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五輪閉幕にあたっての声明・パラリンピックの中止署名のシェアーについて

2021-08-07 19:48:38 | 徒然なるままに

 

オリンピック閉幕にあたっての声明: 東京五輪に反対する作家、小説家、作曲家、学者、ジャーナリスト、元外交官の集まり

東京五輪開催に反対する作家/小説家/作曲家/学者/ジャーナリスト/元外交官の集まり

2021年8月6日 — 

 多くの国民の不安と願いを無視して、強引に開催された東京オリンピックは8月8日に閉幕します。そして同24日には引き続きパラリンピックの開催が予定されています。新型コロナウィルスの世界的規模の感染の中で、このような大規模な国際的行事を行うことの危険性については多くの人々が指摘してきました。オリンピックの閉幕が近づく中で我が国政府のトップは日本チームが過去最高の金メダルを獲得したことをもって国民も喜んでいる、オリンピックは成功を収めたと考えているかも知れません。  

 果たしてオリンピックは成功だったのでしょうか。私どもはそうは考えていません。多くのアスリートたちの活躍にもかかわらず、私たちはむしろ暗澹たる気持ちで閉幕を迎えようとしています。

 オリンピックの開催に当たっては日本人の価値観、倫理観を貶めるような様々な不祥事、スキャンダルがあり、日本人のみならず世界の人々の心を痛めました。

 また最も深刻なことは、このオリンピック開催を契機に爆発的感染拡大が始まり、我が国において「人道的危機」とも言うべき状況を作り出しつつあることです。新型コロナ感染者の数は5日には東京で初めて5000人を越え全国でこれも初めて1万5000人を越えました。この驚くべき爆発的感染拡大はデルタ株の増大によるところが大きいとされていますが、オリンピック開催に起因するところも少なくないと言われています。世界のメデイアは東京オリンピックを「スーパー・スプレッダー・イベント」になる可能性があると報道してきましたが、日本の爆発的感染が世界に拡散していくことになるかは数週間内に分かることになるでしょう。
 オリンピック開催と感染者数増大の関連については科学的知見を有する専門家によって緻密に検証されるべきでしょうが、すでに政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長は4日の衆議院厚生労働委員会閉会中審査において野党の質問に答え「オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響はあると言うのが専門家の考え」と述べています。
 また、オリンピックが物理的に人的接触の機会を飛躍的に増加させただけではなく、政府が自慢していたバブル方式もほとんど機能しなかったと言われています。 

 特に、国民のコロナウィルスに対する警戒心を弛緩させたのは致命的でありました。街に出れば、オリンピックという巨大な国際イベントの開催が、国民の緊張感を緩め、人流を増大させ、あれほどまで行政がエネルギーを注いできた夜の街の飲食の自粛をも崩壊させたことが見てとれました。まさにかろうじて感染の拡大に歯止めをかけていた「自粛が崩壊した」ことは一目瞭然でありました。
 真面目に政府、地方自治体の要請を受けて自らの店舗を夜8時に閉じ、アルコールの提供を停止している店は収入が大幅に減少し、場合によっては休業に追い込まれています。他方で、行政の要請を無視して営業を続けている店舗には、客が密集している状態となっているのが現状であります。
 まさに日本社会は「正直者が損をする」状態となっております。私たちは今、疫病の流行のみならず、モラルハザードが横行しているのを目撃しています。

  更に深刻なことは感染の爆発的拡大が医療や社会的弱者をケアするシステムを崩壊させる可能性をもたらしつつあることです。例えば、コロナ感染の脅威の中で、24時間ケアを必要とする障害者の方々はどのように生きて行けるのか、深刻な不安が生じています。

 今私どもの手元には「女性障害者の立場からオリパラの即時中止を求めます」と名打った8月5日付の声明文が届けられております。障害者の方々で構成された一つのグループがどのような思いでオリンピックの熱狂の中で生きておられるかを痛切に感じさせる文面ですので、ここに紹介させていただきます。

 「障害を持つ人々へのコロナ禍でのオリンピックの影響には、目を覆うほどの悲惨さがあります。障害を持つ仲間たちこそ、人は生きること以上に大事なことはない。つまり、何よりも命が大事であることを知っている人たちです。
にも関わらず、コロナ禍におけるオリンピックは生きることより、命より大事なものがあるということをマスコミや、そして経済至上主義による他人への無関心を育てた戦後教育を使って、洗脳し続けています。これらを私たちは生きて良い命と、生きてはいけない命とを分断する優生思想であると考えています。2016年のやまゆり園事件への無関心、優生保護法の国賠訴訟への対応、拡大し続ける出生前検査など、事態は悪くなるばかりです。
  オリンピックは「命以上に大事なものがある、つまりメダル競争こそ価値あることだ」という、人として生き物として、あってはならない現実を作り出しています。競争、争い、戦争、それを肯定させるために障害を持つ人の存在を優生思想を使い、利用しているオリンピックとパラリンピック。」

 さらに現在のコロナの爆発的感染の拡大と医療崩壊の危機を目前にし、政府は感染者の入院を制限する方策を打ち出しましたが、このような手法は慎重の上にも慎重に行われるべきであって、まかり間違ってもなされるべき医療を放棄するがごとき非道な結果になってはならないと考えます。

 私達は今やオリンピック、パラリンピックの熱狂から目を覚まし、新型コロナウィルスの爆発的な感染がもたらす脅威を直視しなくてはならない時に立っています。私たちは政府に対し、オリンピック、パラリンピックが政治的思惑から実施され、日本国民に平時にあってはならない負荷をかけてきたことを認識し、次の点を実施することを要求します。

第一に、メダルの獲得数より大切なこと、すなわち人々の命と健康が未曾有の危機に直面していることを直視し、オリンピック、パラリンピックを直ちに中止すること。

第二に、このような状況をもたらした現政権の新型コロナ対策の失敗、特にオリンピックの強行という失政を政府が深く認識し、今後は国民の声に真摯に耳を傾ける責任ある政治を行うこと。

第三にコロナ禍の中で社会的弱者への配慮を手厚くし、誰もが生きやすい社会を作ること。

第四に、オリンピック招致運動以来一貫して関与してきた大手広告企業が、国際社会において日本人の倫理観、価値観に深刻な疑問点を抱かせたことを重大視し、十分に解明されていない諸問題の実態につき調査し、情報公開を行うこと。またオリンピック招致以来今日の強行開催に至るまでの検証を行うために、政府から独立した中立的な調査委員会を設けること。

 



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