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サンスクリット辞典

2022年09月22日 | 梵語入門

[あらすじ] インターネット上で引けるサンスクリット辞典を使って学習しているよ。
主にモニエル=ウィリアムズを使うことが多い。
モニエルさんとウィリアムズさんの共同編纂かと思っていたが、
モニエル=ウィリアムズという苗字なのだと知った。
フルネームはモニエル・モニエル=ウィリアムズだとさ。


サンスクリット辞典があれこれ引ける、ケルン大学のサイトを見る。
https://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/
サンスクリット→英語の辞典がずらっと13冊、並んでいる。
発行年順である。

一番上のウィルソンは1832年。
次のイエイツは1846年。
その次の1855年はサンスクリット→ドイツ語辞典だ。
そこから、1856、1866、1872、1873、1879、1884、1887、1890、1891、1893、1899、1900と
辞書が発刊されている。

19世紀後半で英独のサンスクリット研究がいかに盛んだったか、分かる。



1900年発刊、19世紀最後の梵英辞典は、
शब्दसागर『Shabda sagara』という。
शब्दシャブダとは、音、声、言葉、という意味だ。
音も声も言葉も、同じ言葉なのだ。
人間の発する音つまり声はすなわち意味を持つ言葉なのだ。

このशब्दの一語に、サンスクリットという言語の持つ神聖さが詰まっていると思う。

सागरは、海。
つまり、言葉の海というタイトルだ。

日本で初めての国語辞典、大槻文彦による『言海』を連想させる。
『言海』の発刊が1889年からということだ。

辞書の名に「言葉の海」と付けることは、
伝統的なことなのだろうか。

中国古典辞典をざっと調べたことが有るけれど、
海の記憶は無い。憶えていないだけかもしれないけれど。



なんてなことを調べていたら、
『全訳漢辞海』という辞典を見付けた。
漢文を読むための辞書で、2000年に出て、2016年には既に第四版が出ている。
ぎゃー。必要。買う。

辞典としては異例な更新頻度だな。
買ってもまたすぐ次の版が出るんだろう、と思ってしまう。

国語辞典も更新しているし、
やるな、三省堂。



大学でちょっとの間、ドイツ語を勉強した。
独和辞典の古典である、『木村・相良独和辞典』などを使っていた。
’キムラサガラ’と呼び習わしていてものだ。

シャブダサーガラという辞典の名前の’音’から連想したのはこちらだ。



さて、モニエル=ウィリアムズ梵英辞典の第一版は1851年。
新版は1899年の刊行。
モニエルの没年も1899年だ。
どういうことだろう。
辞書の改訂を成し遂げずに亡くなり、これ以上のことは無いから出版された、
ということなのか。
それとも、出版した途端に死んじゃったのだろうか。

辞書の冒頭に、序文が有る。
序文の最後を見ると、モニエル自身によるものだと分かる。
辞書の編纂も成し遂げ、序文も書いたわけだ。

さて、その序文のすぐ下に、息子による追記が有る。
それによると、完成のほんの数日後に父モニエルは亡くなった、とある。
最後の校正結果を見ることは無かったという。
そして数週間後に出版されたそうだ。

何度目かの校正だったのか、モニエルが死んじゃったからそれが最後の校正になったのか。
百何年前のことに思いを馳せればきりは無い。



なんにせよ、先人の仕事の上に、今の私の学びは成り立っている。


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