8月30~31日に放送される夏の恒例番組『24時間テレビ』(日本テレビ系)。メインパーソナリティに関ジャニ∞、総合司会はフリーの羽鳥慎一アナ(43)と日テレのエース・水卜麻美アナ(27)が務める。チャリティーマラソンランナーはTOKIOの城島茂(43)が担当し、同局はあらゆる場面で番宣しまくっている状況だ。
チャリティー番組の草分けである同番組だが、近年はその姿勢をめぐって批判を集めることも多くなっている。
なかでも最も話題となっているのは、出演者のギャラ問題だ。昨年・一昨年は嵐がメインパーソナリティーを務めたが、昨年7月に週刊誌「FLASH」(光文社)が「嵐は5人で5000万円」などとギャラ事情を暴露。これに日テレ側が「今年も(嵐には)ボランティアで務めていただいております」と異例のコメントを出したことで物議を醸した。
「ボランティアという言葉をそのまま受け取れば、嵐は無償で出演していることになる。しかし、まさかジャニーズ事務所の看板である嵐が長時間拘束され、放送前から番宣にも走り回っていたのに、タダで出演しているなんて誰も信じませんよ。それは今回の関ジャニ∞をはじめとした出演者も同様。複数の出演者がギャラの存在を暴露していますし、なぜそんな見え透いたウソを通そうとしているのか」(芸能関係者)
ギャラ事情については、かつて明石家さんま(59)が「ギャラが出るなら出演しない」と同番組のオファーを蹴っている。04年にチャリティマラソンランナーを務めた杉田かおる(49)は「思ったより少なかった」としながらもギャラを貰ったとテレビ番組で発言し、91年に司会を務めた帰国子女の西田ひかる(42)が「日本のチャリティー番組は出演料が出るの?」と驚いたというエピソードも業界で有名だ。
また、人気ゆるキャラ・ふなっしーは昨年の同番組の企画「ゆるキャラリレー」に出演した後、自身のTwitterで「24時間テレビのギャラ5万と2万4千足して梨円(※合計7万4千円=梨)チャリするなっしー♪」と発言。同企画には計10体のゆるキャラが出演したが、それだけで単純計算すれば50万円がギャラとして支払われたことになる。
同番組の出演料について、日テレ側は2000年に放送倫理・番組向上機構で「基本的にボランティアでお願いしております。しかし、拘束時間の長い方など、場合によっては謝礼という形でいくらかのお支払いをしております」と回答。だが、チョイ役でもギャラ単価が数万円となれば、メイン出演者も含めて相当な大金が「謝礼」として消えていると考えられる。
「チャリティーをうたいながらギャラを出しているイビツな構図の原因は、日テレの巨額の広告収入。一部報道によれば、昨年の番組総制作費は4億2000万円ですが、CM収入は22億2750万円。企業にとってイメージアップになるため、CM単価は深夜帯でも通常の1.5倍とされ、局側にとっては非常においしい番組になっています。これだけの利益を上げていながらノーギャラにしてしまったら、当然ながら出演者や事務所から不満が出てしまう。かといって、子どもがなけなしのお小遣いを募金しているのに、出演者が多額のギャラをもらっていると公にするわけにもいかず、みえみえのウソをつかなくてはならなくなった」(前同)
局側が利益を捨てなければ、出演者にノーギャラを強制するわけにもいかない。昔、ビートたけし(67)が「芸能人どもがめちゃくちゃ高いギャラ稼ぐくせに、これ以上貧乏人から金巻きあげんな」とラジオ番組で吼えたことがあったが、その構図は現在も変わらないようだ。
また、毎年同番組は障害者らのチャレンジをサポートする企画を多数放送しているが、その主旨にも批判が起こっている。
一昨年には、台風が接近する悪天候の中で義足の少女が屋久島の一本杉を目指すという企画が敢行され、全行程の9割を歩きながらも途中で断念。これに「何かあったらどうするんだ」「義足の少女に危険なことをさせるって常識を疑う」などと批判が殺到した。また、撮影のために80人以上のスタッフが屋久島に入り、本来は立ち入り禁止の場所から撮影したと思われるアングルの映像もあったため、屋久島のガイドを務める男性から「自然破壊だ」と指摘される騒動も起きた。
今年の同番組では、難病「肺高血圧症」に冒された6歳の少女の「海外旅行をしてみたい」という夢をかなえるチャレンジ企画が軸となるが、これにも非難が巻き起こっている。企画の内容は、関ジャニ∞の安田章大(29)が描いた少女の似顔絵を基に作られた人形を、少女の代わりとして海外旅行に出掛ける人々に託し、人形と一緒に写真や動画を撮ってきてもらうというもの。この企画に対してネット上では「意味が分からない」「他人の海外旅行の思い出を見せられてるのと変わらんだろ」「本当に少女が喜ぶのか」などといった厳しい意見が噴出している。
これらの問題だけでなく、放送直前にメインパーソナリティーの関ジャニ∞にスキャンダルが続出。錦戸亮(29)はタレント仲間らとの六本木での夜遊び中に一般人とトラブルを起こして警察沙汰になったと報じられ、村上信五(32)は自身が取締役を務める家族会社が工事代金未払いで訴訟を起こされる寸前だと伝えられている。
多くの問題を抱えながら、その一方で毎年多額の寄付金を集めているのも事実。昨年は全国から寄せられた募金総額が過去2番目に多い15億4522万6444円を記録した。しっかりギャラを出して人気者をブッキングし、過剰ともいえる感動演出で視聴者の関心を集めなければ、これほどの寄付は集まらないとの意見もある。
いずれにせよ、昨今は「アイスバケツチャレンジ」の流行でボランティア精神の在り方に焦点が当たっていることもあり、今年も賛否両論を巻き起こすことは間違いなさそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)
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