体にも良くない。
そうした気配りの無さが一事が万事すべてにあらわれている。脱衣場の汚さや愛想の悪さも含め、サービス精神の欠片も感じられない。
昭和の懐かしさを求める人には「夢と魔法の国」かもしれないが、純粋に銭湯を楽しむ人にとっては、ひどく落胆させられる施設だ。
落語の若手を招いて公演会を開くなど、文化的な活動を積極的にやってるらしいが、そうした予備知識があっただけに期待はずれの印象は拭いきれなかった。
ちなみにウェブマガジンの「はまれぽ」では、人情味のある銭湯という風に紹介していたが、銭湯に入って誰一人として話し声を聞かずに退店したのはこの銭湯がはじめてである(番頭も一切口を開かなかった)。
地元に愛される銭湯は、客同士で会話が弾んでいるものだ。そうした姿をみかけなかっただけに、人情とは無縁の悪い意味で昔ながらの銭湯ではなかったか。

評価チェック箇所
・値段 470円
・アクセス(道程) 近い
・周辺の店 商店街なので、色々と充実してる
・休憩所 落ち着かない
・混雑ぶり ガラガラ
・清潔さ 汚い
・接客 悪い
・客層 年配か中年
・脱衣所 怠惰な雰囲気
・キャパシティ 客が少ないので十分
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 良くない
・温度 熱すぎ
・高低差 なし
・眺望 天井が高い
・食事 なし

おふろの王様町田店

2017-03-14 07:59:35 | 銭湯
おふろの王様町田店は、JR町田駅から送迎バスで15分。歩くと20分前後。バスと歩きの時間差はそれほどないので、待ち時間によっては歩いたほうが早いかもしれない。
町田店とあるが、実際の所在地は相模原市。町田駅が最寄り駅ということで、わかりやすく町田店にしたのだろう。
もともとやまとの湯という経営母体が異なるスーパー銭湯だったが、おふろの王様に売却され、1年以上掛けてリニューアルオープン。リニューアルしてからはそれほど日が経ってないため、建物としてはきれいなほうだ。施設の大きさは一般的なスーパー銭湯と比べ、そんなに大きくはない。
概観すると、突き抜けて良いという点はないのだが、一方で悪い点も見あたらない。
こういう悪い点が見あたらない店舗のほうが、自信をもって人に勧めやすい。
入ってすぐ左側に下足箱。向かって右側に受付がみえる。その真ん中にチケットの販売機。少し奥には散髪屋がある。
浴室は二階にあり、階段をあがるとすぐに脱衣場がある。脱衣場も決して広くはないが、狭くもない。絶妙なあんばいだ。
浴室は、左側をほとんどカランが占めており、真ん中よりにおふろの王様では最大級の炭酸泉、右側にサウナ、水風呂、ジェットバスなどが配置されてある。露天風呂は天然温泉で、関東ではお馴染みの黒湯だ。奥に壺湯があるが、スーパー銭湯にしても少しぬるめ。メインの露天風呂には大型テレビが設置されており、大抵の人はテレビをみながら露天風呂に浸かっている。露天風呂はやや温度が高めだが、それでも41℃前後だろう。
スーパー銭湯としてはコンパクトでかつシンプル。初めての人でも、だいたい一目で店内の構成が分かる。しかも標準の設備を一通り用意してあるので、不満に感じることは少ないはずだ。
大きなガラス扉からは自然光が注がれるので、晴れた日はとてもいい雰囲気になる。
客層は基本的に年配者が多いが、午後になると若者がやや増える。一階には、おふろの王様には珍しくミニゲームセンターがある。どちらかというと、親子で楽しむゲームが主体だ。
大きい店は大きい店ならではの特化したサービスがあるが、町田店はスーパー銭湯としては最低限。だが、このシンプルさこそが町田店の良さだろう。何度も訪れたいスーパー銭湯のひとつである。

