折に触れて当ブログの方針を記して来たが、繰り返す。
この書評で取り上げるのは、小説ならばよく読まれているもの、要するによく売れているもので取り上げる理由はなぜ売れるのかという疑問に促されたものである。たとえば村上春樹、ドストエフスキーとか芥川賞作家などである。もっとも、昔読んで気に入ったものの再説もあれば、たまたま書店でピックアップして面白いと思ったものもときにあるが、わずかである。
哲学書であれば定番というか一定の島を持っているもの、小説とは違いマーケットのサイズはぐっと小さくなるが相対的な意味で勢力のあるものである。取り上げる理由は小説と同じで何故業界で(哲学教師や哲学学生の間で)人気があるのかという疑問に促された物である。カントやヘーゲルなどのように。もちろん大体ということで、マイナーでも興味を引かれた書物もときに混じる。
今回はエドムント・フッサール教授の「現象学の理念」である。現象学というのは解説書を読むと妙ちきりんな訳語が出て来て読むに耐えないが、先日書店でみたらこの本の帯にこうあった。
「現象学とは何か。現代思想に絶大な影響を与えるその要諦をフッサール自身が解き明かす必読の入門書。待望の新訳」とある。訳者は長谷川宏氏である。
特に気に入ったのは「フッサール自身が」というのと「必読の入門書」というところであった。大きな活字で130頁足らずだし手頃と思った。ところが毎頁タネになるところがあってこれも連載物になりそうだ。
現象学的還元というのは猿がらっきょうの皮をむいていくような印象ですね。ヘーゲルなら無限退行とか悪無限というところだろう。スコラ哲学やライプニッツなら第一原因とか究極の本質というか、こう言うのは普通神様にたどり着くのだが。デモクリトスならアトムというか。
例によって現在進行形の書評である。現在のポジションは講義1のあたりです。