[あらすじ] インターネット上で引けるサンスクリット辞典を使って学習しているよ。
主にモニエル=ウィリアムズを使うことが多い。
モニエルさんとウィリアムズさんの共同編纂かと思っていたが、
モニエル=ウィリアムズという苗字なのだと知った。
フルネームはモニエル・モニエル=ウィリアムズだとさ。
サンスクリット辞典があれこれ引ける、ケルン大学のサイトを見る。
https://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/
サンスクリット→英語の辞典がずらっと13冊、並んでいる。
発行年順である。
一番上のウィルソンは1832年。
次のイエイツは1846年。
その次の1855年はサンスクリット→ドイツ語辞典だ。
そこから、1856、1866、1872、1873、1879、1884、1887、1890、1891、1893、1899、1900と
辞書が発刊されている。
19世紀後半で英独のサンスクリット研究がいかに盛んだったか、分かる。
※
1900年発刊、19世紀最後の梵英辞典は、
शब्दसागर『Shabda sagara』という。
शब्दシャブダとは、音、声、言葉、という意味だ。
音も声も言葉も、同じ言葉なのだ。
人間の発する音つまり声はすなわち意味を持つ言葉なのだ。
このशब्दの一語に、サンスクリットという言語の持つ神聖さが詰まっていると思う。
सागरは、海。
つまり、言葉の海というタイトルだ。
日本で初めての国語辞典、大槻文彦による『言海』を連想させる。
『言海』の発刊が1889年からということだ。
辞書の名に「言葉の海」と付けることは、
伝統的なことなのだろうか。
中国古典辞典をざっと調べたことが有るけれど、
海の記憶は無い。憶えていないだけかもしれないけれど。
※
なんてなことを調べていたら、
『全訳漢辞海』という辞典を見付けた。
漢文を読むための辞書で、2000年に出て、2016年には既に第四版が出ている。
ぎゃー。必要。買う。
辞典としては異例な更新頻度だな。
買ってもまたすぐ次の版が出るんだろう、と思ってしまう。
国語辞典も更新しているし、
やるな、三省堂。
※
大学でちょっとの間、ドイツ語を勉強した。
独和辞典の古典である、『木村・相良独和辞典』などを使っていた。
’キムラサガラ’と呼び習わしていてものだ。
シャブダサーガラという辞典の名前の’音’から連想したのはこちらだ。
※
さて、モニエル=ウィリアムズ梵英辞典の第一版は1851年。
新版は1899年の刊行。
モニエルの没年も1899年だ。
どういうことだろう。
辞書の改訂を成し遂げずに亡くなり、これ以上のことは無いから出版された、
ということなのか。
それとも、出版した途端に死んじゃったのだろうか。
辞書の冒頭に、序文が有る。
序文の最後を見ると、モニエル自身によるものだと分かる。
辞書の編纂も成し遂げ、序文も書いたわけだ。
さて、その序文のすぐ下に、息子による追記が有る。
それによると、完成のほんの数日後に父モニエルは亡くなった、とある。
最後の校正結果を見ることは無かったという。
そして数週間後に出版されたそうだ。
何度目かの校正だったのか、モニエルが死んじゃったからそれが最後の校正になったのか。
百何年前のことに思いを馳せればきりは無い。
※
なんにせよ、先人の仕事の上に、今の私の学びは成り立っている。
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