スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ヒューリック杯清麗戦&断定の根拠

2020-08-08 19:03:45 | 将棋
 6日に指された第2期清麗戦五番勝負第四局。上田初美女流四段の先手で里見香奈清麗のごきげん中飛車。①-Aから4筋で銀が向い合う形になりました。中盤で差がついてしまう将棋に。
                                        
 先手が歩を打った局面。取り返すと先手の駒が進出してくる上に,香車取りが残ります。よって☖4四歩と突きましたが,これは新たな争点を作ってしまった面もあり,あまりよくなかったかもしれません。たとえば☖1二香なら実戦とは違った展開になった筈です。
 先手は☗5五歩と取り込み☖6四飛に☗3六歩☖2六銀☗2九飛☖2五歩と強要しておいて☗5六金と上がりました。☗2九飛と☖2五歩の交換は得かどうか不明ですが,後手の角に間接的に睨まれている飛車の位置を変えておくことには意味がありそうです。
 後手は☖4三金と駒を使いにいきましたが☗4九飛が好手でした。次の☖5三金は明らかに一手パスの悪手で,せめて☖3七銀成とでもしておいた方がよかったでしょう。☗4四歩☖同飛☗同飛☖同金の手順で飛車交換になり,☗4一飛と先着した先手がだいぶ優位に立つことになりました。
                                        
 第2図となってはさすがに後手が挽回するのは難しかったようです。
 上田四段が勝って2勝2敗。第五局は18日に指される予定です。

 いくつかの事情があったために,スピノザの書簡の一部は遺稿集Opera Posthumaに掲載されませんでした。そして掲載されなかった書簡の大部分は失われ,現在に至るまで発見されていないものがあります。それがどれくらいの量であるのかということは想像できませんが,それなりの数のスピノザの書簡を,僕たちは読むことができないでいると考えておくのが適切であると思います。
 僕は,書簡において,延長の属性Extensionis attributumおよび思惟の属性Cogitationis attributumの直接無限様態と間接無限様態が具体的に何であるのかということを尋ねたのは,チルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausだけであったと断定的にいいました。僕はそのことは断定することができると思っているのです。なぜ僕がこのことを断定することができると考えているのかということを,ここまでの事情を勘案して説明しておきたいのです。
 まず,編集者たちはスピノザの書簡はあまりに分量が多すぎたので,そのすべてを遺稿集に掲載することを断念したものと推測されます。そこで掲載するものとしないものとを取捨選択したのですが,そのときに,もしスピノザの哲学を理解する上で重要な内容が含まれていたら,その書簡は掲載することを選択したと思われます。このことが,フッデJohann Huddeの書簡に対する扱いから推測できると思います。遺稿集の編集者の中にはフッデの知り合いが存在したといいましたが,その仲はかなり親しかったのです。ですから遺稿集の編集者たちは,フッデに対して特別の計らいをしたのでしょう。ですがそのとき,編集者たちはフッデの書簡のすべてを遺稿集からオミットするのではなく,書簡三十四,書簡三十五,書簡三十六の,スピノザがフッデに送った3通については,だれに送ったのかということを伏せて掲載しました。これはこの3通が,スピノザ自身が哲学について重要なことを述べていたからに違いありません。そうでなければスピノザがフッデに送ったものもすべて掲載を見送ればよかったのだからです。
 つまりこれらの事情から,もしもスピノザが延長の属性と思惟の属性の直接無限様態および間接無限様態についてはっきりとした言及をした書簡がほかにあれば,それが掲載を見送られることはなかったといえるでしょう。
コメント
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