スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

小鹿の雑感⑩&主体の問題

2019-04-04 19:05:00 | NOAH
 小鹿の雑感⑨の話題の後で,3人は全日本プロレスで最もよかった時代について回顧しています。
 グレート・小鹿があげているのは,新日本プロレスで初代タイガーマスクがデビューした頃で,僕のプロレスキャリアが始まる少し前の時代です。これは黒い呪術師が新日本プロレスに引き抜かれた頃で,この年の終りに不沈艦が全日本に移籍。ハンセンの乱入は僕はテレビで視ているわけですから,僕のプロレスキャリアの初期の頃も含んでいるといっていいでしょう。小鹿によればこの頃の馬場は新日本に追いつきたかったのだけれども追いつけず,何とかして追いつくために選手も営業も一致団結していたと言っていて,それがいい時代だったという認識の理由になっています。小鹿は後に大日本プロレスを設立していることもあり,経営者としての目線も入っているように僕には感じられました。また,この発言は裏を返せば,一致団結していなかった時代があったとも読めます。小鹿はそれは示していないのでこれ以前か以後かは分かりませんが,ばらばらだった時代もあったと小鹿は思っているのだろうと僕は推測します。
 ザ・グレート・カブキ天龍源一郎阿修羅・原が組んでいた頃をあげています。カブキはリング上ではふたりとは敵対関係でしたが,試合をやっていて最も楽しい時期だったと言っています。カブキがやりたかったプロレスは,天龍や原と正面からぶつかり合っていた時代のプロレスだったということが分かります。
 天龍は入団した頃が最も楽しかったと言っていて,これは最も夢があったからだそうです。ということは天龍のプロレス人生は,大きな夢から始まって,それが現実によって徐々に失われていくようなものであったのでしょう。後の天龍の試合スタイルは,夢破れていったがゆえのものであったのかもしれません。
 3人とも,僕が最良の時代としている全日本プロレスでは仕事をしていません。カブキは自身があげた時代は客が入ったと言っていて,それは嘘ではありませんが,客が最も集まったのは最良の時代の方でしょう。
 話はまだ続いているのですが,小鹿の雑感についてはこれで終了とします。

 愛する主体思惟の主体も,スピノザの哲学においては,僕たちが一般に主体subjectumといって思い浮かべる概念notioとはだいぶ様相を異にしたものになっているということは以前に検証しました。僕が主体の排除というのはこのような意味での主体は排除されているということです。では一般に思い浮かべられるような主体とはどんなものかといえば,その典型は「我思うゆえに我ありcogito, ergo sum」というテーゼで示されている,デカルトRené Descartesの哲学に示された主体です。近代の科学が,このような主体の概念とともに発展してきたことは疑い得ません。
                                        
 実はこの主体というのが,この本の主要なテーマのひとつになっています。もっともそれは,本の題名が『主体の論理・概念の倫理』であることからも明白だといえるでしょう。つまりこの本が研究の対象としている時代のフランスでは,このデカルト的な主体に対する懐疑が主流だったのです。これは扱われている学問がどんなものであろうと一貫しています。たとえば数学における認識cognitioはどのように個別の人間に生じ,またその認識の主体をどのように把握するべきなのかということとか,精神分析学が分析の対象とする主体をどのように把握するべきなのかといった諸々の問題です。このとき,デカルト的主体を否定する可能性として,スピノザ的主体があったというのが研究の骨子で,だからこの時代のフランスの科学認識論は,スピノザの哲学と強く結びついていたのだという仮説が立てられ,それが各々の場合に応じて検証されていくのです。
 これはこれでとても重要かつ興味深いテーマではあるのですが,現在の考察からは大きく逸れてしまいますから,ここではこれくらいにしておきます。ただ,主体という概念が,数学においても問題の対象となっていたということはここでの考察とも関連は有するでしょう。数学的真理は真理veritasの一種です。そしてスピノザの哲学では真理とは真の観念idea veraの集積です。さらに第二部定理三二により,観念は神と関連する限りでは真ideae, quatenus ad Deum referuntur, veraeです。よってある人間のうちにある真の観念は,神のうちにある観念に同一です。これは認識するのがだれであっても同じなのです。つまり主体がどの人間かは問われないのです。
コメント
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