犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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興福寺断碑

2017年07月31日 | 書の道は
[あらすじ] 去年の十月から書を始めた。
隷書にはまり、篆書や甲骨文字を舐め、草書、楷書をやり、
後回しにしていた行書に手を出した。

ついに行書。
ついに王羲之(おう ぎし:303-361)。

『書譜』の孫過庭によれば、それまでも能書家は何人もいたのだが、
そういう人たちは、隷書がうまいとか、草書が得意とか、
どれかの書体に偏っていた。
ところが王羲之は、隷書でも草書でも行書でも楷書でもうまく書いた。
そこがまるで違う、と言う。

その時代までに成立していた技術をまとめあげた、ということだろうか。
バッハみたいな位置と例えられるだろうか。
すると、唐の時代に出てくる顔真卿(がん しんけい)あたりはさながらモーツァルトか。
いや文化の興隆ぶりを考えると、唐はルネサンスくらいの雰囲気か?
まあ西洋音楽にどう例えてみても、中国の書という文化はとても古いことがわかる。

王羲之はガチョウが好きだったという。
なんだそりゃ。

声の良いガチョウがいると聞いて、譲ってくれるように頼んだが、断られた。
なんとしてでも声を聴きたいと、訪ねて行った。
が、先方では王羲之がやって来ると聞いて、ご馳走を準備してもてなそうと、
ガチョウをシメて料理してしまった。
王羲之はひどくガッカリした、という話が伝わっている。

なんだそりゃ。
ガチョウなんてガーガー言ってるだけじゃないのか。

ガチョウについて調べてみた。
どうやら、西洋のガチョウと中国のガチョウでは家禽化する元の種が違うらしい。
ヨーロッパ系はハイイロガン、中国系はサカツラガンが元。

すると、ニルスがまたがってラップランドを不思議に旅した、あのガチョウのモルテンは
ヨーロッパ種だったのか。

くちばしの上のこぶがガチョウの特徴だと思っていたが、
あれはシナガチョウのものだそうだ。
私が思っていたガチョウは、シナガチョウなのだ。

すると、モルテンにはあのこぶが無かったのか。
画像検索してみると、たしかに、無い。
ああ、アッカ隊長が率いる渡り鳥の群れは、ハイイロガンだったのだろうか。

鳴き声は、やはり鳥のことで、何種類かあるようだ。
なんでも、ワンワンと犬の吠え声のような鳴き方もあるそうだ。
アヒルよりガチョウのほうが人によく懐くので、ペットとして飼われる、という。
しかも大きな声で警戒して鳴くので、番犬がわりになる、という。

知りませんでした。
ちょっと飼ってみたいかも。
でもウチじゃあ、野良猫にやられてしまうだろうな。
ガチョウの羽が手に入れば、鵞ペンで西洋のお習字、カリグラフィーもできるが。

書の話だった。

王羲之の書は後世において称えられたため、たくさんの複製が作られた。
真蹟つまり王羲之自身が書いたものは失われてしまったが、
複製は今も遺されている。

興福寺断碑とは、興福寺の石碑が割れて半分遺ったものだ。
ただこれは、王羲之自身が書いたものではなく、
王羲之の書いた字をかき集めて文章にして碑に刻んだものだ。
だから、行書とは言っても、一字一字が独立している。

初歩であり、前の字から次の字へとの流れだの
全体のバランスだのといったところまで考えることができないので、
こういうもので充分課題になるが、
次は集字したものではなく、流れのあるものを臨書してみたいと思う。

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