サントリー美術館に、ガレ展を見に行った。
アール・ヌーヴォーは苦手なのだが、食わず嫌いもしたくないので、行った。
何が苦手なのか、考えながら見た。
苦手なので、基礎知識が無い。
ちょっと予習する。
ガレは、1846年フランスのロレーヌ地方のナンシー生まれ。
ロレーヌと言えば、アルザスと並び『最後の授業』で知れた、プロイセンとの国境地域だ。
ガレが25歳の時にフランスは敗戦し、ナンシーもプロイセン領となる。
若い頃からガラスや陶芸や彫刻、植物学や生物学や文学を学び、
日本の水墨画にも影響を受ける。
戦争の傷痕と、白血病にガレは苦しみ、
1904年、58歳でこの世を去る。
※
私は、
・装飾がごてごてしたものが好きではない。
・曲線的な装飾が得意ではない。
・ガラスは透き通っているのがいいところだと思っているのに、
着色したり、濁らせたりしている。
多種多様な技法を見るのは面白い。
私も、植物や昆虫に興味が強いので、描かれている題材を見るのは面白い。
でも、なんとなく、作品にどんよりとした雰囲気が漂っている。
装飾云々技法云々ということではなく、
この、なんとない雰囲気が苦手なのかもしれない。
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http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_3/display.html
蜻蛉をあしらった作品がいくつもある。
これを、ある人はカゲロウと読んでいるが、
形を見ればトンボである。
ガレのトンボは、ガラス器の表面で体をくねらせている。
おかしい。
トンボはくねらない。
たしかにカゲロウは尻の先っちょをクイッと上に向けていたりする。
が、左右にはくねらない。
昆虫の姿を仔細に観察して、写実的にガラスで表現したガレが、
トンボの身をくねらせて表現したのは
一体なぜなんだろう。
不思議でしかたない。
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左右にくねる動きは何がするかというと、蛇の類だ。
気功では、背骨を動かす運動を動物になぞらえる。
前後に回す動きは、鶴と亀だ。
上下に伸ばす動きは、熊だ。
そして、左右にくねらす動きは、龍だ。
フランス語でトンボはlibellule
ドイツ語ではLibelleで、これには水準器の意味もある。
まっすぐで水平な感じからだろうか。
ところで英語でトンボはdragonflyと言う。
直訳したら龍蝿だ。
この英語を絡めて連想すると、
トンボが身をくねらせているのは辻褄が合わせられなくもないような…
ちと無理があるかな。
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