評価チェック箇所
・値段 スーパー銭湯では普通
・アクセス(道程)駅からやや距離がある
・周辺の店 住宅地にあるが、近くにセブンイレブンがある
・休憩所 物足りない
・混雑ぶり 午前中は余裕がある。14時頃は明らかに混んでくる
・清潔さ きれい
・接客 良い
・客層 年配者が目立つ
・脱衣所 きれい。ただ、たまにトイレの臭いを感じることがある
・キャパシティ 十分。炭酸泉のみどこでもそうだが、混雑してる
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 良い
・温度 まあまあ
・高低差 なし
・眺望 内風呂からの露天風呂の眺めは良い。露天風呂から外の眺めは空のみ
・食事 食べてない

仲乃湯

2017-03-13 06:44:19 | 銭湯
横浜市営地下鉄阪東橋駅から歩いて10分ほど。あるいはJR石川町から高速道路下の川沿いを歩いて20分ほど。下町の中に入ったところに仲乃湯はある。









昭和のドラマにそのまま出てきそうな佇まいで、建物の中に入るとタイムスリップしたかのような錯覚さえおぼえる。外の下駄箱から男女の入り口が分かれており、中に入るとすぐに番頭と顔を合わせる。仲乃湯の特徴はなんといってもその豪華な宮造りだ。天井が非常に高く(昔の銭湯にみられる典型的な構造だが)、時代とともに成熟した色合いは作為的に作れるものじゃないだろう。男湯の脱衣場からは、ガラス越しに露天風呂を眺めることもできる。ぶら下がり健康器具もあり、店内に流れるのはもちろん演歌だ。扉を開けると、前後にカランが並んでおり、シャワーがない!
シャワーがないのは不便だが、これが昭和スタイルなのかと勝手に思いこんでいたが、よくよく見れば左手にカーテン付きのシャワーがある。右端のカランもシャワー付き。シャワーがないのは、真ん中の2列だけだった。そもそもなぜカーテン付きなのかよく分からないが。
浴槽は、日替わりの薬湯、水道水の風呂、電気湯、ジェットバスだ。薬湯は41℃ぐらいで、水道水のお風呂は45℃。露天風呂は42℃と、銭湯としては理想的な数値だ。
特に露天風呂は凝っている。一見すると、どこか地方にある旅館の露天風呂を彷彿させる。また熱すぎないので長湯できるのもいいだろう。ただ、ちょっと気になるのは、仲乃湯が住宅密集地のど真ん中にあるため、隣は普通の住宅。露天風呂からの眺めは決していいとはいえない。もっと言えば、隣の住人がその気になれば窓をあけて覗ける距離だ。
もう一つ強調したいのは、番頭に立つ女性の対応が素晴らしかったこと。入った瞬間から安心感ある雰囲気。そこそこ年配の女性であったが、愛想もよく、なんともいえない感じの良さだった。
やはりどんなサービス業でもそうだと思うのだが、すべては人が作るもので、いくら立派な建物があっても人がいい加減だとすべてが台無しになる。
入店したのは開店して間もなくだったが、思いのほか人が入っていた。弾んだ会話が聞こえてきて、地元客であることが分かる。ほぼ高齢者ばかりで、自分が入った時は若いといえる人は一人ぐらい。店の歴史とともに客も歴史を重ねてきた人たちばかりであった。

評価チェック箇所
・値段 470円
・アクセス(道程) そこそこ歩く
・周辺の店 住宅地にあるが、近くにセブンイレブンとローソンがある
・休憩所 椅子とテーブル。テレビなど野暮なものはない
・混雑ぶり それほどではない
・清潔さ きれい
・接客 素晴らしい
・客層 高齢者が目立つ
・脱衣所 開放感がある
・キャパシティ 間に合ってる
・洗い場仕切りの有無 シャワーにカーテンがついている
・シャワーの出 よい
・温度 ちょうどよい
・高低差 なし
・眺望 外の眺めは住宅街しかみえない。ただ、建物中の開放感は最高だ。三階建ての高さほどあるが、上の窓をどうやって開けてるのか気になった
・食事 なし