銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、
素敵なものが数々ございます。
それは江戸からの粋を伝える物であったり、
先人の技や美を伝えるものであったり様々です。
その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。
『櫛・笄 黒甲雪輪』揚渓作 (櫛)縦3.8×横9cm (笄)15cm
黒甲(くろこう)、つまりそれほど多く出回っていない
真黒(しんくろ、まぐろ)の鼈甲を使用した櫛と笄です。
真っ黒のものは一般的な斑(ふ)の入ったべっ甲より価値が高いようです。
この貴重な黒甲鼈甲に「螺鈿蒔絵」を施してあります。
目には見えない雪の結晶の模様(=雪輪:ゆきわ)があしらわれ、
現代にも通じる素敵な意匠です。
*螺鈿蒔絵=らでんまきえ。貝の内側の真珠層を加工し、模様のように貼り行ける技法
こちらは櫛と笄でセットで使用されたものです。
笄。「こうがい」と読みます。写真上の細い棒状のものが笄です。
棒状の形のものを結い上げた髷(まげ)の中へ差し込むと、
中心が髷の中に隠れて、棒の両端だけが見えます。
それを利用して室町時代、女官が下げ髪を棒状のものに巻きつけて
上にあげたのが笄のルーツです。
簡単に言うと、長くて仕事の邪魔になる髪を
落ちないように留めたのですね。(この時代はまだ下げ髪が一般的です)
安土桃山時代になり、頭の上で髪を結いはじめ、
江戸時代には複雑で様々な髪型が登場しました。
(髪型で年齢や身分、職業がわかったそうです)
笄は本来の髪を巻き、留めるものとして使われつつ、
櫛と合わせることで装飾としての意味合いも強くなっていきました。
そして、櫛笄のセットの方が櫛のみよりも格上のようで、
笄もつけているのは武家の奥方や裕福な町人の奥様のような既婚女性が多いようです。
(歌舞伎を見るとよくわかります)
笄の先端にまで雪の結晶が!1cmほどの幅に繊細な細工がなされています。
櫛=「飾り櫛」は以前もご紹介いたしましたので、こちらもごらん下さい→①、②
こちらはもう一つの面。なんとも美しい模様です
冬のお出かけで使用されたのでしょう。
2月20日(水)〜25日(月)
岡山高島屋さんにて
「江戸・東京の味と技展」に
出店させていただます!
場所は8階催事場です
✳︎最終日2月25日(月)は午後4時閉場
伝統の江戸、発信地・東京の魅力をたっぷりとお楽しみください。
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