松たか子のおじいちゃんが大石内蔵助です。
花の巻・雪の巻と、二つの映画に分かれている。
松本白鸚(幸四郎)の大石は律儀で真面目な人格を体現しており、
「この人だったら、ついていっても悔いは無い」カモ?と思わせるに十分。
そんな大石が引っ張る作品にも格調と重厚感がござった。
キャスト。
浅野内匠頭に高田浩吉。
歌手としての高田しか見たことなかったが、(タモリもファンだったとか)
吉良にいじめられ、ノイローゼ気味の
腺病質っぽい内匠頭匠をきっちり演じている。
頭痛持ちの演技は見てるほうも頭痛くなるほど!
滝沢修が吉良上野介。高家筆頭の品格を現していてさすが。
憎たらしさも抜群。
大石の妻りくに山田五十鈴。
立つ、座るだけでも風情があり妻、母の優しさ出てました。
艶っぽすぎて、浮橋の間違いじゃなかろうかと思ったら、
花魁浮橋が淡島千景で、これがまあ!大輪の花のようです。
現代は化粧品も豊富で技術も発達したというのに
昔の人ってなんでこんなに綺麗なの?
絶世の美女二人に囲まれた大石は幸せ者・・
と、思ったらあなた!
浅野の殿様の妻、阿久里が絶頂期の月丘夢路で、
この人の美しさと言ったら、チョン・ジヒョンもチェ・ジウも、
グィネス・パルトロウもひれ伏すであろう、
夢のような美しさでした。
美人といえばまだいます。
山田五十鈴の娘、嵯峨美智子の白い鶴のようなたおやかさ、儚さ。
岡野と恋仲になる吉良家の女中を演じていた。
そして
毛利小平太に鶴田浩二、
堀部安兵衛に近衛十四郎(松方弘樹の父)、
岡野金右衛門に北上弥太郎など。
討ち入りの殺陣が大変見事で大迫力。
寝巻き姿の吉良家の侍たち、障子を蹴破り飛ぶわ、吹っ飛ぶわ。
血しぶきも適度に飛び、激しい斬り合いを物語る。
浪士たちも臨場感あふれる立ち回り。
吉良邸内そして雪の庭園を全速力で走り、駆け抜け、凄かった!
吉良がなかなか見つからず焦る場面もたっぷりと見せていた。
ここで注目したい演出が。
激しい斬り合いの途中で、朗々と歌を詠む声がかぶさる。
ただ勇ましいだけの斬り合いシーンと異なり、
浪士たちの死を覚悟の悲壮感が感じられ、胸がつまった。
討ち入りという表舞台の裏で、
鶴田浩二の毛利と許嫁、しのの悲劇がクローズアップ。
極貧の中で共に肺病を病み、障子やふすまが破れたぼろぼろの家で
のたうちまわる様子は、
そこだけみたらまるで「怪談」か?と思うまがまがしさ。
なんとしてでも仇討ちに・・と、這い出そうとする毛利に
べったりとはりつく、しの。
仇討ちを遂げ颯爽と吉良の屋敷を後にする浪士たちと裏腹に、
吉良家の塀の前で血反吐にまみれ雪の中に倒れる毛利。
そこへ歌を詠む声がまたもやかぶさり、いっそうの悲哀をあおった。
最後に大石らが雪積もる墓前で報告する場面は、
この映画の最大の見せ場だった!
大石の口上の見事さ、そして・・・その後浪士のひとりひとりが
名乗りをあげるシーンが忘れられない。
古い、新しいと言うが、いくら技術が進んでも
心が伴わなければ見るものを感動させることは出来ないと思う。
今まで見た中で一番好きな「忠臣蔵」。
1954年 大曾根辰夫 監督作品 松竹
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花の巻・雪の巻と、二つの映画に分かれている。
松本白鸚(幸四郎)の大石は律儀で真面目な人格を体現しており、
「この人だったら、ついていっても悔いは無い」カモ?と思わせるに十分。
そんな大石が引っ張る作品にも格調と重厚感がござった。
キャスト。
浅野内匠頭に高田浩吉。
歌手としての高田しか見たことなかったが、(タモリもファンだったとか)
吉良にいじめられ、ノイローゼ気味の
腺病質っぽい内匠頭匠をきっちり演じている。
頭痛持ちの演技は見てるほうも頭痛くなるほど!
