スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

長良川鵜飼カップ&相違の可能性

2016-09-04 19:08:05 | 競輪
 被災地支援競輪として実施された岐阜記念の決勝。並びは吉田‐武田の茨城,山本‐藤木の京都,中井‐南の近畿に武井が番手戦で田中と渡部が単騎。
 山本がスタートを取ってそのまま前受け。田中が追い上げて3番手に。4番手に吉田,6番手に渡部,7番手に中井となり,この後ろは前後,内外が入れ替わりつつ周回中から競り。残り3周のバックから中井が上昇。このときは武井が中井の後ろにいたので,山本を叩いて前に出た後は内に武井,外に南での競り合いに。うまく追った吉田が競り合いの後ろに。渡部,田中と続いて山本は8番手まで引いての一列棒状でホームから打鐘まで通過。競り合いにはっきりとした決着がつかないうちにホームから吉田が発進。武田の後ろにいた渡部が続けず,中井も飛びつけなかったので,バックに入ると2番手と3番手の間が開くことに。後方に構えていた山本がいいスピードで捲っていきましたが,最終コーナーで武田の牽制がありやや失速。武田は直線から踏んでいき,粘る吉田とほぼ並ぶようにフィニッシュ。写真判定となり,優勝は武田。吉田がタイヤ差の2着で茨城のワンツー。いいスピードをみせた山本が1車身差で3着。
                                     
 優勝した茨城の武田豊樹選手はFⅡ開催の全プロ記念を除けば昨年11月の競輪祭以来の優勝。記念競輪はその直前の函館記念以来でGⅢは28勝目。岐阜記念は初優勝。このレースは前を回った選手たちに高いレベルでの対戦経験がなく,どの選手が最も強いのか不明なところがあり,場合によっては大波乱もあり得るのではないかとみていました。記念競輪で最も実績があったのが吉田で,その経験を生かしていい位置を取り切り,またいいタイミングで仕掛けていくことができたということだと思います。それが番手を回った武田の優勝を導いたということでしょう。武田は現状は自力ですと記念競輪の優勝は厳しいのかもしれませんが,前を任せられる機会も少なくないですから,優勝回数を増やしていくことは可能と思います。吉田はこれで2回目の僅差での2着なので,それほど時間が掛からないうちに初優勝を達成できるのではないでしょうか。

 ジャレットも工藤も同じようにスピノザは善bonumと悪malumに関して別角度から言及していて,それは矛盾すると指摘しています。ですがそのように矛盾を指摘する前提はもしかしたら異なっている可能性もあります。
 『知の教科書 スピノザ』の第八章で憎しみodiumについて語られている部分で,ジャレットが悪に関連する言及の中で実例を出しています。この実例からすると,ジャレット自身が一般的概念notiones universalesとして善悪を前提していると推定することが不可能ではありません。実際にジャレットが第四部定理一九に関連するスピノザの観点を持ち出すとき,スピノザがここで善と悪を概念として把握しているということが十分に論証されているわけではありません。ことによるとジャレット自身がそうした観点を有しているから,ここのスピノザの言及をそのように解していると推測することも可能です。あくまでも推定なので断定することはできませんが,工藤は確かにスピノザ自身のうちにふたつの観点があると把握しているのは間違いないので,矛盾を指摘する前提そのものに相違がある可能性は否定できず,それを否定することはできないという点は理解しておいた方がよいものと思います。
 僕自身の見解としていえば,第四部定理一九でもスピノザは一般的概念としての善悪について語っているわけではありません。一方,第三部定理九備考についていえば、そこで認識されるといわれている喜びlaetitiaが観念ideaとして十全adaequatumである場合だけが想定されているのではないと考えます。また,悲しみtristitiaが認識される場合には第三部定理五九により受動passioなので必然的にnecessario混乱しています。そして僕自身は一般的なあるいは普遍的な善悪なるものが存在するとは考えません。これらを総合すれば,希求するもの希求し忌避することを忌避するというのは同義反復ではあるけれども矛盾とはいえないという結論が出てきます。だから工藤やジャレットが指摘している矛盾を積極的に解決しなければならない理由というのは見出しません。
 ただし,これは矛盾などないという意味ではありません。少なくとも,スピノザの哲学における善と悪は,どちらかを基調にして理解されなければならないでしょう。
コメント
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