[あらすじ] ちょっと年上で同じ市内在住の友人Tの実家の片付けを手伝うバイト。
大体が不用品で、それをできるだけ分別してゴミや資源として収集に出し、
どうにも大きい物は粗大ゴミとしてクリーンセンターに持ち込む。
年配の警備員さんの誘導で車を入れ、
係員さんのチェックを受けて計量し、
会計窓口に移動して料金を支払う。
粗大ゴミが出せるのは、一年に10回まで。
収集だと一回に10点までだが、持ち込みならそれ以上でも可能だ。
インターネットでの予約ができるのは10点までなので、
予約した後で、電話をして品目を追加する。
10点でけっこう私のSUV車の荷台が一杯になる事も有るが、
かさばらない粗大ゴミだと、けっこうな点数が積める。
長い物とか、平たい物とか、重ねられる物とか。
前回、「車に積めるだけ持ち込めますので」と言われた。
積めるかどうか積んでみるか。
品目を追加する電話は、前日までにしなければいけない。
積んで、電話して、次の日の持ち込みになるわけである。
これが、イヤだった。
というのも、
粗大ゴミと言えども、においがするからだ。
車に長い時間積んだままにしておきたくないのだ。
もちろん、生ごみのようなニオイではない。
しかし、経年劣化したプラスチックや化学繊維は、
異様なニオイを発する。
何に似ているとも表現できない、妙なニオイだ。
プラスチックのケースや、
古い古いタッパーを嗅いだことが有れば、そのニオイだ。
タッパーくらいのサイズならともかく、
大きな衣装ケースがいくつも、そんなニオイなんである。
強い。
灯油をちゃんと抜いてなかった石油ストーブも有る。
1つならず、有る。
灯油を抜く作業の際に、本体のどこぞに灯油が掛かったりもする。
こんな物どもは、車に積んだらすみやかに降ろしたい。
だから、積んでみるということはせず、
一回に10点でいいや、ということにしていた。
しかし、1ヶ月あまりのうちに5回も持ち込み予約したので、
受付係のニイさんが見かねて、
持ち込みなら一回に10点以上でもいいよ、と案内してくれた次第である。
※
せっかく案内して貰ったので、積めるったけ積んで、追加の電話をすることにした。
電話して品目を追加するのもひと仕事だ。
通話の最後に復唱して確認してくれたが、
そこでも追加漏れが見付かった。
結果、全部で26点であった。
旅行鞄なんか、5つも出てくる。
(後日また2つ出てきた。今後も出続けそうな気がしている。)
Tは、鞄や電気の笠やラグマットやクッションを見るたびに、
「わー!懐かしい!棄てる。」
「これは建て替える前の家のキッチンの電灯だったの!棄てる。」
「あー!これは私の部屋で使ってたの!棄てる。」
「この鞄は卒業旅行で九州に行った時に使ったヤツ!棄てる。」
と、素早く懐かしみ、素早く判断している。えらい。
私も、骨董屋が買い取ってくれそうな物はひとまず保管するように整理する。
ブランド物を見る目が無いので、そこはTに目を通してもらう。
※
窓に近付くことができたので、開ける。
固まっているか、と思った頃にやっとガタピシと動く。
換気扇は有るけれど、まだ物が一杯で、壁のスイッチがどこかは分からない。
ゴミ袋をかぶせてある扇風機を試しにコンセントに繋いでみたら、回った。
窓際に置いて、換気扇代わりにする。
ちなみに、壊れていない扇風機はもう一台有った。
ゴミを出し、物を寄せて、床が見えてきた。
そこに有る古い古い型の掃除機を試しにコンセントに繋いでみたら、動いた。
「家電を捨てるっていう文化が無いの」とTは言う。
壊れていないから捨てないのか。
季節の変わり目に片付けて、次の年には忘れて新しい物を買ってしまうのか、なんなのか。
理由を想像することに益は無い。
使うなら使う。
使わないなら捨てる。
床掃除をする。
劣化したポリ袋や紙きれと埃がどんどん吸われていく。
物が減ると、作業スペースができて、効率が上がる。
面積というものができてくると、掃除ができるし、
換気ができるようにもなったので、作業環境が当初と較べたら格段に良くなった。
同じ時間の作業をしても、疲労感が違う。
今まで相当に淀みを吸い込んでしまっていたのだと思う。
※
さて、26点の粗大ゴミを積んで、明日は朝一番でクリーンセンターに持ち込む。
つづく
