ただの思い出話を書く。
ただ思い出しただけで、なんの含みも無い。
※
中学生の頃。
今は中二病という言葉の有る反抗期であり、
それは、同級生同士で過ごす時間の楽しさと表裏一体であった。
箸が転げても笑う、という言い回しが当てはまる年頃である。
女子校だった。
灰色のブレザーにツータックのスカートだった。
セーラー服にふんわりとしたプリーツスカートだったら
あたしゃグレていたかもしれない。
当時から性別違和感の有った私にも、ブレザースタイルは許容範囲だった。
「スヤマが着ているとスカートに見えない」と言われたことも有る。
昼休みは教室で友達と過ごした。
ある日、
教室に私たち3人くらいしかいなかったから、
移動の直前だったのかもしれない。
それとも放課後だったのだろうか。
けれど、その時の困った気持ちからすると、昼休みだった記憶が正しい気がする。
友人MとMちゃんの3人くらいで、腹を抱えて笑った。
笑い過ぎた。
私の外尿道括約筋が、楽しさに負けた。
教室の、机の間にしゃがみ込み、笑いながらオシッコが漏れた。
漏れだしたら止めるのは難しい。
しゃがんだ足元に尿溜まりができた。
Mちゃんはその時にはもう教室を出て行っていた。
私は友人Mに、雑巾を投げて!と頼んだ。
私がしゃがんでいるのは教室の中央辺りで、
友人Mは教室の後ろの方にいたのだ。
雑巾を手に持って来てくれそうになる友人Mに向かって、
私は、「いいから!投げて!」と必死に叫んだ。
※
その後のことは憶えていない。
※
ひとのブラジャーのホックを外すのが流行ったことが有る。
なんせ、上は白のワイシャツである。
ブラ線が透ける。
私は「シミーズ」なるものに非常に女性的なものを感じ、
着るのがいやだった。
ブラジャーだっていやなのだが、
いやなものは最小限にするとなると、残るのはブラジャーのほうだった。
ということだろう。
今なら他にもいろいろな方法を思い付くし、
今なら商品としてもいろいろな選択肢が有る。
Xジェンダーという概念もまだ無い、40年近く前の
Xジェンダーの中学生の私はそうしていた、というだけの話だ。
そんな中、ひとのブラジャーのホックを外すのが流行ったのだ。
私もすぐにコツを掴んだ。
背中に一瞬触れるだけでホックは外れる。
同じ方法で友達が私の背中のホックを外そうとするが、
外れない。
それもそのはずで、
私のお気に入りのブラジャーのホックは、よくある形ではなかった。
縦に引っ掛ける形になっていた。
なぜこれが気に入っていたかというと、
金具の部分が平たいので、存在感が薄いのである。
なるべくブラジャーなんか身に着けたくないから、
なるべく薄い物が良かったのだ。
ただ、その金具でできている物は2つしか持っていなかった。
愛用しつつも、1つは長もちさせる用、1つは頻繁に使う用、としていた。
誰だか忘れたが、ついにそれを外した。
クソッ。
このホックの欠点は、外すのも難しいが、掛けるのも難しい点である。
背中に手を回して掛けるのは到底無理だった。
私は仕方なく、友人Mを呼び寄せて、
シャツの背中を捲り上げて、ホックを掛けてもらった。
※
忘れていないのは、
イヤだったからだろう。
思い出したので、書いた。
ただの思い出話です。
ただ思い出しただけで、なんの含みも無い。
※
中学生の頃。
今は中二病という言葉の有る反抗期であり、
それは、同級生同士で過ごす時間の楽しさと表裏一体であった。
箸が転げても笑う、という言い回しが当てはまる年頃である。
女子校だった。
灰色のブレザーにツータックのスカートだった。
セーラー服にふんわりとしたプリーツスカートだったら
あたしゃグレていたかもしれない。
当時から性別違和感の有った私にも、ブレザースタイルは許容範囲だった。
「スヤマが着ているとスカートに見えない」と言われたことも有る。
昼休みは教室で友達と過ごした。
ある日、
教室に私たち3人くらいしかいなかったから、
移動の直前だったのかもしれない。
それとも放課後だったのだろうか。
けれど、その時の困った気持ちからすると、昼休みだった記憶が正しい気がする。
友人MとMちゃんの3人くらいで、腹を抱えて笑った。
笑い過ぎた。
私の外尿道括約筋が、楽しさに負けた。
教室の、机の間にしゃがみ込み、笑いながらオシッコが漏れた。
漏れだしたら止めるのは難しい。
しゃがんだ足元に尿溜まりができた。
Mちゃんはその時にはもう教室を出て行っていた。
私は友人Mに、雑巾を投げて!と頼んだ。
私がしゃがんでいるのは教室の中央辺りで、
友人Mは教室の後ろの方にいたのだ。
雑巾を手に持って来てくれそうになる友人Mに向かって、
私は、「いいから!投げて!」と必死に叫んだ。
※
その後のことは憶えていない。
※
ひとのブラジャーのホックを外すのが流行ったことが有る。
なんせ、上は白のワイシャツである。
ブラ線が透ける。
私は「シミーズ」なるものに非常に女性的なものを感じ、
着るのがいやだった。
ブラジャーだっていやなのだが、
いやなものは最小限にするとなると、残るのはブラジャーのほうだった。
ということだろう。
今なら他にもいろいろな方法を思い付くし、
今なら商品としてもいろいろな選択肢が有る。
Xジェンダーという概念もまだ無い、40年近く前の
Xジェンダーの中学生の私はそうしていた、というだけの話だ。
そんな中、ひとのブラジャーのホックを外すのが流行ったのだ。
私もすぐにコツを掴んだ。
背中に一瞬触れるだけでホックは外れる。
同じ方法で友達が私の背中のホックを外そうとするが、
外れない。
それもそのはずで、
私のお気に入りのブラジャーのホックは、よくある形ではなかった。
縦に引っ掛ける形になっていた。
なぜこれが気に入っていたかというと、
金具の部分が平たいので、存在感が薄いのである。
なるべくブラジャーなんか身に着けたくないから、
なるべく薄い物が良かったのだ。
ただ、その金具でできている物は2つしか持っていなかった。
愛用しつつも、1つは長もちさせる用、1つは頻繁に使う用、としていた。
誰だか忘れたが、ついにそれを外した。
クソッ。
このホックの欠点は、外すのも難しいが、掛けるのも難しい点である。
背中に手を回して掛けるのは到底無理だった。
私は仕方なく、友人Mを呼び寄せて、
シャツの背中を捲り上げて、ホックを掛けてもらった。
※
忘れていないのは、
イヤだったからだろう。
思い出したので、書いた。
ただの思い出話です。
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