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2024夏シーズンアニメ感想

2024-10-08 23:51:00 | アニメ
夏期(7〜9月シーズン)のアニメのうち、全話完走したものの感想を

『異世界スーサイドスクワッド』
『小市民シリーズ』
『ザ•ファブル』
『逃げ上手の若君』
『推しの子(2期)』

★★★★★★→最高
★★★★★☆
★★★★☆☆
★★★☆☆☆
★★☆☆☆☆
★☆☆☆☆☆→最悪

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『異世界スーサイドスクワッド』
★★★★☆☆



DCコミックのヴィラン(悪もの)どもがチーム組んで…剣と魔法の異世界に送り込まれる。先に来ていた悪党どもが異世界を支配しようとしていて、悪党同士の戦いが始まる。
みたいな物語。
DCコミックにそんなに詳しくないので、出てくるキャラで知ってるのはジョーカーとハーレイクィンくらい。
あんま面白くないなぁ…と思いながらもハーレイが可愛いというその一点が最後まで観るモチベになった。
まあ、でも、アクションカッコいいし、ギャグも笑えるし、布袋さんのメインテーマもかっこいいし、思ってた以上に脚本よくできてたし、やっぱハーレイかわいいし…
なんだかんだで最終回まで完走できたのは本作に色々魅力があったということだろう。
ジョーカー映画続編の長い番宣に付き合わされたのかもしれないが(観るけど)

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『小市民シリーズ』
★★★★★☆



主人公は推理が得意な高校生の小鳩君
同級生の小佐内さんがどうもミステリー仲間らしい。2人はミステリーに関わって推理で事件を解決…したりなんて決してしない、犯人探しなんかとは無縁な「小市民」を目指している。
…ってことはもちろんこの2人が図らずもいろんな事件に巻き込まれて推理をするハメになる、という物語。ただし事件といっても極めて些細な事件。
紛失したポシェットはどこに?とか、洗いものを出さずにどうやってココアを作ったのか?とか、かわいい事件がつづく
物語より雰囲気重視な演出。時々鈴木清順風に急に場面が変わったりと不思議な演出。
そういうの嫌いな人も一定数いるだろう。小鳩君と小佐内さんの関係もなんだか曖昧なまま物語は続くし、すっきりしない
けれどもシーズン終盤、突如としてそれまでのユルフワ展開が激変する。
小佐内さん誘拐事件。
そして小佐内さんを助け出す小鳩君だが、その事件の真相に気づく。最終回の妙な緊迫感と、これまで以上にノリノリな鈴木清順風演出が暴走し、そしてわけわからんがいやーな余韻を残すラストカットもなんだか素敵だ。
前半微妙な評価だったけど、後半で一気に株価ストップ高寸前。第二期作られるといいな。これ好きな人結構物好きな気もするけど。小鳩君と小佐内さんの行く末が気になる。

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『ザ•ファブル』
★★★☆☆☆



春期からの2クール連続。多少の端折りはあるもののほぼ原作通りのストーリーは面白い。役者陣も上手いところでガッチリ固めて安定感ある。
女3人のキャスティングの鉄板ぶり。

ミサキ→花澤香菜(赤血球ちゃん、鬼滅蜜璃)
ヨウコ→沢城みゆき(鬼滅堕姫。報ステナレーション)
ヒナ→安済知佳(リコリコ千束、響け麗奈)

役者で一番感銘受けたのは若頭海老原を演じた大塚明夫さんか。海老原すぎる。

ストーリーと役者で最後まで観れたけれども…完走できずに挫折するアニメも多い中で最後まで観れたのはそれだけですごいことだけれども…

つくづく残念なのは、なんでこんなに作画力の無いところで作品化してしまったのだろうってこと。原作の劇画調のリアルな画とそのギャップのギャグの面白さが全く無い。あれでは昭和のギャグアニメじゃないか。原作のアクションの迫力も、漫画だからできることではあったけど見開きを使った緩急ある演出も、アニメからはことごとく削ぎ落とされてしまった。
原作のエロ要素を省いたことは、まあ、多少は仕方ないというか事情は察しつつも…やっぱ残念だった。
制作は手塚プロなんだけど、手塚作品ならあの画風もありかもしれんけど、ファブルには全然向いてなかったのではないか。
もっと画力のある会社が作っていればすごい傑作になったのでは…せっかくのファブルがこの程度のクォリティでアニメ化されてしまったことが残念でならない。
「装甲騎兵ボトムズ」の高橋良輔監督ということで超期待していたが、ボトムズの頃の方が画もアクションも良かった気がする(青春時代のアニメの記憶美化なだけかもしれないが)
とは言え、ヨウコがらみのエピソードはどれも面白い。ぺ•ダイヨチャとの対決?エピソードは普通に笑えたし、ヨウコと鈴木の対決シーンはスローモーションなど使わずにガチ6秒で描ききったところは思わずおぉーと声をあげてしまった。
第二期山岡編もアニメ化してほしいけど、も少し作画のクォリティアップをのぞむ。

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『逃げ上手の若君』
★★★★★☆



自分は比較的歴史好きの方の人間だと思っているが、室町幕府成立期については、映画、ドラマ、アニメ、漫画、小説化されること自体が少ないのであまり詳しくはない。
唯一映像化されたのを観た記憶といえばNHK大河ドラマ『太平記』だ。
足利尊氏は普通は悪者として扱われる。政敵の後醍醐天皇を追放し自分に都合のいい天皇を立てて(いわゆる北朝)、それに対して後醍醐天皇がいわゆる南朝を立てて我こそが正当な天皇だと言って、それによって天皇が同時に2人並び立つ政治的不安定時代を迎える。
特に大日本帝国政府が尊氏を悪人として伝えたと思うが、尊氏=悪の思想自体は江戸期からあったと思われる。

