個人的評価: ■■■■■□
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]
2012年度のマイベストワン最有力候補の映画。これを超える興奮を味あわせてくれる映画なんて果たしてあるのだろうか?
しかし、本作は単純に物語の面白さだけ考えると、致命的な欠点がある。
主筋である、30年前の殺人事件の犯人は誰なのか・・・のところが全く面白くない。
無駄に複雑。「まさかあの人が的どんでん返し」も伏線が弱くてただ唐突なだけで驚きも感動もない。
推理ドラマとしてはせいぜい中の上。
しかし主筋とは関係ない部分が面白すぎて、欠点がどうでもよく思える。
主筋とは関係ない、ドラゴン・タトゥーの女リズベットの話の流れから言えばカットしても差し支えないはずの脇筋エピソードがいちいち面白い。
特に主筋が面白くもなんともない前半。「そのころリズベットはデブを拷問していた」みたいな関係ないにも程がある挿入エピソード。
そして中盤でついにダニエル・クレイグの主人公ミカエルがリズベットを助手に雇う。まさか当時ほぼ無名の女優に食われまくることになろうとは、ミスターボンドのクレイグ氏は予測していなかったに違いない。
本来ミカエル(ダニエル・クレイグ)が「ホームズ」、リズベット(ルーニー・マーラ)が「ワトソン」(ボアロとヘイスティングスでも、明智小五郎と小林少年でもいい)として、助手は探偵の引き立て役であるべきだ。
ところがこの助手が目立ちすぎる。
すぐ怪我する弱っちい探偵を助けた挙句、探偵が結構と言ってるのに有無を言わせずセックス始めたり。
ついに見つけた真犯人に探偵があっさりつかまり縛られ拷問され(Mなダニエル・クレイグとしては嫌な役ではないのだろうが)るヘナチョコぶりを見せていると、助手は知能と機転と格闘とカーチェイスで犯人を粉砕。
挙句、驚愕のラスト20分。事件はとっくに解決したというのにリズベットはたったの20分で007一作分の国際スパイ的大活躍で悪党を倒す。ツリー・オブ・ライフの宇宙や恐竜より唖然とするまさかの展開。
ドラゴン・タトゥーの女、リズベット。凄すぎる。
ハッキングはできるし、バイクは乗り回すし、殺しにためらいないし、最終的に敵を倒すためならその過程で自分が痛めつけられることも厭わない。
しかも力づくでねじ伏せるだけの実力を持ちながら狡猾な罠を仕掛けて後々の保身まで考える。
これだけならゴルゴ13の女版でしかないのだが、さらにラスト人並みに失恋している姿がなんか可愛い。
強い、エロい、頭いい、ずる賢い、それでいて可愛くて、弱々しい。なんだこいつ。
殺人事件の捜査といった主筋やダニエル・クレイグというスターをかませ犬にして、ひたすらドラゴン・タトゥーの女リズベットの凄さを見せつけまくる。
こんな映画ありかよ、と驚愕。
デビッド・フィンチャーのりにのってる。才能ある映画作家にある時期訪れる「何をやっても不思議と上手くいってしまう期」に入ったようだ。
[追記]
「キックアス」のヒットガールVSドラゴン・タトゥーの女でヒロイン最強対決してほしい。
普通に接近戦ならヒットガールの方が強いだろうが、正面突破しかしないヒットガールに比べてリズベットの卑怯かつ狡猾さは脅威だ。最終的には二人で協力して悪党どもを殲滅するのだろうが。
********
ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円
------------
↓面白かったらクリックしてね
にほんブログ村
人気blogランキング
自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
[6段階評価 最高:■■■■■■、最悪:■□□□□□]
2012年度のマイベストワン最有力候補の映画。これを超える興奮を味あわせてくれる映画なんて果たしてあるのだろうか?
しかし、本作は単純に物語の面白さだけ考えると、致命的な欠点がある。
主筋である、30年前の殺人事件の犯人は誰なのか・・・のところが全く面白くない。
無駄に複雑。「まさかあの人が的どんでん返し」も伏線が弱くてただ唐突なだけで驚きも感動もない。
推理ドラマとしてはせいぜい中の上。
しかし主筋とは関係ない部分が面白すぎて、欠点がどうでもよく思える。
主筋とは関係ない、ドラゴン・タトゥーの女リズベットの話の流れから言えばカットしても差し支えないはずの脇筋エピソードがいちいち面白い。
特に主筋が面白くもなんともない前半。「そのころリズベットはデブを拷問していた」みたいな関係ないにも程がある挿入エピソード。
そして中盤でついにダニエル・クレイグの主人公ミカエルがリズベットを助手に雇う。まさか当時ほぼ無名の女優に食われまくることになろうとは、ミスターボンドのクレイグ氏は予測していなかったに違いない。
本来ミカエル(ダニエル・クレイグ)が「ホームズ」、リズベット(ルーニー・マーラ)が「ワトソン」(ボアロとヘイスティングスでも、明智小五郎と小林少年でもいい)として、助手は探偵の引き立て役であるべきだ。
ところがこの助手が目立ちすぎる。
すぐ怪我する弱っちい探偵を助けた挙句、探偵が結構と言ってるのに有無を言わせずセックス始めたり。
ついに見つけた真犯人に探偵があっさりつかまり縛られ拷問され(Mなダニエル・クレイグとしては嫌な役ではないのだろうが)るヘナチョコぶりを見せていると、助手は知能と機転と格闘とカーチェイスで犯人を粉砕。
挙句、驚愕のラスト20分。事件はとっくに解決したというのにリズベットはたったの20分で007一作分の国際スパイ的大活躍で悪党を倒す。ツリー・オブ・ライフの宇宙や恐竜より唖然とするまさかの展開。
ドラゴン・タトゥーの女、リズベット。凄すぎる。
ハッキングはできるし、バイクは乗り回すし、殺しにためらいないし、最終的に敵を倒すためならその過程で自分が痛めつけられることも厭わない。
しかも力づくでねじ伏せるだけの実力を持ちながら狡猾な罠を仕掛けて後々の保身まで考える。
これだけならゴルゴ13の女版でしかないのだが、さらにラスト人並みに失恋している姿がなんか可愛い。
強い、エロい、頭いい、ずる賢い、それでいて可愛くて、弱々しい。なんだこいつ。
殺人事件の捜査といった主筋やダニエル・クレイグというスターをかませ犬にして、ひたすらドラゴン・タトゥーの女リズベットの凄さを見せつけまくる。
こんな映画ありかよ、と驚愕。
デビッド・フィンチャーのりにのってる。才能ある映画作家にある時期訪れる「何をやっても不思議と上手くいってしまう期」に入ったようだ。
[追記]
「キックアス」のヒットガールVSドラゴン・タトゥーの女でヒロイン最強対決してほしい。
普通に接近戦ならヒットガールの方が強いだろうが、正面突破しかしないヒットガールに比べてリズベットの卑怯かつ狡猾さは脅威だ。最終的には二人で協力して悪党どもを殲滅するのだろうが。
********
ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン
↑この度、「ブロガーによる00年代(2000~2009)の映画ベストテン」を選出しました。映画好きブロガーを中心とした37名による選出になります。どうぞ00年代の名作・傑作・人気作・問題作の数々を振り返っていってください
この企画が講談社のセオリームックシリーズ「映画のセオリー」という雑誌に掲載されました。2010年12月15日発行。880円
------------
↓面白かったらクリックしてね
にほんブログ村
人気blogランキング
自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
またよろしくです♪