スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

日本選手権競輪&読解からの帰結

2021-05-10 19:03:48 | 競輪
 京王閣競輪場で行われた昨日の第75回日本選手権競輪の決勝。並びは真杉-平原-武藤の関東,郡司に佐藤,清水‐松浦の中国で浅井と松岡は単騎。
 松浦がスタートを取って清水の前受け。3番手に松岡,4番手に浅井,5番手に真杉,8番手に郡司という周回に。残り3周のバックから上昇を始めた郡司は真杉の外で併走。真杉が引かなかったためこの併走が残り2周のバックまで続き,打鐘から清水の成り行き先行に。郡司は追い上げていき,うまく3番手に。マークの佐藤も抵抗する松岡を極めて4番手。7番手になってしまった真杉は不発。清水との車間を開けた松浦は,直後の郡司を牽制するように直線ではやや外に持ち出してスパート。郡司は松浦の外から追い込み,佐藤は松浦の牽制で開いた清水と松浦の間へ。松浦は佐藤の差しにも対処し,直線は佐藤と松浦が軽く接触。さらに離れた外から伸びた郡司の3人がほぼ横並びでフィニッシュという大激戦、写真判定の結果,優勝は松浦。外の郡司が微差の2着で内の佐藤がさらに微差で3着。
 優勝した広島の松浦悠士選手は前回出走の武雄記念から連続優勝。GⅠは昨年のオールスター競輪以来の優勝でGⅠは3勝目。ビッグは4勝目。日本選手権競輪は初優勝。このレースは真杉の先行が有力だったのですが,郡司に被せられて不発。先行する意欲があったのならすぐに引いて巻き返せばよかったと思うのですが,このあたりは経験不足が露呈したといえそうです。清水が先行してうまく立ち回った郡司が3番手ということで,脚力では上位の選手が前になりましたので,残り半周のバックに入るあたりで.前の4人での争いになることがほぼ確定的になりました。脇本や新田の出走があれば別ですが,そうでなければ郡司と松浦は現在の両雄。今年もライバルとして戦っていく筈で,どういうラインになるのかということが,ふたりの結果を分けていくことになるのでしょう。このレースは清水がいた分だけ松浦が有利でした。真杉が不発だったのでレースそのものは単調だったともいえますが,稀にみる大接戦での決着で,いいレースであったとは思います。

 現実的に存在する人間の精神mens humanaのうちに混乱した観念idea inadaequataがあるとき,その混乱した観念を排除する観念が同時にその人間の精神のうちにあるか,その混乱した観念が混乱した観念であるという認識cognitioが同時にその人間の精神のうちにあるのであれば,その人間の精神はそのうちにある混乱した観念について,否定するか疑うかするということは,逆にいうと,この条件が満たされないのであれば,この人間の精神はその混乱した観念について否定することもしないし疑うこともしないということになります。否定することもしないし疑うこともしないというのは,より積極的ないい方をするなら,肯定するということになります。あるいは近藤自身が論文で用いているいい方に倣えば,その混乱した観念に同意するということになります。近藤は第二部定理四九備考をこのように読解しているのです。
                                        
 このことが意味しているのは,人間の精神がある観念についてそれを肯定するのか否定するのか,また疑うのか疑わないのか,あるいは同意するのか同意しないのかということは,その観念が発生した人間の精神のうちにどのような観念があって,それらの諸々の観念が新しく発生した観念とどのように結合するのかということによって決定されるということです。このときに重要なのは,スピノザの哲学における意志作用volitioというのが,観念が観念である限りにおいて含んでいる肯定affirmatioないしは否定negatioのことを意味しているということです。ですからこのことの意味をスピノザの哲学における意志作用の意味に合わせて説明するなら,現実的に存在する人間の精神が何らかの観念を形成したとき,その観念がどのような意志作用を含むのかということが,その時点でその人間の精神の現実的有actuale esseを構成している観念がどのようになっているか,あるいは同じことですが,その観念に含まれている意志作用が何を肯定しまた何を否定しているのかということによって決定されるのです。よって,新しく発生したその観念に対して,それを肯定するのか否定するのか,あるいはそれに同意するのか同意しないのかということは,その人間の精神がそのときに自由に決定することができるわけではありません。
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