昨夜とんでもないニュースが飛び込んできた。「今年のノーベル文学賞にボブ・ディラン氏」というもの。
今年前半はデヴィット・ボウイに始まり、グレン・フライ、プリンスと大好きなアーティストの訃報に落胆続きだった。私のディラン熱は初来日以上前からの40年以上のもので、「ビリー・ザ・キッド」(Billy The Kid)以来リアルタイムで聴いてきた。途中低迷した80年代のクリスチャン時代や復活を遂げた90年代、その後トラディショナル回帰をみせたり心臓発作で倒れたりしながらも現在に至っている。いまだに新作を発表し全世界でツアーを続けている。彼は何より歌うことが好きなんだろうしミュージシャンでありパフォーマーなのだと思う。
昨日のニュースを見る限り、彼を語る時「風に吹かれて」に代表されるプロテストソングでひとくくりにされて語られることが多い。けどそれは60年代ごく初期の数年のことで彼の難解と言われる詩作で魅力を発揮するのは65年以降のロックに転じてからの方がはるかに重要である。その詩作の魅力は今も衰えていない。セールスとかより、ジョン・レノンやポール・サイモン、ジミ・ヘンドリックスを始めとする数多くのミュージシャンやアーティストにインスピレーションや影響を与えリスペクトされ続け今もなお現役のミュージシャンというところがなにより素晴らしい。
昨日の祝杯は久しぶりに格別美味だった。
ディランの詩は底の見えない井戸を覗き込むような感じがする。
鐘を鳴らせ、麗しきマルタよ 貧しい人のせがれのために
鐘を鳴らせ、そうすれば世界も気づくはず 神はひとつだと
あぁ 羊飼いは眠っている 柳がしだれるところで
そして山はたくさんの迷い子の羊たちで 溢れんばかり
「鐘を鳴らせ」(抜粋) ボブ・ディラン:詩 中川五郎:訳
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