このところNスペ本が続いてるなあ。
リーマンショックについて取材を重ねて、
関係者・当事者からの「肉声」によって同名番組の文庫本化。
リーマンショックの遠因として、
超円高に悩む日本政府が行った大量の円売りドル買い介入を挙げているのが興味深かった。
グリースパンはさすがに住宅市場が過熱し過ぎると、短期金利であるFFを引き上げるんだけど、
何故か長期金利は反対に下がってゆく。
それはドル買い介入した日本のドル資金でアメリカ国債を買っていた為で(債券価格の上昇=金利の低下)
政策金利を低めに誘導するというFRBの思惑とは反対に長期金利は低下してゆく。
この矛盾を、金融の神様グリーンスパンFRB議長でも解けない謎「コナンドラム」と言って、
当時ちょっとした流行語になったりした。
で長期金利低下は住宅ローンを組みやすくなる、って事で更に住宅バブルが加速してサブプライムローン問題が始まったと。
グリーンスパンとしても「住宅は購入の手続きが煩雑なので簡単にバブル化しない」って油断があったそうなんですな。
おいおい日本のバブルを見てなかったんかい?と言いたいところだけど、
実は反対に「日本経済の失われた10年(当時)」を徹底的に研究・分析した結果、
「バブル崩壊しても、その後処理を適切に行えば大丈夫」って結論に至るんですな。
確かに「百年に一度の金融危機」リーマンショックを世界大恐慌に発展させなかったのは、
日本と違って事後処理が適切だったからかも知れないんだけど、
1000兆円にも及ぶと言われる損失は、じゃあいったい誰がまどうたのか?
となると、これが回り回って日本国民が支払ってたりして、
最後の推論はこの本には載ってないけどね。