竹清勇の囲碁の宝石箱

普段何気なく囲碁に接している時間。
愛好家の方には上達の宝庫だと思い紹介していこうと思いました。

最強コンピューターとの対局!

2014-11-19 01:10:09 | 観戦記

こんばんは。竹清です。

 

先日、電通大学で最強と言われるコンピューター囲碁「ゼン」と対局してきました。

ゼンは直近の成績で、トップ棋士と4子局で互角に戦っているそうで、ゼンの研究に関わっている大橋プロいわく「4子はプロが相当頑張らないと勝てない」とのこと。

もっともゲームでコンピューターが人間に勝てないのはもう囲碁だけですから、人間最後の砦というわけです。

トッププロに4子で打てるとしたら、碁会所では7段格ほどになる。

私がゼンとの対局募集を引き受けたのは、この成長を肌で感じたかったからです。

 

私とゼンの手合いは開発者の希望により4子局。プロが本気を出したデータがほしいとのこと。

今回のゼンはコンピューターを4台つないだもので、1台のゼンよりも2目ほど強いらしい。

これ以上は2000台まで増やしても強くならないと、開発者の方は言う。理由は台数を増やして並列に分析させても、コンピューター同士が分析結果をうまくディスカッション出来ないらしい。

コンピューター4台に、短いタームで分析結果をディスカッションをさせるのが今のところ最大効率で強さを引き出せるそうです。

碁の内容は、布石から中盤にかけて、私もミスなく的確にゼンの悪手に付け込んで猛然と追い込んだ。ゼンに詳しい大橋プロも「ゼン相手にはベストな打ちまわしだった」と言ってくれていた。

それにも拘わらずヨセに入って猛烈に細かい。人間相手なら中盤にあそこまで追い込めば10目はこちらに残りそうな碁の流れだった。そこがコンピューターの不気味さを感じるところでした。

いまコンピューターの思考方法はモンテカルロというもので、適当に良さそうな場所から打って、そのあとも同じ方法で整地まで膨大な終局図を分析し、勝ちの率が最も多かった手を選んでくる。

つまりある局面で、適当に良さそうな場所にいくつか着手して、ひとつの着手につき100万回終局図を作るとしたら、70万勝ち図、30万負け図よりも80万勝ち図、20万負け図の着点を選んでくるということです。

この思考方法により飛躍的に棋力が向上したそうです。

 

最終的には小ヨセで、4目の手がある局面でゼンが2目の手を打ったので逆転勝ち。もしミスが出なければおそらく私が1目程負けていました。

そこで2目程私の勝ちになった瞬間、ゼンの投了。これはゼンが投了した画面です。

 

終局後、私が「これだけ飛躍的に強くなれば10年で追いついてきそうですね」と、開発者の方に聞いたところ「コンピューター自体の性能は理論的にほとんど限界まできている。たぶん追い付けないし、革命があっても20年はかかる」とのこと。

ウインドウズXPから今のウインドウズの使い勝手があまり変わっていないという例えでたしかにしっくりきた。

 

なぜ囲碁だけ、コンピューターが勝てないのか。それは人間に備わっている「大体こんな感じ」という言葉で説明できない感覚を囲碁はフルに使ったゲームだからだと開発者の方は言う。

人間にはコンピューターが究極的に目指すナノマシンというものが脳に備わっているとのことです。

 

人間は1秒間に何千億を演算するコンピューター相手に修練しだいでは勝てる能力が体の中に搭載されている。なんともロマンチックではないですか?

そんな満足感を覚えながら帰りました


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