スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

叡王戦&出発地点

2019-04-19 19:04:37 | 将棋
 13日にウトロ温泉で指された第4期叡王戦七番勝負第二局。
 高見泰地叡王の先手で永瀬拓矢七段の横歩取り☖8四飛。早い段階から戦いが始まり,開戦してすぐのところは後手の方がやれそうと思ったのですが,実際に進んでみると先手の方が指しやすくなっていたのではないかと思います。ただ,先手がもたついてしまったようで,僻地にいた後手の銀が先手の馬と交換になるという進展になり,後手がだいぶ巻き返しました。
                                        
 後手が歩を取って4四の飛車を走った局面。ここで先手は☗7七王と逃げたのですが☖3七馬とされました。取ると飛車に成られてしまうため☗4七歩と受けたものの☖6六飛と切られ☗同歩に☖5五馬と引かれました。
                                        
 この局面は2枚の馬が存分に働いて後手の勝勢となっています。こうなってしまうのなら先手は第1図ですぐに☗4七歩と打ってしまった方がよかったようです。それには☖6六飛☗同歩☖5七香成ないしは☖5七馬とする手があり,実戦はそれを避けたのでしょうが,1九の馬を使わせないことの方が重要だったと思われます。
 永瀬七段が連勝。第三局は来月4日。持ち時間は3時間になります。

 この論証Demonstratioによって,岩波文庫版旧版の115ページ,新版の139ページから始まる第二部自然学②補助定理七備考に,飛躍が含まれていることは,『エチカ』そのものから明らかになっていると僕は考えます。したがって,物体corpusが別の物体と協同してより複雑な物体を組織し,そうして組織された物体もまた別の物体と協同してもっと複雑な物体を組織し,そうして組織された物体もまた,という論理の積み重ねによって,延長の属性Extensionis attributumの間接無限様態の認識cognitioに至るのではありません。このような論理の積み重ねに究極の地点があると仮定するなら,それは延長の属性の間接無限様態以外にはあり得ないという仕方で,間接無限様態の認識に至ることができるのです。いい換えればこの場合の間接無限様態の認識は,論理的な積み重ねと無関係に発生するのです。そしてそのために,延長の属性の間接無限様態がいかなるものであるのか,すなわちそれは無限に変化しつつも同一の形相formaに留まる全宇宙の姿facies totius Universiであるという認識が,前もって要請されているといえるでしょう。
 これは認識の到達点のあり方です。これと同じことが,出発点にも含まれていると僕は考えるのです。この論理の積み重ねの出発点は,最も単純な物体によって組織されている個体でした。単に最も単純な物体から始めずに,それによって組織されている個体から始められていることにも理由はあるかもしれませんが,ここではその詮索はやめておきます。このとき,最も単純な物体といわれているのは論理の積み重ねの最初の地点として最も適切なものとして示されているだけであって,実際にそうした物体が存在するということをスピノザが認めているわけではないと僕は考えるのです。ちょうど到達地点が,そういうものがあるとすればという明らかな仮定によって成立しているのと同じように,出発地点も,そうしたものがあるとすればという仮定によって成立しているのではないでしょうか。そしてそうしたものを仮定する理由は明白です。延長の属性の間接無限様態の認識を帰結させるために,論理の積み重ねの出発地点として最も適切な物体は何かといえば,最も単純な物体以外にはあり得ないからです。
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