犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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私のホタル

2016年08月26日 | 自画自賛
[あらすじ] ガレがガラス器の表面に描いたトンボは、写実的であり
空想的でもあった。
私がトンボを江戸風味の団扇にあしらうには、観察的な部分を残しつつ、
大幅に実物から部分をもぎ取った。


団扇の地を蚊帳にしている。
蚊帳と言えば、蛍でしょう。

と言って、自分では蚊帳を吊ったことも中で過ごした経験も無いのだから、
イメージですがね。
蛍を追って、集めて、蚊帳の中で放して、あかりを楽しみ・・・
翌朝、蚊帳の中が黒いムシだらけでウヱ~~!という話は
伝え聞くではありませんか。

切り紙で、作ってみた。
ゲンジボタルである。
ヘイケではなく、ゲンジを選んだのは、
後頭部(?)の十字の紋が特徴的なことと、ゲンジのほうがちょっと大きいから、
原寸大で作りやすかった。

メスのほうが少し大きく、約2cm。
オスはそれよりも小さく、約1.5cm。

オスの場合、腹の先の2節が光る。
メスは1節だけだ。
光器の部分には蓄光テープを使ったので、暗がりで本当に光る。

触覚や、頭の付き方、脚の付き方など、
リアルに切ってみたら、ホタルという昆虫そのもののようにできあがって、
キモい・・・
かわいくない!
粋じゃない!



調布市の郷土博物館に、市川銕琅(てつろう)という木彫師の作品展を見に行った。
地元調布は国領の生まれということだ。
1901-1987年の人で、師匠の住んだ奈良に工房:最勝精舎をおいた。

作品展のメインは木彫りの作品や、得意とした銕筆による作品だったが、
そのほかに、手作りの道具の数々や、基本となる写生が展示されていた。

和綴じにまとめられた写生帳には、様々な生物が細い筆で克明に描かれている。
蝉や蜻蛉の翅のスジも描きのがさない。

ちょうど、学芸員さんによるギャラリートークが始まった。
中でも印象的だった話は、師匠の銕哉(てっさい)が銕琅に教えたこと。
対象の、「形を写さず心(シン)を写せ」と。

ただ写生に徹すれば良いわけではない。
たとえば、銕琅は煎茶道具をよく作ったが、茶托などは曲面である。
曲面に昆虫を描くのに、ただ描いたら見る人にはゆがんで見えてしまう。
実際とは違った寸法で描くことによって、かえってそれらしく見えるということもある。

そのまま写実的に描くのではなく、特徴を捉えよ、ということだろうか。



ただただ図鑑的にホタルを切ってみても、
団扇の表面を飾るステキな蛍にはならないのかもしれない。

でも、これはこれで行こう。
蚊帳の内側に貼り込むから、ムシっぽさは適度に中和されるんじゃないかな。

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