犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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吐息のつきかた

2021年12月24日 | からだ
子どもの頃、母に教えられた。
人前で溜息をついてはいけない、と。

理由は聞いていないような気がする。
ただ、母はその父から教えられたと言う。

軍人であった祖父は厳しい人であったようだ。
「吐息つくな」と言っていたそうだ。
「トイキツクナ」という音の簡潔さ。

父から教えられた事を子に教えていたのか、
父からそう教えられたのだというエピソードとして話していたのか、
いま思うと、定かではない。

しかし子どもの私はそこで教わった。
人前で溜息をついてはいけない、と。

人前で溜息をつかないようにしていて、
いつしか、一人の時も溜息をつかないようになっていたように思う。



溜息をつくには、理由が有る。
人は、必要が有って溜息をつく。

溜息をつくということは、その瞬間まで息を詰めていた、ということだ。
息を詰めて緊張しているのを、溜息をつくことによって一気に解放する。

溜息を我慢するということは、緊張を保ち、息を詰め続けるということだ。
無意識に。

身体にいいわけない。



たしかに、人前で溜息をつくのはやっぱりどうかと思う。
ままならない気持ちを抑え込んでいる、
それを吐き出すのは、誰の前でもしていいものでもない。

腹の奥に溜め込んでいた思いわずらいが、
「はぁ~」という息に乗って、
周囲の人に伝染する。

軍人の祖父だって、ひょっとすると便所の中で一人で
溜息をついていたかもしれない。



軍隊の偉いさんが部下の前で溜息なんぞついていたら、
部下は不安になる。
そりゃあ、「トイキツクナ」を銘じていなければならないだろう。

けれど、わしらしもじもの者どもの日常に溜息は必要だ。
風呂に入って「はぁぁ~」、
ビール飲んで「ぷはぁ~」。

必要な時には適当に溜息をつきたいと思う。
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