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年金制度継続でも、暮らし破綻

2019-08-30 18:23:37 | 脱原発
根本的に年金の担い手の強化や財政の改善改革強化こそ重要なのに、基礎年金が3割減になっても、貧困化問題を深刻化して暮らしが破綻していても、マクロ経済スライドの弊害が明確になっても、それらを改善することに、うわべの・誤魔化しの改革より出来なくなっている、安倍政権に取って代わる政権がますます必要になってきています。
このことを簡単・明確に報道、解説している、しんぶん赤旗8月29日の抜粋記録を保持します。


年金財政検証(しんぶん赤旗8月29日:抜粋記録保存する)
年金制度持続でも、暮らし破綻
         マクロスライドの弊害明確

公的年金の給付水準を自動削減する[マクロ経済スライド]が導入(2004年)されてから3回目となった厚生労働省による公的年金の「財政検証」-。27日に公表された検証結果は、マクロ経済スライドで年金制度は維持しても、年金生活者の暮らしは一層立ち行かなくなることを明確に示しました。
基礎年金が3割減
財政検証は、5年ごとに公的年金の収支や給付の見通しを示すものです。厚生労働省は今回、経済前提の異なる六ケースについて試算。経済成長と雇用の拡大が進むケース3では、「モデル世帯」(夫は40年間会社員、妻は事業主婦)の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準)が将来にわたって50%以上が確保されるとしました。
財政検証を受け、根本匠厚労相は「(年金制度は)おおむね100年、持続可能なものになる」と述べたと報じられています。
しかし、財政検証が示しているのは、今でも低い年金給付を2割も減らすという事です。現在61.7%の所得代替率は最終的には5割に切り下げられます。しかも50%を確保されるのは、おっとは40年間会社員、妻は事業主婦という極めて限定的な世帯です。そのうえ、給付水準は年金の受け取り開始後に下がり続け、モデル世帯でも50%を割り込みます。
国民年金(基礎年金)にしか入っていない自営業者やパート労働者、現役時代の給与が低く報酬比例部分が少ない厚生年金加入者はいっそ深刻です。今回の財政検証では、マクロ経済スライドによる給付抑制の大部分が基礎年金で実施されることになっているからです。給付の削減幅はケース1~3で3割になります。
すべての国民に健康で文化的な生活を保障する上で、基礎年金の底上げこそ求められているのに、それに逆行するものです。
財政検証が公表された27日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会では、複数の委員が、基礎年金部分の削減割合が大きいことを問題視。一方、経団連の委員からはマクロ経済スライドの効果を高く評価する声が上がりました。
貧困問題を深刻化老後に年金だけでは3千万円不足するという金融審議会(財務相の諮問機関)の報告を契機に国民の年金不振が噴出した際、安倍首相は「誤解を与えた」と繰り返した。しかし、年金だけでは暮らせないのは現実です。
厚労省の2016年の「老齢年金受給者実態調査」によれば、年金給付が年額50万~100万未満の65歳以上の世帯でも、年間の平均支出額は約163万円に上ります。不足額は単純計算で113万~63万。「衣食住」[光熱費]「医療・の介護費の負担」「税金・社会保険料」という、生きていくうえで欠かせない費用だけで支出の8割、129万円を占めます。年金給付が100万~150万円未満の不足額も98万~48万円です。
基礎年金が低いことが高齢者の貧困を深刻にしています。人口に占める生活保護受給者の割合は、全体が1.6%で横ばいになるなか、65歳以上は10年の2.51%から16年の2.89%へと急上昇しています。
基礎年金の満額は現在月額6万5千円、年額でも78万円にすぎません。安部政権は高齢者雇用の拡大を経済成長に位置付けますが、年金が少ないため受給年齢になっても働かざるを得ないのが実態です。マクロ経済スライドによる給付抑制は、こうした高齢者の暮らしを直撃し、さらに貧困問題を深刻化します。
担い手の強化こそ
厚労省は今回の財政検証で、マクロ経済スライドで給付水準が下がった場合でも、就労期間を60歳から65歳に延長し、年金の加入期間を伸ばすなどすれば、一定水準の年金給付を確保することは可能と主張。来年の通常国会で就労期間の延長を促す法案を提出する方針です。マクロ経済スライドに手をつけずに、国民一人ひとりに老後の自己防衛を求めるものです。マクロ経済スライドを廃止し、基礎年金の大幅削減の歯止めをかけ[減らない年金]に変えることが、年金制度改革にとってなによりも重要です。
日本共産党はマクロ経済スライドの廃止を主張し、そのための財源として、高所得者優遇の年金保険料見直し、約200兆円の年金積立金活用(過大に積み立てられ株価下支えに使われ残高は50年間増えることはあっても減ることはない)、賃上げと非正規労働者の正社員化による担い手強化―という現実的提案をしています。
安倍政権は、マクロ経済スライドに固執するとともに、裁量労働制の拡大などさらなる労働法制の緩和を狙っています。厚労省も「経済成長と労働参加を促進することが、年金水準確保のため重要だ」とみとめながら、向いている方向は正反対です。これでは年金制度の矛盾は一層深刻になります。
抜本的な賃上げと正社員かは、年金財政に寄与するとともに、内需を底上げし経済を底上げします。結婚や出産・子育てのハードルを下げ、少子化の克服にも有効です。ここにこそ老後の「希望]があります。



