犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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妬み終わりました

2022年02月03日 | なりもの

二十代はずっとバンド活動をしていた。
メインはR&B、ソウル、ファンクといったジャンルだった。
三十歳になる頃は、いくつかのバンドをかけもちしていた。
あるスカバンドのライブメンバーとしてお手伝いして、
レコーディングも参加していた。

しかし、メジャーデビュー前後の頃に、戦力外通告を受けた。
ちょうどその頃、何年か付き合っていた女性との
別れのぬかるみに足を取られていた。
公私ともども認めてもらえていない感じ。
きっちりと精神的な沼にはまった。

一年後くらいに、バンド活動を再開しようと思ったが、
右手が腱鞘炎になった。
トロンボーンを吹く上で、右手の損傷はさほどの痛手ではない。

しかし、利き手の腱鞘炎というのは、何もできない。
字も書けない、ラーメンも食えない、パンツも引き上げられない。
気持ちがまた下がってしまった。

そうやってバンド業界から離れている時間が長くなるほど、
復帰は難しくなる。
気付けば時間が経っている。

そんな中、出身高校のオーケストラの指導にはずっと通っていた。
自分の音楽活動の中心としてやっていた。
そこではチューバを担当して演奏に参加していた。

そして、トロンボーンを吹く場を持たずに過ごしていた。

その後、ウツ状態から立ち直った経験や、
腱鞘炎を治療してくれた様々な治療家との出会いなどから、
鍼灸を志した。

オーケストラ通いも週に1回以下に減らし、
良さげなバンドのお誘いも断って、
3年間は勉強に集中した。

卒業後、ムズムズと音楽の虫が騒いだが、
既にトロンボーンから離れ過ぎていた。



そんな折、ムカシのバンド仲間の一人が死んだ。
葬儀の場で、大勢の旧知の者たちに会った。
みんないる。
みんなバンドを続けている。
私は何をやっているんだろう。

この頃にSNSを始めた。
また、この再会がきっかけで、
旧知のバンド仲間が、自分たちのライブが有ると
知らせてくれるようになった。

しかし、私は行きたくなかった。
自分が演奏する側でないことに、我慢がならなかった。
悔しくてたまらなかった。
悔しさをバネに練習するという方向にはいけず、
私はただ妬ましかった。

何もしなかったわけではなかった。
まずとにかく毎日吹くようにしたり、
セッションに出向いたりもした。

しかし、離れ過ぎていたので、うまくできない。

しかも、できていた時の自分のイメージが有る。
過去の自分のイメージのまま吹こうとしたって、それはできない。

元々人見知りだが、バンド活動をしていた頃は
お客さんでも演奏者でも、初対面の人でもそこそこ話せるようにはなっていた。
しかし、そういう世界からしばらく離れていると、
また人見知りがぶり返している。
セッションの場に行っても、なかなか自分から声を掛けたり、
発案したり、行動に移したりといったことができない。

できないことばかりが重なって、
楽器をやることがつらくさえなった。



また、コンビで演奏していたやまちゃんとの関係も悪くなった。
やまちゃんは「もうベースは弾かない」と言った。

こうなったら、一人で何かしなきゃと思い、
弾き語りをyou tubeにアップすることを始めた。
それが9年くらい前のことだ。

ベーシストを探そうとも考えてみたが、
どう考えても、私はやまちゃんと演奏したいだけで、
他の人を探すことに懸命になれなかった。



その頃、オーケストラの後輩と再会して、
アンサンブルをやろうということになった。
3人から始めて、少しずつ仲間が増えた。
やまちゃんもホルンを吹きに来た。



ある時、やまちゃんにベースを頼んでみた。
タイミングも良かったのか、OKを得た。

活動再開である。
しかし、やまちゃんは他にも
オーケストラでホルンを吹いたり、サークルで和太鼓を叩いたりしていて、
忙しい。
二人のバンドの優先順位は、低かった。



そこへ来て、コロナ禍である。
様々な音楽活動が、停止した。

私は変わらず続けた。
世の中に出ずにやっていたので、変わらず続けられた。

やまちゃんの他の活動が無くなったので、
一緒にできる機会が増えた。



2020年には8曲をyou tubeにアップした。
2021年は何曲だったか数えていないが、
活動が安定化した。

2020年が終わる頃、私は
自分がムカシのバンド仲間たちの活動を
もう気にしていないことに気付いた。
妬んでいないのだ。

自分の活動ができるようになって、
他人のことが気にならなくなった。

やれやれ。
やっと抜け出たか。



そして先日、更に心境が変わった。
トロンボーンが思うように吹けないのは、
「単なる練習不足だ」と。

以前はあんな音も出せた、こんなこともできた、
という事実は変わり無いのだが、
今できないのは「単なる練習不足だ」から。
という当たり前の気持ちになったのだ。

すると、練習が苦にならなくなった。
楽器を吹くのがつらくなくなった。
トロンボーンが楽しくなってきた。

はー。スッキリ!
20年の長い時間、どんよりしていたもんだ。



というわけで、
なんだかこれから自分は伸びる気がしている次第です。
どうなるか分からんけど、
もうちょっとやってみます。

https://www.youtube.com/user/43susan43/videos

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