
さすがはリングの中田監督といいますか、終盤のポルノホラーな感じの異様さ、恐怖感、しかしエロい感じは異常な迫力で惹きつける。
とはいえ、脚本的には10分に一度の濡れ場という制約と十分に戦い切れていない印象も受けた。
いくらなんでもあの後であの男のキスを受け入れないだろう。その理由は早くあのクライマックスに持って行きたかっただけなのでは、と思ってしまう。
「はるかちゃんの気持ちはどうなの?」
「私の…気持ち?」
みたいなおうむ返し型会話も個人的にはどうかと思う。
そうした違和感はあれど、クライマックスの迫力と、ラストの濡れ場の対等な立場で求め合い傷を舐め合うような情欲の爆発感は、主演2人の魅力もあって印象深い。ラストの憑き物のおちたようなヒロインの顔も素敵だ。(個人的にはラストは「雨月物語」にしてほしかったけど)
本作の感想から外れるが、いま改めて同じロマンポルノリブートの「風に濡れた女」はすごい傑作だったと思い返す。
10分に一度の濡れ場、という制約をギャグと割り切ることで、制約を全て笑いに変え、しかも2人は果たしていつヤルのか?とスリリングな物語を生んだし、男女の愛がカリカチュアライズされていた。
結果としていたって真面目に本気に向き合った「ホワイトリリー」よりもふざけて作った「風に濡れた女」の方が物語的な深みも出たように思う。