犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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米澤穂信『満願』

2019年03月12日 | からだ
雨上がり。
深大寺の町は気持ちいい。
今日はもう、庭の池は静まりかえっている。
ガマたちの一大お見合いイベントはもう終わったらしい。

3月の深大寺と言えば、3日4日がだるま市だ。
だるま市のどちらか一日はきっと雨が降る。
今年に至っては両日とも降り続けた。
冷たい雨だ。



いつもの図書館、深大寺分館に行ったら、読書リレーなるものを開催している。
図書館利用カードの末尾番号0~9でチームに分かれ、
一冊借りるごとに一枚のシールをボードに貼っていくのだ。

どうせ借りるのだから、参加してみるか。
私の利用カードは末尾9番。
シールは青だ。
幼稚園児の頃の私だったら、この色で喜んでいただろう。



私は、ミステリー小説を読まない。
いや、子どもの頃はクリスティーなんか好んで読んでいたはずだ。
いつから読まなくなっただろう。
読まなくなったばかりか、今ではミステリー小説は暇つぶしでしかなく
且つ自分にその暇は無い、とすら考えている。



鬱状態の頃、本が読めなくなった。
同じ2行を繰り返し読む。
まったく頭に入らない。

数年前からまた本が読めるようになってきた。
読みたい本と読める本はちょっと違う、とも思った。
内容は何であれ、面白く読める本を読んでいれば、
本を読むことに慣れてくる。
そしてそのうち、読みたい本にも取りかかることができるようになる。



読書リレーか。
たくさんシールを貼ったチームの勝ちか。

顔真卿を次々と臨書していた時には、次々とお手本を借りたのだが、
今、それは止まっている。
冊数を稼ぐには、軽い読み物でも借りるとするか。

漫画の棚に行ってみたら、別の分館に移籍したのだろうか、
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』が無くなっている。
がっかり。
まあ、漫画だからって案外スイスイ読めるもんでもない。
一話でお腹いっぱいになって、一冊に時間が掛かったりする。

じゃあミステリー小説でも読むか。
先日、図書館の「おみくじ」のお勧めに従い、
長岡弘樹『教場』を読んだ。
面白いと思ったので、続編の『教場2』も『教場0』も読んだ。
そういう勢いも悪くない。

せっせと読んでいる間は、日常生活のアレヤコレヤを忘れることができる。



インターネットで、書店員おすすめのミステリー、という一覧を眺めた。
『犬はどこだ』というのにしようと思ったが、
深大寺分館には無かった。
しかたないので、同じ作家の本を手に取った。

ミステリー「満願」って、既に何かイヤな予感がする。
どんな願いが叶うというのか。

六編の短編が収まっている。
事件に関わる誰かの一人称で語られている。



六編目が表題作の『満願』である。
作品の序盤で、一人称の主人公が引っ越す。
引っ越し先が、調布だという。
おやま、ようこそ。

終盤、下宿先の奥さんに連れられて、主人公は散歩に出る。
ハクモクレンが咲いている。
おやま、今の時期じゃないの。

そして行った先は、深大寺の達磨市だ。
おやまあ、ほんとにようこそおいでくださった。



たまたま手にした本の舞台が、
今の時期の、我が地元だという。
こういう「引き」は気持ちいい。

もちろん、その前の5編でつまらないと感じたら
『満願』までは辿り着かなかったわけだ。
地味なほめ方だけど。

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