
こんにちは!あたしメリるん!女優よ!(๑˃̵ᴗ˂̵)
あたしの夢はいつかあの伝説の演目「紅天女」の主演をつとめること!月影先生に紅天女を認めてもらうために頑張るの!ライバルの姫川グレン・クローズになんか負けないんだから!
そんなわけで、女優頑張んなきゃ!道がないなら自分で道を作ればいいの!o(^▽^)o
だから、何事も修行と思って色んな人と共演したわ。セクハラのダスティンさんとも、不良のジャクニコさんとも。ダーティーなクリントさんとも。そして、ああ、素敵なロバートさんとも!
ロバートって言ってもデニ郎さんじゃないわよ。私がときめいたのはレットフォードさんよ(╹◡╹)♡アフリカでロケしたの。うっとりしちゃったわ。「今こそ認めよう愛してる」とか言われた気もするけど違ったかしら。
そりゃねデニ郎さんとはまあ仲良いいわよ。随分共演したし。でもあの人、プライベートだと口が悪くて、こないだもトランプ大統領のこと汚い4文字言葉でののしってたの。もっとも私もトランプさんから「過大評価されてる女優」とか言われたけど!٩(๑`^´๑)۶
いけない!いけない!女優としてまだまだ頑張らなくっちゃ!
そうしたら、ウェス・クレイブンって言う『エルム街の悪夢』とか『スクリーム』ってホラー映画で有名になった監督からオファーが来たの…
いやん、メリるんホラーなんて無理ー:;(∩´﹏`∩);:
でも、なんでも頑張るって決めたんだから恐る恐る送られてきた台本読んだの。
そしたらびっくり、ニューヨークはハーレムで貧しい少年少女たちにバイオリンを教えるロベルタさんって女性の実話で、とってもいい話だったわ!恋人にキレるところとかちょっとホラーかもって感じしたけど。
よーしメリるん頑張る!バイオリンの教師の役なんだからバイオリン弾けなきゃダメよね!頑張るんだから!撮影まで2ヶ月?よーし今からバイオリンの特訓して本物のロベルタさんくらい上手くなってバッハくらい弾きこなしてやるんだから!!月影先生!観ていてください!
------
などと、「ガラスの仮面」(美内すずえ著)読んでないとよくわからない部分も散りばめて話を進めましたが、いい加減ドン引きされてるに違いないのでいつもの書き方に戻します。
今回は1999年のアメリカ映画『ミュージック・オブ・ハート』を取り上げます。ウェス・クレイブン監督、メリル・ストリープ主演です。本作でメリルはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。
この時期もその前もその後も今に至るまで、彼女は毎年のようにアカデミー賞にノミネートされています。受賞回数は主演2回助演1回の3回ですが、ノミネート回数は演技部門では歴代1位の女優です。
メリル・ストリープという方は映画史に残るレベルの女優だと思います。
社会的な問題でもあるのですが女優が一線で活躍できる期間というのは、男優に比べて短いものです。ミュージック・オブ・ハートは1999年の作品ですからあれから20年近く経っていると言うのに、未だに一枚看板の主演作が作られてしかもヒットさせるという女優はハリウッドにも他にあまりいないです。
日本で言えば、吉永小百合さんくらいでしょうか。
とは言え吉永小百合さんはもともと若い頃にアイドル的なブレイクをして以来、その長いキャリアで一貫して「吉永小百合さん」であり続けたのですが、対してメリル・ストリープさんの場合は常に「メリル・ストリープではない誰か」を演じてきました。
※別に吉永小百合さんを批判も否定もしてないです。あの人の生き方もカッコいいです。
メリル・ストリープさんは、強い人も弱い人も、いい人も悪い人も、金持ちも貧乏も、明るい人も陰険な人も、架空の大統領も実在した首相も演じてきました。
どれひとつとして同じような役がないような気がします。
話を戻してミュージックオブハートですが、この作品では実在した女性を演じているわけですが、本作でも役柄に合わせてバイオリンの特訓をして、劇中でメリル演じるロベルタが奏でる音は吹き替えでなく現場でメリル本人が出している音なのだそうです。
恋人にわめき散らすメリルも、パパの不在のわけを問われてキッと子供の目を見据えながら大人の事情を語りつつ溢れる感情を抑えきれずに涙目になっていくところとか、とにかく女優メリル・ストリープの驚愕の演技力をこれでもかと堪能できる映画なのです。
デニーロもそうですが、すごい役者は、笑えば観客も一緒に笑いたくなり、泣けば一緒に泣きたくなり、怒れば一緒に憤り、喜べばまた一緒に泣きたくなるのです。
予算削減で10年続けた小学校でのバイオリン指導が中止となり、なんとか続けようと不屈の闘志で寄付を募るのが後半の展開です。
物語前半から10年が経っていて、子供らは(大人の役者にチェンジして)生意気になってたりします。物語前半で教えていた生徒たちが先生のピンチを聞きつけて協力しようとやってくるのですが、これももちろん大人の役者にチェンジしているとはいえ、ああ、こんなに大きく立派になって…と、つい感動してしまいます。
ま、それはさておき、10年続けたことで理解者や賛同者が増えて、事態はいい意味で予想もしない展開に。
ネタバレですが、小学生たちの寄付金集めコンサートのイベントがカーネギーホールでやれることになります。
会場下見で憧れのカーネギーホールに立つロベルタ。メリルならもっとすごい舞台に色々立ってそうだけど、そんなこと微塵も感じさせず、一音楽教師の憧れを表情だけで見せてくれます。
そこにアイザック・スターンさん(本物)がやって来て声をかけるのです。(スターンはこの映画の2年後に亡くなります)
ほら、あそこにチャイコフスキーがいた。
あそこではラフマニノフがピアノを弾いていた…
…みたいなことを言いまして、テンションの上がるレジェンドたちの名前がぽんぽん出てきてメリル演じるロベルタの気持ちが上がっていくのが、我々の感情の高ぶりとリンクしてくるようです。メリルさんの演技は本当に引き込みます。アイザック・スターンさんもなかなかの名演でしたけどね。
そして、またカーネギーホールに新たな伝説が加わっているわけですよ。ほら、そこのステージではかつてメリル・ストリープが演技していたんだよって
そんなところでまた!
素晴らしい映画とクラシック音楽でお会いしましょう