スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

印象的な将棋⑧-1&観念の複合の無限連鎖

2014-08-05 19:18:39 | ポカと妙手etc
 せっかくですから羽生名人が2手目に△6二銀と指した将棋をもうひとつ紹介しましょう。将棋日本シリーズ'94の準決勝。1994年11月6日の対局です。
                         
 持ち時間は大きく異なりますが,相手はと同じで,その将棋の改良版。そのときも第1図まで進み,△4一王と寄ったのですが,それが作戦負けになった要因だったとこの将棋の自戦記に記されています。改良手は△5四歩。
 2手目に△6二銀とする将棋は,どこで△5四歩と突くのかが重要なのだそうです。研究の結果,このタイミングが最善であると結論したので,これを試したようです。
 先手はこの手を狙うことができます。それが実戦の▲2四歩。△同歩▲同飛は必然の進行。△2三歩と受ければ▲5四飛。ですが受けが用意されていました。それが△3四歩。
                         
 ▲同飛は角交換して△4五角があります。なのでここから▲7八金△5三銀▲2八飛△2三歩と進展。たぶんこのあたりは後手の研究の範囲内であったろうと推測されます。

 X属性は,思惟と延長以外の属性であるという仮定です。しかしXに思惟の属性ないしは延長の属性を代入しても,それが思惟の属性との間に平行論的関係を築くということは,X属性と思惟の属性との間には平行論的関係があるということを結論したのと同じ論証過程で帰結させられます。つまり思惟の属性は,思惟の属性自身も含むすべての属性と,平行論的関係を構築することになります。第二部定理七にはそこまでのことが含意されていると僕は理解します。なお,思惟の属性と思惟の属性の間に平行論的関係があるというのは,たとえばAの観念とAの観念の観念は同一個体であるという意味です。ふたつの平行論が『エチカ』にはあるということを,以前に簡単に述べましたが,そのうちのひとつのことです。
 岩波文庫版115ページから116ページにかけての,第二部自然学②補助定理七備考のテクストのうちに,延長の属性の個物res singularisである物体には,res singularisの複合の無限連鎖が前提されているというように,ここでは理解しています。このとき,もしも延長の属性にres singularisの複合の無限連鎖があるなら,思惟の属性にも同じことが妥当しなければならないと僕は考えます。正確にいうなら,少なくとも思惟の属性が延長の属性を観念対象ideatumとするなら,思惟の属性にもres singularisの複合の無限連鎖が生じるということは,確実であると僕は考えます。
 任意にある物体を抽出します。これをAとしましょう。論理的には,このAがほかの物体たとえばBと協同して,より複雑な物体であるCを構成するわけです。この場合,AとAの観念は同一個体です。同様に,BとBの観念,そしてCとCの観念も同一個体です。したがってAがBと協同して複合物体であるCを構成するなら,Aの観念とBの観念は協同して複合物体であるCの観念を構成すると考えられるからです。第二部定理七は,物体の秩序が物体の観念の秩序と同一でなければならないということを明らかに含みます。つまりこの限りにおいて,思惟属性のres singularisの複合の無限連鎖は,いい換えれば物体をideatumとする観念の複合の無限連鎖は,第二部定義七のスピノザの前提のうちに含まれていると理解することができます。
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