毎朝、近所のドッグランに行っている。
我が犬ウーゴくんは、わりと臆病な犬である。
こういう犬は、毎日の習慣を変えたがらない。
散歩も、決まったコースを決まった方向に周る。
※
2年あまり前に保護団体から引き取って最初の数日は、
排便しなかった。
ウンチしたいわけではないので、
道端を嗅いで嗅いで嗅いでいるのだが、
排便体勢に入らない。
行ったり来たり行ったり来たり。
ちょっと気に入った場所なのだろう。
行ったり来たりすることはするのだけど、
何度も何度も往復した末、排便体勢に入らずに去る。
三日目にようやく脱糞とあいなった次第である。
※
ドッグランには、誰も来ない時間帯に何日も通った。
誰も来ないうちに帰った。
そして、何日目か忘れてしまったが、
後から犬を2頭連れた人がやって来た。
この2頭が穏やかで、良かった。
何度目かに会った時に、やっとウーゴは撫でてもらうことができた。
※
そうしていつしか、
朝ドッグランでウンチする、という習慣になった。
夕方の散歩は落ち着かないので、排便などできない。
※
ドッグランに着くと、丹念に丹念にフェンス際を嗅いで周る。
とにかく一周嗅ぐ。
そして、ある一ヶ所を選んで、排便する。
ウンチが出て軽くなると、ダーッと走る。
一人で走る。
2、3回走ると、満足するようだった。
※
そのうち、犬の友達もできた。
駆けっこもできるようになった。
しかしある時、オヤツの利権をめぐって、
そのお友達犬にドヤされた。
そうしたらウーゴはもう怖くなってしまった。
他の犬と一緒に走ることはしなくなってしまった。
※
引き取ったのが4歳過ぎで、
今はもう6歳半だ。
そろそろあんまり遊ばなくなる年齢ではある。
走ったりはしゃいだり犬相撲を取ったりする姿は
見ていてかわいらしく思うので、まだまだ遊んで欲しいものだが。
成犬を引き取ったのだから、そこは半ばあきらめてはいた。
ところが、ここ最近1ヶ月くらいのことだが、
たまに他の犬と走ることが有るようになった。
前足を上げて組み合ったり、
あちこちに咬み付いてみたり、
端から端まで走ってみたり。
「ウーゴくんがこんな動くの初めて見た」と言われる。
※
犬たちの主な遊びは、お相撲と駆けっこである。
私は犬相撲と呼んでいるけれど、正確に言うと相撲ではないと思う。
土が付くことは特に負けでもないからだ。
まあとにかく楽しそうに、飽きずに
組んづ解れつやっている。
追い駆けっこして、追い付けば食らい付く。
追われるほうは、後ろを振り返りながら走る。
人間はよく「前を見て!」と叫んでいる。
そんなことを言われて前を見る犬などいない。
※
油断した。
立っていたら、犬のかたまりが激突してきた。
ほぼ正面から、左の膝にぶつかってきた。
「ドガッ!」と音がした。
ぐあっ!と叫んで、それから声も出ないくらい痛い。
後ろを振り返りながら先頭を走っていた犬の飼い主さんが
「大丈夫?」といたわって私の背に手をかけてくれるが、
その手が苦しいくらい、膝が痛い。
膝が逆に曲がってるんじゃないかと思うくらいだ。
私は鍼灸師で、特に脚の痛みを治めるのは得意という意識が有る。
自分の手ですぐに治す。
呻きながら屈み込んで、左膝周辺を触る。
周りの他の飼い主さんが、
「ウーゴくんが心配してくれてる。」と言う。
見ると、屈み込んだ私の目の前にウーゴが来てオスワリして、
私の顔を覗き込んでいる。
私が気付いて顔を上げると、顔を寄せて、ペロリと舐めてくれた。
おや。やさしいじゃないか。
「いいとこあるな。」
※
まあ、私が大声を上げるのを初めて聞いて驚いて、
なだめようとしているのかもしれない。
※
思い出す。
こういう、寄り添う行動は、犬によって違う。
子どもの頃、初めて飼った犬は、
私が転んで泣いていたりすると、そばに寄って来て舐めてくれた。
20代前半に飼っていた犬は、
私が何かツラいことが有って泣いていると、
そっとそばに来てくっ付いて座った。
30代後半から飼った犬は、そんな行動は無かった。
内弁慶で喧嘩上等の雌犬と、彼女に踏みつけにされている雄犬のきょうだいだったが、
どちらの犬も、私を慰めるような行動は無かった。
だから、犬のこういう行動のことを私は忘れていた。
久々に犬に慰められた。
ウーゴはやさしかった。
※
今日も風が強かった。
ウーゴは落ち着かず、鼻を鳴らす。
私は自分のやらねばならない事も中断して、
犬のそばに付いてやる。
そうするとウーゴはとりあえず安心したように、横になる。
ちょっと世話の焼ける犬だと思っていたけれど、
こちらの苦しい時にあんな行動を見せられたら、
「お互い様」という気にもなる。
実に犬は群れのいきものなのだと
あらためて思う。
だからこそ、太古の昔から人間と一緒に暮らしてきたのだろう。
我が犬ウーゴくんは、わりと臆病な犬である。
