スターアニスの 『大和路 里の光彩』

アーカイブ中心の風景写真、趣味の書・刻字など・・いろいろと楽しんでおります。

歴史が息づく奈良・円成寺

2009-06-13 22:22:22 | 出来事

柳生から国道369号を奈良市内に向って走ったところに「忍辱山・円成寺」があった。
「にんにくせん・えんじょうじ」と読む・・・と、受付で貰ったパンフで初めて知ったのです。

苑池に咲く「杜若」を撮りたかったのですが遅すぎて、既に葉っぱだけ。次の「蓮」が準備中で、池の周りの皐月がチラホラ咲いていました。

このお寺は奈良市内から12km離れているため、訪ねる人もマバラであるが、あまり手を加えていない自然に溶け込んだ静寂さが漂う寺院です。

天平勝宝8年(756年)、聖武・孝謙両天皇の勅願により、唐僧虚瀧(ころう)和尚の開創と伝えられています。
国宝の春日堂・白山堂(鎌倉時代)、大日如来坐像(平安時代)があり、重要文化財の本堂(室町時代)・楼門(室町時代)・本尊阿弥陀如来坐像(平安時代)・四天王(鎌倉時代)・南無太子(鎌倉時代)などがあり、庭園は平安時代の名勝として、建築・諸仏など、見るべきところが多い寺院です。


▲浄土式船遊式庭園の奥に見えるのは楼門です。この楼門からは入れません。
楼門の前に苑池があるのは珍しいのです。


▲上左:本堂(阿弥陀堂)。寺院造りとしては珍しい入母屋造りの妻入りで屋根の反りが緩やかです。また、正面の階段両側に、廻り縁より少し高くなった高床式の舞台造りが左右にあるのも特徴です。
上右:国宝の春日堂(左)と白山堂(右)。現存最古の春日造りの社殿です。社殿であるのに堂とつくのは、廃仏毀釈の時に免れるためだったのでしょうか?それとも、古くて、小さくて・・・目立たなかったためか???
下左:本堂の舞台造りから右方向を眺めた先には朱色が鮮やかな「多宝塔」が見えます。この中には、運慶作の国宝「大日如来坐像」が窓ガラス越しに、拝めます。
下右:もう片方の舞台から左方向を眺めると、拝殿と春日堂が見えます。


▲「多宝塔」。上層は円形、下層が方形。4本の「四手先」が、軒の出が大きいことを現しています。1階にガラス窓越しに、彫刻史上最高の仏師・運慶作の国宝「大日如来坐像」がありました。大正10年の修理の際、台座の裏面から25歳頃の運慶真筆の墨書銘が確認されたとか・・・。


▲国宝の春日堂(左)と白山堂(右)。大棟の上には「千木(ちぎ)」と「勝男木(おつおぎ)」が乗っている神社建築ですが、軒下の建築仕様は仏教様式となっています。二つの社は、板壁で繋がっていました。


▲左:
本堂の内陣の四本柱には、極彩色で描かれた菩薩像がありました。これは全国でも珍しいとか。
右:本堂から楼門を撮ったもの。応仁2年(1468年)の再建で、楼門の中でも最も格式の高い「三手先」の建築様式なのです。


▲楼門の内側から、下に見える苑池を眺めると・・・心和む景観が広がります。


▲境内は、手入れが行き届き、樹木・草花が咲いていました。


▲境内の一木・一草に趣があります。


▲左:東入り口にあった「勧請縄(かんじょうなわ)」。古来の神事だと思われますが・・・お寺に神事とは・・・?? 「五穀豊穣」「子孫繁栄」・・・神も仏も・・・あったのです。
右:カラタネオガタマ(唐種招霊)、別名:バナナの木。花の命は短くて1~2日で散ってしまい、花はバナナの香りがします。


明日は、春日大社神苑・萬葉植物園の花菖蒲を紹介致します。