大体が不用品で、それをできるだけ分別してゴミや資源として収集に出し、
どうにも大きい物は粗大ゴミとしてクリーンセンターに持ち込む。
年配の警備員さんの誘導で車を入れ、
係員さんのチェックを受けて計量し、
会計窓口に移動して料金を支払う。
粗大ゴミが出せるのは、一年に10回まで。
収集だと一回に10点までだが、持ち込みならそれ以上でも可能だ。
インターネットでの予約ができるのは10点までなので、
予約した後で、電話をして品目を追加する。
10点でけっこう私のSUV車の荷台が一杯になる事も有るが、
かさばらない粗大ゴミだと、けっこうな点数が積める。
長い物とか、平たい物とか、重ねられる物とか。
前回、「車に積めるだけ持ち込めますので」と言われた。
積めるかどうか積んでみるか。
品目を追加する電話は、前日までにしなければいけない。
積んで、電話して、次の日の持ち込みになるわけである。
これが、イヤだった。
というのも、
粗大ゴミと言えども、においがするからだ。
車に長い時間積んだままにしておきたくないのだ。
もちろん、生ごみのようなニオイではない。
しかし、経年劣化したプラスチックや化学繊維は、
異様なニオイを発する。
何に似ているとも表現できない、妙なニオイだ。
プラスチックのケースや、
古い古いタッパーを嗅いだことが有れば、そのニオイだ。
タッパーくらいのサイズならともかく、
大きな衣装ケースがいくつも、そんなニオイなんである。
強い。
灯油をちゃんと抜いてなかった石油ストーブも有る。
1つならず、有る。
灯油を抜く作業の際に、本体のどこぞに灯油が掛かったりもする。
こんな物どもは、車に積んだらすみやかに降ろしたい。
だから、積んでみるということはせず、
一回に10点でいいや、ということにしていた。
しかし、1ヶ月あまりのうちに5回も持ち込み予約したので、
受付係のニイさんが見かねて、
持ち込みなら一回に10点以上でもいいよ、と案内してくれた次第である。
※
せっかく案内して貰ったので、積めるったけ積んで、追加の電話をすることにした。
電話して品目を追加するのもひと仕事だ。
通話の最後に復唱して確認してくれたが、
そこでも追加漏れが見付かった。
結果、全部で26点であった。
旅行鞄なんか、5つも出てくる。
(後日また2つ出てきた。今後も出続けそうな気がしている。)
Tは、鞄や電気の笠やラグマットやクッションを見るたびに、
「わー!懐かしい!棄てる。」
「これは建て替える前の家のキッチンの電灯だったの!棄てる。」
「あー!これは私の部屋で使ってたの!棄てる。」
「この鞄は卒業旅行で九州に行った時に使ったヤツ!棄てる。」
と、素早く懐かしみ、素早く判断している。えらい。
私も、骨董屋が買い取ってくれそうな物はひとまず保管するように整理する。
ブランド物を見る目が無いので、そこはTに目を通してもらう。
※
窓に近付くことができたので、開ける。
固まっているか、と思った頃にやっとガタピシと動く。
換気扇は有るけれど、まだ物が一杯で、壁のスイッチがどこかは分からない。
ゴミ袋をかぶせてある扇風機を試しにコンセントに繋いでみたら、回った。
窓際に置いて、換気扇代わりにする。
ちなみに、壊れていない扇風機はもう一台有った。
ゴミを出し、物を寄せて、床が見えてきた。
そこに有る古い古い型の掃除機を試しにコンセントに繋いでみたら、動いた。
「家電を捨てるっていう文化が無いの」とTは言う。
壊れていないから捨てないのか。
季節の変わり目に片付けて、次の年には忘れて新しい物を買ってしまうのか、なんなのか。
理由を想像することに益は無い。
使うなら使う。
使わないなら捨てる。
床掃除をする。
劣化したポリ袋や紙きれと埃がどんどん吸われていく。
物が減ると、作業スペースができて、効率が上がる。
面積というものができてくると、掃除ができるし、
換気ができるようにもなったので、作業環境が当初と較べたら格段に良くなった。
同じ時間の作業をしても、疲労感が違う。
今まで相当に淀みを吸い込んでしまっていたのだと思う。
※
さて、26点の粗大ゴミを積んで、明日は朝一番でクリーンセンターに持ち込む。
つづく
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