こういう犬は、毎日の習慣を変えたがらない。
散歩も、決まったコースを決まった方向に周る。
※
2年あまり前に保護団体から引き取って最初の数日は、
排便しなかった。
ウンチしたいわけではないので、
道端を嗅いで嗅いで嗅いでいるのだが、
排便体勢に入らない。
行ったり来たり行ったり来たり。
ちょっと気に入った場所なのだろう。
行ったり来たりすることはするのだけど、
何度も何度も往復した末、排便体勢に入らずに去る。
三日目にようやく脱糞とあいなった次第である。
※
ドッグランには、誰も来ない時間帯に何日も通った。
誰も来ないうちに帰った。
そして、何日目か忘れてしまったが、
後から犬を2頭連れた人がやって来た。
この2頭が穏やかで、良かった。
何度目かに会った時に、やっとウーゴは撫でてもらうことができた。
※
そうしていつしか、
朝ドッグランでウンチする、という習慣になった。
夕方の散歩は落ち着かないので、排便などできない。
※
ドッグランに着くと、丹念に丹念にフェンス際を嗅いで周る。
とにかく一周嗅ぐ。
そして、ある一ヶ所を選んで、排便する。
ウンチが出て軽くなると、ダーッと走る。
一人で走る。
2、3回走ると、満足するようだった。
※
そのうち、犬の友達もできた。
駆けっこもできるようになった。
しかしある時、オヤツの利権をめぐって、
そのお友達犬にドヤされた。
そうしたらウーゴはもう怖くなってしまった。
他の犬と一緒に走ることはしなくなってしまった。
※
引き取ったのが4歳過ぎで、
今はもう6歳半だ。
そろそろあんまり遊ばなくなる年齢ではある。
走ったりはしゃいだり犬相撲を取ったりする姿は
見ていてかわいらしく思うので、まだまだ遊んで欲しいものだが。
成犬を引き取ったのだから、そこは半ばあきらめてはいた。
ところが、ここ最近1ヶ月くらいのことだが、
たまに他の犬と走ることが有るようになった。
前足を上げて組み合ったり、
あちこちに咬み付いてみたり、
端から端まで走ってみたり。
「ウーゴくんがこんな動くの初めて見た」と言われる。
※
犬たちの主な遊びは、お相撲と駆けっこである。
私は犬相撲と呼んでいるけれど、正確に言うと相撲ではないと思う。
土が付くことは特に負けでもないからだ。
まあとにかく楽しそうに、飽きずに
組んづ解れつやっている。
追い駆けっこして、追い付けば食らい付く。
追われるほうは、後ろを振り返りながら走る。
人間はよく「前を見て!」と叫んでいる。
そんなことを言われて前を見る犬などいない。
※
油断した。
立っていたら、犬のかたまりが激突してきた。
ほぼ正面から、左の膝にぶつかってきた。
「ドガッ!」と音がした。
ぐあっ!と叫んで、それから声も出ないくらい痛い。
後ろを振り返りながら先頭を走っていた犬の飼い主さんが
「大丈夫?」といたわって私の背に手をかけてくれるが、
その手が苦しいくらい、膝が痛い。
膝が逆に曲がってるんじゃないかと思うくらいだ。
私は鍼灸師で、特に脚の痛みを治めるのは得意という意識が有る。
自分の手ですぐに治す。
呻きながら屈み込んで、左膝周辺を触る。
周りの他の飼い主さんが、
「ウーゴくんが心配してくれてる。」と言う。
見ると、屈み込んだ私の目の前にウーゴが来てオスワリして、
私の顔を覗き込んでいる。
私が気付いて顔を上げると、顔を寄せて、ペロリと舐めてくれた。
おや。やさしいじゃないか。
「いいとこあるな。」
※
まあ、私が大声を上げるのを初めて聞いて驚いて、
なだめようとしているのかもしれない。
※
思い出す。
こういう、寄り添う行動は、犬によって違う。
子どもの頃、初めて飼った犬は、
私が転んで泣いていたりすると、そばに寄って来て舐めてくれた。
20代前半に飼っていた犬は、
私が何かツラいことが有って泣いていると、
そっとそばに来てくっ付いて座った。
30代後半から飼った犬は、そんな行動は無かった。
内弁慶で喧嘩上等の雌犬と、彼女に踏みつけにされている雄犬のきょうだいだったが、
どちらの犬も、私を慰めるような行動は無かった。
だから、犬のこういう行動のことを私は忘れていた。
久々に犬に慰められた。
ウーゴはやさしかった。
※
今日も風が強かった。
ウーゴは落ち着かず、鼻を鳴らす。
私は自分のやらねばならない事も中断して、
犬のそばに付いてやる。
そうするとウーゴはとりあえず安心したように、横になる。
ちょっと世話の焼ける犬だと思っていたけれど、
こちらの苦しい時にあんな行動を見せられたら、
「お互い様」という気にもなる。
実に犬は群れのいきものなのだと
あらためて思う。
だからこそ、太古の昔から人間と一緒に暮らしてきたのだろう。
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