スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

目的&形相的と客観的

2006-03-16 22:42:41 | 哲学
 少し間が開きましたが12日のコメントにここでレスします。
 自由意志について考えたことがきっかけで僕はスピノザ哲学へ回帰したわけですが,そこで本格的に『エチカ』を読み直し始めてみて,『エチカ』を理解するということは,僕にとって価値があることではないかと思うようになりました。
 だからこのブログを始めたことも含めて,現在の僕にとっては,『エチカ』は何か特定のことを理解するための手段のようなものではなくて,それを十分に,また納得がいくように理解すること自体が目的だといえます。

 ここで用語を説明しておかなければなりません。
 デカルトースピノザの哲学では,事物Aが精神や知性の外に実在するとき,Aがformaliter(形相的に)あるといい,逆に事物Aが,観念として精神や知性のうちに実在する場合には、Aがobjective(客観的に)あるといいます。これには岩波文庫版では想念的という訳が与えられていますが,僕はこんなことばは知らないので,直訳して客観的といいます。
 なので僕がXが客観的にあるといったら、Xが主観の対象として実在するという意味ではなく,Xがある精神あるいは知性のうちに観念として(むしろ主観的に)実在するという意味です。まあ,紛らわしいですから,その都度,何らかの方法で注意するつもりです。
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ダイオライト記念&正当性

2006-03-15 22:45:01 | 地方競馬
 今日の船橋競馬は無事に開催されました。
 ダイオライト記念はヴァーミリアンが楽勝して,昨年の浦和記念以来のGⅡ2勝目。2着には昨年の覇者パーソナルラッシュが入り,アルファフォーレスが3着に健闘。タイムパラドックスはだいぶ折り合いを欠いて4着でした。

 第二部定理九系を僕のように第二部定理七とその備考に訴えて証明するのは,『エチカ』の論理の中でも正当だと思います。なぜなら,スピノザは第二部定理一二を証明した直後の備考で,第二部定理一二は第二部定理七とその備考からも明白だという意味のことをいっています。
 ところが13日のブログでいったように,第二部定理一二は第二部定理九系のひとつの具体的な内容なのです。したがって,もしも第二部定理一二が第二部定理七とその備考から証明し得るなら,第二部定理九系もまた,同じ部分から証明し得る筈だからです。
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玉野記念&定理九系証明

2006-03-14 21:45:03 | 競輪
 今日は競輪の玉野記念の決勝。地元の岡山の石丸寛之選手が見事に優勝しました。しかもふたりだけ決勝に残った同じ岡山の三宅達也選手とのワンツーでしたので,石丸選手にとっては最高の結果だったでしょう。
 石丸選手の記念制覇は,昨年11月の観音寺記念以来となります。

 明日は船橋競馬場でダイオライト記念。しかし馬券的妙味はあまりないな。順当なら①VS⑥。一角を崩せば⑨でしょう。ただ,場内音声の故障で今日の船橋競馬は中止になっています。明日も中止の可能性があるようなのでご注意を。

 定理九系は,定理七とその備考に訴えるのが,最も簡単な証明方法でしょう。定理七というのはこう。
 「観念の秩序および連結は物の秩序および連結と同一である」。
 この定理はこの定理で問題をはらんでいますが,それについてはいずれ別のテーマで扱うことにして,ここでは,この定理が実在的(存在論的)にも正しいものとしておきます。なお,この点については,ドゥルーズが『スピノザと表現の問題』の第七章で詳しく分析していますので、興味のある方はご一読ください。
               
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最多対局?&第二部定理九系

2006-03-13 20:26:54 | 将棋トピック
 11日のブログに王将戦のことを書きましたが,それが今年度(4月~3月)の羽生・佐藤戦の23局目になります。
 多いなと思って日本将棋連盟に問い合わせてみたのですが,同一年度での対局数は集計していないとのこと。ただ,確認できた範囲では2000年度の羽生・谷川戦の23局が最多だそうで,今年度の羽生・佐藤戦は,最多タイの可能性があるようです。

 第二部定理一二は第二部定理九系から帰結します。
 第二部定理九系はこう。
 「おのおのの観念の個々の対象の中に起こるすべてのことは,神がまさにその対象の観念をもつ限りにおいてのみ,神のうちにその認識がある」。
 これは『エチカ』の文章表現方法を知らないと,意味不明だと思いますが,それについては後日,わかりやすく説明します。
 で、この系が,ある事柄を一般的にいっているのだとしたら,第二部定理一二は同じことをある具体的なひとつの例としていっているのです。だから,第二部定理一二が第二部定理九系から帰結するというのは,間違いのないところでしょう。
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きっかけ&きっかけ

2006-03-12 22:52:11 | 哲学
 おかしなタイトルになってしまった。まず10日のコメントにここでレスします。
 僕がスピノザを読むようになった直接のきっかけは,学生時代にエーリッヒ・フロムの諸著作(『自由からの逃走』など)を読んだこと。フロムは様ざまなところでスピノザに言及しているのです。そのとき,世界観のシンプルさに新鮮さこそ感じましたが,今から思えば,哲学に関しては何も理解できていなかったですね。ずっと後に,自由意志について考えていたときにスピノザを思い出し,やっと本格的に読むようになりました。で,そういう一定の要素があって読んでも非常に難しく感じますから,何の前提もなしに読み始めれば眠くなって当たり前でしょうね。