滝沢修が吉良上野介。高家筆頭の品格を現していてさすが。
憎たらしさも抜群。
大石の妻りくに山田五十鈴。
立つ、座るだけでも風情があり妻、母の優しさ出てました。
艶っぽすぎて、浮橋の間違いじゃなかろうかと思ったら、
花魁浮橋が淡島千景で、これがまあ!大輪の花のようです。
現代は化粧品も豊富で技術も発達したというのに
昔の人ってなんでこんなに綺麗なの?
絶世の美女二人に囲まれた大石は幸せ者・・
と、思ったらあなた!
浅野の殿様の妻、阿久里が絶頂期の月丘夢路で、
この人の美しさと言ったら、チョン・ジヒョンもチェ・ジウも、
グィネス・パルトロウもひれ伏すであろう、
夢のような美しさでした。
美人といえばまだいます。
山田五十鈴の娘、嵯峨美智子の白い鶴のようなたおやかさ、儚さ。
岡野と恋仲になる吉良家の女中を演じていた。
そして
毛利小平太に鶴田浩二、
堀部安兵衛に近衛十四郎(松方弘樹の父)、
岡野金右衛門に北上弥太郎など。
討ち入りの殺陣が大変見事で大迫力。
寝巻き姿の吉良家の侍たち、障子を蹴破り飛ぶわ、吹っ飛ぶわ。
血しぶきも適度に飛び、激しい斬り合いを物語る。
浪士たちも臨場感あふれる立ち回り。
吉良邸内そして雪の庭園を全速力で走り、駆け抜け、凄かった!
吉良がなかなか見つからず焦る場面もたっぷりと見せていた。
ここで注目したい演出が。
激しい斬り合いの途中で、朗々と歌を詠む声がかぶさる。
ただ勇ましいだけの斬り合いシーンと異なり、
浪士たちの死を覚悟の悲壮感が感じられ、胸がつまった。
討ち入りという表舞台の裏で、
鶴田浩二の毛利と許嫁、しのの悲劇がクローズアップ。
極貧の中で共に肺病を病み、障子やふすまが破れたぼろぼろの家で
のたうちまわる様子は、
そこだけみたらまるで「怪談」か?と思うまがまがしさ。
なんとしてでも仇討ちに・・と、這い出そうとする毛利に
べったりとはりつく、しの。
仇討ちを遂げ颯爽と吉良の屋敷を後にする浪士たちと裏腹に、
吉良家の塀の前で血反吐にまみれ雪の中に倒れる毛利。
そこへ歌を詠む声がまたもやかぶさり、いっそうの悲哀をあおった。
最後に大石らが雪積もる墓前で報告する場面は、
この映画の最大の見せ場だった!
大石の口上の見事さ、そして・・・その後浪士のひとりひとりが
名乗りをあげるシーンが忘れられない。
古い、新しいと言うが、いくら技術が進んでも
心が伴わなければ見るものを感動させることは出来ないと思う。
今まで見た中で一番好きな「忠臣蔵」。
1954年 大曾根辰夫 監督作品 松竹
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「35を過ぎちゃ・・」は耳が痛い言葉ですが
面白いことをおっしゃるお方ですねえ~~
中車さんって。
千谷道雄の『幸四郎三国志』によれば、幸四郎一門が東宝に行ったとき、最も喜んだのは若い娘を追い回し「女は35歳過ぎちゃもういけねえ」が持論の中車で、東宝は女優の宝庫だから、二つ返事で移籍を承諾したそうだ。
なじみがなかったのですが、
「白夜の妖女」で若い頃を知り、そしてこの阿久里でとどめをさされました。
気品があって役にぴったりだったと思います。
高田浩吉にも驚きましたが、鶴田浩二の鬼気迫る演技にもびっくりしました。
高田浩吉は結構上手い役者だと思う。
月丘夢路きれいだったでしょう。私の兄は、有馬稲子が日本映画史上最高の美人だと言うが、私は月丘が最高だと思っています。ああいう女を「傾城の美女」と言うのでしょう。因みに彼女の夫は井上梅次(うめじではなく、うめつぐだそうだ。先日の『香港ノクターン』の英文タイトルにもそう出ていた)監督である。
松竹京都は当時結構儲かっていたらしく、特に伴淳三郎の喜劇がドル箱だったらしい。今見るとひどいものばかりだが。
松竹京都はセットが良いと思います。先日BSで放送された篠田正浩の『暗殺』が松竹京都撮影所最後の作品で、美術が最後だというので出血大サービスをしてくれたと篠田は言っている。