脳卒中をやっつけろ!

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遠位バルーンによる脳保護

2010年01月20日 | 脳梗塞
前回の続きです。

そこでまずクローズアップされたのが、もう一つバルーンを入れて血流を止めてしまい、治療後に血液ごと吸い取る方法です。
単純な発想の方法ですが、これはかなりうまく行きました。
実際に血液を吸い取って、それをフィルターの上に出してみると、上の図のようにツブツブとした動脈硬化の破片(デブリス)がたくさん確認されることがありました(この患者さんはこの方法を行って本当に良かったと思います)。
こういう患者さんは全体の1割程度だったと思います。ですから「9割にはなんにもいらないな」と思って治療していました。フィルターを使い始めるまでは...。つまり、目に見えるつぶつぶが悪いと思っていたのです。
もちろん、デブリスが飛ぶのは明らかに悪い。しかしそれだけではなかったのです。(次回のフィルターのところでもう少し説明します。)

さて、この方法は最初はもう一本別のバルーンカテーテルを入れる等が必要でしたが、心臓に用いられていたPercusurge(パークサージュ)という風船付きのガイドワイヤーが使えるようになってから状況が一変しました。
もともと普段からCASの時に挿入していたワイヤーに風船がついて、膨らましたりへこましたりできるのです。非常に簡単です。
ですからこの方法はあっという間に日本全国に広がり、そのおかげでCASの治療成績は向上しました。保険適応がとれていない状態だったのに、知らぬ間にCEAより多く治療されるようになってしまったという、CASをメインの治療に押し上げたスグレものです。
しかし企業が日本での正式な認可を申請していなかったため、まだ承認されていません。もうすぐ承認されるとのことですので待ち遠しいです(^^)
コメント (1)
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