本日市中徘徊の途次妙な本を見つけた。角川文庫「田中英光傑作選」西村賢太選・解説。先月発行。
2年以上前に田中英光の「桜」という作品の評をこのブログで書いた。講談社学芸文庫にある。二十年ぶりに第二刷が出た機会に紹介した。彼の一番有名な作品(そう言う意味での代表作)「オリンポスの果実」は新潮文庫にあるというが、今は手に入らないと書いた。
角川文庫の解説で西村氏は新潮文庫でしか田中英光の作品は発行していないと書いているが、新刊本で現在まで手に入るのは上記の「桜、ほか」のみだった。いずれにせよ、彼の作品としては一番言及される「オリンポス」ほかが今回手に入る様になったわけである。
西村氏は一時田中英光に入れこんで、その後藤沢修造に入れこんだらしいが、相変わらず田中英光氏にぞっこんらしい、解説文を読むと。
藤沢修造の作品は西村氏の努力で新潮文庫に確か代表作という「根津権現裏」が収録されていて、この評もこのブログで書いたが、かなり程度がひくいものだったので意外に感じたことがある。さて、田中英光の場合はどうだろうか。