[あらすじ] 三浦半島の富士山「三浦富士」に登ったよ。
三浦富士のふもとは大根畑、キャベツ畑、
それから苺ハウス、そしてみかん山。
とても豊かだ。
山道に入ると、足元にみかんの皮が落ちている。
くるりと丸く穴があけられ、中はきれいに空っぽになっている。
気付くと、そこいらに、細く齧って剥いた皮がたくさん落ちている。
誰だ。誰の仕業だ。
鳥か?
カラスやヒヨドリ、あと何かの声がする。
と思ったら、同行者が
「リス!」
ふさふさの尻尾が木陰に消えていくのが見えた。
見そびれた、と思ったのもその時くらいなもので、
その後、続々と見た。
ほんの3時間足らず歩く間にこれだけ見るのだから、
この山の中にどれほど多くのリスがいるのかと思うと
ちょっとゾクッとする。
そう分かってみると、あちこちのみかんの木に実が残っていると思っていたのは、
よく見れば空っぽの皮だけ。空洞なのだ。
帰宅後、調べてみた。
どうやら、三浦半島などでタイワンリスが増えて問題になっているようだ。
農作物を食害してしまう。
豊かなみかん山はさぞかし生きやすいのだろう。
在来種の二ホンリスと競合するし、
コゲラやシジュウカラなどの小鳥の巣を荒らすという。
2005年に特定外来生物に指定されている。
なんなら駆除していいよ、ということだ。
「パーン!」
音が響く。
銃声か。と思っていると、もう一度、
「パーン!」と響く。
何の猟だろう、イノシシでも出るのかな、
と思っていたが、リスの駆除だったのかもしれない。
※
近い長い漁港に寄って地魚を食べたい。
と思ったのだが、調べてみるとどこもかしこも火曜定休。
残念!と、諦めるのはイヤだ。
三崎まで行けばもっと観光化していて店も開いているだろう。
店先で魚を選んで調理してくれる店に行った。
めといか(剣先烏賊)と、かわはぎを選んだ。
同行者は私と違って美食家である。
「旬のかわはぎは肝が美味しいのよ」
へええ。
「肝醤油でいけるよ」
おおお。
寒かったので、あとはコムツの煮付。
ここで鮪を食べないのはどうなのかしら。
大根のツマがこれまた旨いので、
肝醤油で食べる。
※
途中、商店街の端っこに染物店を発見した。
ショーウインドーに、大漁旗や手拭いが飾ってある。
ゲゲゲっ、かわいい!!!
私はコレクターを馬鹿にしている。
こんなにハッキリ言う癖に、実は自分も手拭いだけには収集癖が有る。
気に入ったら「使う用」と「とっとく用」の2枚を買うという念の入りようだ。
店に入ると、人の気配は無い。
欲しい手拭いはそこに有る。
よほどお金を置いて品物を持って行こうかとも思ったが、こころみに
「こんにちはー!」と大きく呼んでみた。
返事は無い。
人の出て来る気配も無い。
いや、
「ス。 ス。 ス。 」
と、かすかに畳の擦れる音がする。
しばらくすると、衝立の端から4点杖の足が出て、
そして、度の強い眼鏡を掛けた婆ちゃんの顔がひょこりと現れた。
「いらっしゃい」
欲しい手拭いが1枚しか店頭に無かったので、
もう1枚有りますかと聞いてみると、
すぐ横の棚の引き出しを、あちこち引き出して
「無いわね」
と言う。
いやまだ開けてない段が有るんだけどな、と思う。
なんなら上がり込んで、見てあげましょうくらいのことを言いたくなるが、
ぐっと我慢だ。
「3枚です。」
「2250円です。」
750×3の計算は瞬時であった。
まあ、750の倍数を記憶しているのかもしれない。
顎はずっとぱくぱく動いているザ・婆ちゃんだが、商人として健在だ。
PayPayで支払いをした。
「袋に入れなくていいですか。」
と聞かれた。
なんだか、婆ちゃんにそれ以上の仕事をさせるでもないので遠慮してしまったが、
そんな遠慮は余計なお世話だと後から思った。失礼しました。
もしかしてお店のかわいい包み紙でステキにくるんでくれたかもしれない。
三崎に行ったらまた寄って、別の絵柄のものも買おう。(ゆるゆる財布)
https://www.m-some.com/%E5%BD%93%E5%BA%97%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
※
国道沿いの、野菜の直売所に寄る。
三浦大根を一本抱えたら、なんだかもう満ち足りてしまう。
他にも、様々な種類の柑橘をはじめ、
直売ならではの新鮮な野菜が並ぶ。
大根は包丁を入れた感覚の違いに驚いた。
とってもなめらかだ。
全体がでっかいので、薄く切ったつもりでも厚くなっているし、
細かく切ったつもりでもまだ大きい。
生でも旨い。みずみずしい。
一人暮らしの自分用には、半分に切ったものを買ってきたけれど、
一週間毎日食べてまだ半分だ。
満喫。
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