犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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こんなことばかり書いて…困った人ね

2021年08月31日 | 国語真偽会
とある政党のポスターが目にとまった。
「困った人に優しい政治」

ああん?



「あー困った。」
と言う。

言っている人は、困っている。
困っているのに、
「あー困っている。」とは言わないで、
「あー困った。」と言う。



「困った。」と言う人を指して、
’困った人’とは言わない。
’困っている人’と言うのが正確な’困る’の遣い方なのである。



カウンターの一番奥の席で酔いつぶれた常連客にちょっと気の有るママが
「困った人ね」

と言うのが’困った人’の正統な用法なのである。



このポスターの言葉の遣い方は誤用ではないか。
と思っていたら、今度は新聞記事の中に同様の用法を見た。
大手の新聞である。
夕刊紙とかスポーツ紙とか地方紙とかではない。
別に夕刊紙やスポーツ紙や地方紙が劣るという意味ではない。
全国紙ならちゃんとせえよと思うというくらいの意味だ。

しかし、
言葉は変わっていくものだ。
誤用が重なってそれが常用になったりするものだ。

多く見られる用法になっているのなら、受け入れていくしかないのだろう。
というより、大きな(?)政党のポスターで遣われた以上、
この用法は固定されていくだろう。



ママにちょっかいを出すたちの悪い客に殴りかかって返り討ちにあってしまった
あの常連客を介抱しながら
「困った人ね」

と言う、これが由緒ある’困った人’の用法なのである。
かく言うママもおそらく’困った人’なのだろう。



小学館『日本国語大辞典』第二版(2001)で
「困る」を引く。

1.どうしてよいかわからなくて苦しむ。

人々は困っているのである。

2,3は飛ばして、4.を見ると、
4.(「こまった」の形で連体修飾語として用いて)
  手に負えない状態になる。扱いに苦しむ。
とある。

この政党は、支持者を「扱いに苦しむ」と言っていることになってしまう。



「早く傷を治したきゃ、あんた、酒は大概にしないとな。」
明らかに喧嘩の傷だが原因は問わない老齢の町医者。
「先生に言われたって説得力無いよ。」
どうやらこの医者も’困った人’の類らしい。



さーて。犬の散歩をしながら二人のストーリーの続きでも考えよう。

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