年金制度の将来:安心の底上げを図れ

2019-08-30 11:23:42 | 脱原発
5年ごとの年金財政検証(1019年8月28日) (中日新聞社説:抜粋)
       年金制度の将来
           年金で安心の底上げを図れ

****将来の公的年金の財政見通しを示す検証結果は、年金額の目減りを改めて示した。少子高齢化を乗り越える知恵を集め、安心の底上げを図りたい。(図るべきだ)****
5年ごとに実施される財政検証は健康診断にたとえられる。今回の検証結果は政府に言わせると「とりあえず大丈夫」というが(・・本当だろうか)。
だが、それは年金額の目減りと引き換えに制度を維持できるという見通しだ。
(そのため安心の底上げを図る将来の年金制度を、すなわち給付を増やす改善策をただちに議論し、その方策を国民示すこと急を要する。)
続く受給額の目減り
年金制度は、現役男性の平均手取り収入の5割を給付額として最低保証することを国民と約束している。・・・それが100年先まで可能かを見通すのが財政検証だ。(そのやり方は、)経済成長が進むケースから進まないケースまでの6通りで試算した。
まず、5年後の次の検証時には6割程度を保証できると試算した。そのうえで経済成長が進む3ケースでは将来にわたり将来にわたり制度を維持できる結果となった。
制度は現役世代の賃金が財源となるため経済動向の影響を受けるが、将来それがどうなるか(は)分からないのも事実だ。・・・実際、5年前の前回検証で想定した前提と比べると、物価や賃金は伸び悩んだ。一方、高齢者など働く人は想定より増えて制度の支えては増えた。・・・あくまで検証結果は将来を考える目安(にすぎない)と理解したい。
問題は別にある。
制度を維持する仕組みだ。
政府は、2004年の制度改正で考えを大きく変えてしまっている。それまでは必要な年金額を賄うために現役世代が支払う保険料を決めていた。それでは増える高齢者の年金を支える現役世代の負担が大きくなるため、保険料に上限を設け、そこから得られる財源の枠内で給付を賄うことにした。そのため年金を受け取っている高齢者の給付を、物価や賃金の伸びより押さえる仕組みが導入されている。(いつまでも年金は目減りして、年金は減り続ける。)
給付を増やす改善策
今回の検証でも、今後30年近く給付抑制を続けないと、制度を持続できない結果となった。しかも想定どおりに抑制できての試算だ。
また、政府が約束する最低補償額自体も十分な額かどうかは議論がある。抑制の仕組みは将来世代の年金財源額を確保するためには致し方ないが(致し方ないとしても)、受給者の生活はとても[100年安心]とは言いがたい。
政府は、制度の健全性だけをいうのではなく、制度が抱える課題も丁寧に説明すべきだ。課題解決への努力なくして制度の不安はなくならない。
その課題とは、年金額を今後どう増やしていくかだ。検証では将来の年金水準を底上げする改善策も試算した。
現在20~60歳まで40年間となっている基礎年金(国民年金)加入期間の45年への延長、働くと年金が減る在職老齢年金制度の見直し、厚生年金加入年齢の70歳以上へのへの引き上げ、厚生年金の加入対象の拡大などです。
いずれも将来の年金水準の引き上げ効果がある。制度改正を求める。とくに厚生年金の対象拡大は非正規で働く人の無年金・低年金対策になる。大胆に進めるべきだ。職場の厚生年金に加入できない非正規の人は自から国民年金に入るしかないが、年金額は不十分だ。厚生年金に加入できれば保険料負担は減るし年金額は増える。
そのため政府は加入要件の緩和を順次進めている。だが、16年の緩和で対象となった人は約40万人程度であった。今回の検証では1050万人に広げると一定の年金水準引き上げ効果があると示された。
対象拡大には保険料負担が増える企業の理解が不可欠だ。加入できる職場は人材確保につながるなど、企業側の利点も含め政府はその必要性を練り強く説くべきだ。
ただ、これらの改善策は将来年金を受け取る世代が対称だ。今受給している高齢者の生活をどう支えるかも忘れてはならない。高齢化は長寿化も同時に進む。老後が長くなり年金受給期間は延びている。加えて現役世代の減少である。年金だけで長い老後を支える事は無理があるだろう。
支援に複眼の知恵を
やはり高齢でも働きたい人が働ける環境の整備は欠かせない。企業には高齢者が能力を発揮できる職場つくりに知恵を絞ってもらいたい。政府の後押しも当然だ。働けない人への支援対策も考えねばならない。低年金の人には10%に引き上げる消費税の財源を使い、10月から最大月5000円を給付する制度が始まる。その拡充も検討に値するのではないか。安価な住宅供給や住宅手当の給付など支援策は複眼で考えたい。
人口減少社会では、負担増や給付減など国民に痛みが伴う社会保障制度の改革は、避けて通れない。
政府は、負担を分かち合う社会の将来像を示す責任がある。