私に言わせりゃそれはただの政治対立に過ぎずどちらかが一方的な悪ってことはないと思う。尊氏も後醍醐天皇もそれぞれ大義があっただろうし。(『逃げ上手の若君』の主題歌「プランA」にも、「仕方ないや、善悪じゃなくて、正義同士」という一節がある)

この鎌倉幕府滅亡から南北朝時代の動乱期は、源平、戦国、幕末に匹敵する歴史の転換期だったのに、フィクションで舞台になることは非常に少ない。いくらでも面白おかしく物語にできそうな時期なのに。天皇に楯突いた尊氏は家康なんかよりよっぽど扱いにくい人物だろうし、どう描こうとも最後には「悪人」尊氏が勝ってしまうからだと思う。

思い返して『太平記』が良かったのは尊氏を悪人としてではなく、時代を変えた英雄として描いたことか。
その『太平記』ではろくに登場しなかった北条時行(昔のことなので記憶にないが改めてwikiで調べると時行の反乱はナレーションで語られただけだったらしい)が主人公のアニメが『逃げ上手の若君』である。

義経も家康も龍馬も描き尽くされた中で、室町幕府成立期を舞台にするという狙いのつけどころがいい。しかも足利尊氏でも楠木正成でもなくマイナーな北条時行を扱うところもいい。知らないことばかりだからあちこち新鮮。

正直言って私も時行のことはこのアニメを見るまでほとんど知らなかったが、鎌倉幕府再興をかけ足利尊氏に何度も反乱を起こし、時には鎌倉奪還に成功までしたが、尊氏の鎮圧軍が来ては逃げ、また反乱を起こしては逃げとだいぶ足利幕府を翻弄したやつだったらしい。時代の回天こそならなかったが、強者に媚びず信念を貫いた人物として(この作品では)評価している。

この作品は足利尊氏=悪とする旧来の史観の延長であり、新しさは無い。けれども尊氏は悪人というよりは想像を絶する化け物として描かれる。
善か悪かは置いといて時代を動かした怪物だったことは間違いないからデフォルメとしては面白い。
劇中の尊氏は野望に燃える悪党のようには描かれずむしろ純粋な少年のような心を持っているようにも見える。だが自覚があるのか無いのか人外の力を持って敵対者を滅ぼしていく恐ろしい奴だ。時行がとても勝てそうにない(史実的に勝てはしなかったのだから仕方ない)
そういえば実際に鎌倉を軍勢で攻め滅ぼしたのは尊氏でなく新田義貞だが、劇中には出てこない。ちょっと勿体無いが、物語の軸がぶれるからだろう。

この第1期において、時行と尊氏の対決はない。
時行はまだ10歳くらいの子供で、同じ年齢くらいの少年少女たちを仲間に引き入れながら、圧政に苦しむ村を救ったり、匿われている信州諏訪の地を脅かす足利派の侍たちと戦ったりする様が描かれる。

少年誌らしい可愛らしいキャラと、ギャグと、そして友情と根性と熱い想いで強敵を倒し成長していく姿が小気味よく描かれる。
アクションもスピーディーで、全体的に絵もキレイ。さしてモブ描写でもないのにあえて顔をのっぺらぼうに描く意図的な省略画(原作未読だが多分原作通りなんだろう)も作品世界にあっている。
主題歌も良い。
大して山場でもないところで最終回となってしまったのが残念。第二期は当然見るでしょう。

玄蕃の声は悠木碧…薬屋猫猫じゃないか
『妻、小学生になる』の妻も演じてらっしゃる
なんて役者だ
ただの天才じゃないか





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『【推しの子】 』(2期)
★★★★★★



この夏期のアニメの中で圧倒的ぶっちぎりで面白かったのは『推しの子』だった。
セクシー田中さん事件を連想させる制作システム上のコミュニケーション不全による原作改変そして作者ブチ切れ問題(セクシー田中さんの時も推しの子のような解決策を取っていれば良かったのに)から始まり、2.5次元舞台のアニメ再現の圧倒的な面白さ
いかに演じるか
演者の資質に見合った演技の選択
下手な役者の輝き方
憑依系演技と、主張系演技の違い
感情演技のできないものが如何にして感情を発露するか
…などなど様々な演じることの課題と面白さがこれでもかと表現されて、とにかく引き込まれる。
演出丸投げしすぎじゃねとか、稽古でやってないこと本番でいきなりとか、ツッコミどころはあれど、そんなこと吹き飛ばすぐらいに役者たちが舞台でバチバチぶつかり合う面白さにのめり込むようにして観続けた
なんか全ての役者や映像作家に観てほしいと思った。
そして最終回。黒い星を宿したルビーの姿を成す術もなく見守るしかなくなったその不安感。急展開の予兆を見せる幕切れ。一体どうなっちまうんだ!
最終回付近で急にに出てきたアイツとアイツは何者だ!?
うぉぉ!つづき早く観たい。
原作未読だが、正直アニメ初見で続きを観たい(アニメ完結してから原作追いたい)

主題歌が「アイドル」じゃなくなったのはちょいと寂しいけど、新主題歌もなに言ってるか全然わかんないけど英語の歌とでも思って聞いてるとかっこよく思える。
それよりもエンディング。
羊文学の「Burning」。
毎回、エンドシーンでエンディングのイントロがフェードインしてくる音響演出がけっこうふるえる、しびれる。


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