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劇場版 甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道

2005-12-19 23:47:36 | 映評 2003~2005
悪人ブラック博士が言う「ムシキングを制する者は、全宇宙を支配できるのだぁぁ!!」
・・・いや、多分無理だと思うよ・・・と突っ込もうと思ったが、それを聞いている主人公の少年の真剣な表情を見ていると、それはできなかった。

「ムシキング研究所」はただのゲーセンにしか見えなかったが、そこも突っ込むのはやめよう。

基本なんてことない子供アニメであるが、あと一発喰らえば負けるというところまで追い込まれ(敵はほぼ無傷)、その上で大逆転する展開はけっこう燃える
微妙に関心したのは、「ムシキング」禁止を命じた父ちゃんを、子供が説得して「ムシキング大会」出場を認めさせるシーン。映画のお父ちゃんでなくたって、家業とムシキングのどちらが大切かは言うまでもない。それでも子供は父親を説得しなくてはならない。くだらないカードゲームかもしれないが子供なりの価値観においてそれは全てに優先される事項なのだ。しかしそんな情熱をいくら熱っぽく語ったって大人には通じない。議論する二者がそれぞれの価値観に依って自分の正しさを説いたって相手には絶対通じない。そんなときは、相手の価値観の上に立ち、自分の味方をすることが相手の得になるという論法で説得するべきなのだ。(参考文献:マイケル・ムーア著「おい、ブッシュ、世界を返せ!」・・・リベラルがガチガチの共和党員を説得する方法として以上のような事が書かれていた。)
さて、主人公の少年は言う。「もし僕がムシキングで優勝したら、うちの店には世界中から客が来るよ。世界一の蕎麦屋になりたいっていう父ちゃんの夢に近づくじゃないか!!」そう言われると頑固だった親父も、待てよ、それは悪くないな、と説得されかかってしまう。見事である。あの少年、ただムシキングが強いだけのガキではない。なかなかの世渡り上手である。

もう一点
音楽が必要以上にかっこいい。「バトル・ロワイアル」シリーズの天野正道が重厚なサウンドを聴かせる。しょぼい絵と豪華すぎる音楽のギャップがまた映画の楽しさを増幅させる
日本の映画音楽は、天野正道と大島ミチルの2人が支えていると思っている。しかし日本映画のスケールの小さいストーリーと、しょぼい映像には、天野正道や大島ミチルが腕によりをかけて作ったシンフォニックスコアは似合わない。
そういうわけで大島ミチルは「鋼の錬金術師」や「ゴジラ × メカゴジラ」などアニメや特撮でしか才能を発揮できず、天野正道も似たようなもんである。
言い換えれば、アニメ映画は本来なら日本を代表していてもおかしくない才能豊かな作曲家の音楽を聴く事ができるという良さがあるのだ。そうは言っても大島と天野の2人は、いつまでもアニメや特撮の仕事ばかりしてないで、ハリウッドで活動してほしい。オスカー獲れるって!!

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ところで「甲虫王者ムシキング」とは、ずいぶん驕り高ぶったタイトルである。トンボ類、直翅類、など昆虫の様々な分類の中の一つ「甲虫類の王」と最初に断っておきながら、すぐ次には「ムシキング」と虫全体の王であるかのごとく・・・スズメバチとかオオカマキリとか甲虫以外にも強そうな奴はいるのに・・・
「アメリカ大統領セカイキング」とか「白人王者ニンゲンキング」とか言うのと同じくらいおごり高ぶって聞こえるのは私だけだろうか?(私だけだろう)
それに「ムシバトル」とか言っておきながら、甲虫にしか出場権を与えていないかのようなゲームは、まるで黒人の出場を認めなかった昔のメジャーリーグみたいだ。
・・・などという私の難癖などなんのその、ムシキングは子供たちに勇気の大切さを伝えていくのであろう・・・

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