 定理一二にどこか不明瞭なところがあるというのは、カーリーの示唆によって気付きました。たぶんカーリーは,経験的にいって定理一二は不成立と考えていると思うんだけれども,エチカというのは純粋に論理的に書かれているわけで,もし定理一二が不成立であるなら,そこに至る論理展開に破綻が生じている筈。というわけで,まずは定理一二への論理展開をみてみないといけないみたいです。
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棋王戦&第二部定理一二

2006-03-11 20:08:49 | 将棋
 北國新聞のサイトで棋王戦を観戦してました。森内名人が勝って棋王奪取。
 この後,21・22日の王将戦の結果次第では,羽生・森内・佐藤で二冠ずつ分け合うという可能性も出てきました。

 どうしようか迷いましたが,まずは第二部定理一二から考えることにしました。ここが今の僕にとって最大の謎で,完全に思考が煮詰まってしまっている部分なので。
 全文はこうなってます。
 「人間精神を構成する観念の対象の中に起こるすべてのことは,人間精神によって知覚されなければならぬ。あるいはその物について精神の中に必然的に観念があるであろう。言いかえれば,もし人間精神を構成する観念の対象が身体であるならその身体の中には精神によって知覚されないような〈あるいはそれについてある観念が精神の中にないような〉いかなることも起こりえないであろう」。
 しかし,身体の中に起こることということで,スピノザは具体的に何をいいたかったのだろう。
 (注)〈〉内は,エチカのラテン語版にはなく,オランダ語版において補われている部分であることを意味します。
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朝日オープン&参考文献

2006-03-10 21:04:50 | 将棋
 将棋の朝日オープンの挑戦者決定戦は,藤井九段が郷田九段に勝って挑戦決定。後手の藤井システムに先手の5筋位取りと,意外に少ない戦型でした。棋譜は朝日新聞のページで。羽生・藤井の番勝負は竜王戦以来ですね。

 登場するかもしれない参考文献を紹介します。日本語以外の言語ができないので,外国語で書かれたものはすべて邦訳されたものです。
 まずドゥルーズの2冊。『スピノザと表現の問題』と『スピノザ 実践の哲学』。前者は非常に内容が濃く,最も役立ちました。後者には主要な概念集が含まれていて便利でした。
 アランの『スピノザに倣いて』。これは『エチカ』の要約です。初心者はエチカを読むより『エチカ』を理解できるかもしれません。
 エドウィン・カーリーの『スピノザ『エチカ』を読む』。いくつかの定理に対して,鋭い問題提起がされています。
 「現代思想」の総特集スピノザ号は,神学から政治学まで論じられていますが,『エチカ』についても唸らされる論文が含まれています。
 ヨベルの『スピノザ 異端の系譜』はおそろしく部厚い本。大変に興味深い内容ですが,『エチカ』の理解のために役立つ部分は少ないかも。
 マシュレの『ヘーゲルかスピノザか』は,僕にヘーゲル哲学に対する理解が薄く,十分に読みこなせませんでしたが,スピノザの哲学に関する限りでは,名著のひとつではないでしょうか。
 最後につい先日亡くなられた清水禮子さんの『破門の哲学』。スピノザの生活の側から哲学理解を試みた,ある意味,異色作です。
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使用するエチカ

2006-03-09 21:23:39 | 哲学
 昨日のブログにコメント頂きました。ブログは読んでもコメントは見ない人も多いと思うので,哲学に関係するレスはこちらでします。
 神道は八百万の神で,スピノザは汎神論と説明されるので,確かに近似性があるのでしょう。一方で『エチカ』では,神Deusの存在existentiaが証明され(第一部定理一一),それは唯一であるとされ(第一部定理一四系一),その神は絶対に無限absolute infinitum(第一部定義六)なので,この点ではイスラムとも近似性があります。無限はイスラムの神(唯一神)の代名詞なので。

 これから使用する『エチカ』は畠中尚志訳の岩波文庫版上下二巻。いずれはこのページのようにラテン語を学んで原文で読むというのが夢ですが,どうなりますことやら。
 そのほかのスピノザの著作で言及する可能性があるのは『知性改善論Tractatus de Intellectus Emendatione』と『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』。ただし後者については附録の「形而上学的思想Cogitata Metaphysica」のみになるでしょう。これらについても岩波文庫版を使用します。
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最初に

2006-03-08 22:49:16 | Weblog
今日からブログを始めることにしました。
趣味である競馬・競輪・将棋のことを書くこともあると思いますが,ほとんどはスピノザの『エチカ』についてのことになるでしょう。まあ,世間的にみればおそろしく関心度の低いブログになるのではないかと思っていますが,もしもスピノザの哲学に興味のある方がこのページを閲覧して,ご意見を頂けたなら幸いです。
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