人の出入り

先月末から、夜組に新しい戦力が加わった。
覚えることはたくさんあるが、1度に多くは誰でも難しい。
とりあえずは、毎日やることから順番に身につけてくれればよい。
こちらは、できるだけ何でも質問しやすい雰囲気を作るように努力している。
一方的に教えるばかりでなく、自分の手を動かしてもらいながら覚えてもらうように心がけている。

教えるなどといっても、私も彼女と同じ立場である。
店がオープンした時、全員が何も分からない中でスタートした。
その時の気持ちを忘れず、常に同じ目線で接するようにしたい。
教えるという作業は本当に大変だが、楽しみもある。
教える過程で、自分も勉強しなおす部分もある。

彼女がやってきたのも、もうすぐ別の女性がやめていくからである。
私と同年代で、夜組の主力としてがんばってきた。
気が回りすぎるくらい回る方で、私などはずいぶん甘えてしまったところもあった。
明るく、接客もとても上手だったし、見習う部分は多かった。
もうすぐ顔が見られなくなると思うと、寂しい気持ちがする。

今の店には通算2年と少しいるが、従業員・店長の入れ替わりはかなり多くあった。
それでも、私にとってはずっと居心地のいい職場だ。
会社の考え方には言いたいこともあるが、従業員どうしは本当に仲良くやってきた。
心から楽しいと感じられる職場というのは、おそらくは初めてかもしれない。
お互いに信じあって、助け合って、支えあって仕事をできている今は幸せだ。

こんなに素晴らしい職場だが、いずれは離れるときが来る。
なにぶん、稼ぎとなると心もとない。
地元・他県を問わず新しい環境を求めているのはここ最近書いている通りである。
こればかりは、1人の人間としてしっかり生きていくため、仕方がない。

しかし、この店で得た出会いは間違いなく一生モノだ。
いつまでお世話になるかは分からないが、たとえ離れても心はつながっていると信じたい。