睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

軟蘇(なんそ)の法 

2009-08-08 06:28:06 | 本棚・思想・禅と仏教

身体をまっすぐに伸ばし、チカラを抜き、目を閉じて横になる。
鼻の先にごく軽い羽毛を乗せていると想像する、その羽毛が少しも動かないように静かに
呼吸を整える、ゆっくり数を数え心を安定させる。(数息観)

(以下観想する)
鶏の卵くらいの大きさの丸薬が額の上に乗っている、この丸薬は、
よい香りのするさまざまな妙薬を練り固めたものでバターのように柔らかい。
※「なんそ」とは牛の乳から製したバターのようなもの。

その「なんそ」が頭のてっぺんに乗っている、
自分はいま、高い山の草花にかこまれたところにベッドを置きそこに横たわっている。
東の空に日が昇らんとし、太陽の光が私の全身を柔らかく包む。
太陽のぬくもりと体温でアタマに置いた「なんそ」がしだいに溶ける、じわじわと溶け、
油のようになり、額の上、耳の後ろへと流れていく、アタマ全体がくまなく「なんそ」の
妙薬におおわれた。それは芳香を放ち、じつにいい気持ちである。

溶けた「なんそ」は首から肩、胸、腹、背中のほうにも流れてゆく、しかもだだ皮膚の上を
流れるだけでなく、目の中に入って目を洗いさらに鼻の穴から咽喉を通って気管、肺、胃、
腸、肝臓と、五臓六腑にしみわたり薬効を発揮してゆく。
内臓を全部洗い清めると、そのまま下腹から、脚、膝と流れくだり、両足のつまさきから
したたり落ちる。そのしたたりはベッドに溜まり背中から腰、腹、胸とひたし、ついには顎の
下まで、風呂の中につかったように「なんそ」にひたされる。
やがて「なんそ」はベッドの隅から流れ落ち、下に置いた壷の中に収まる。

参照:「求聞持聡明法秘伝」桐山靖雄著より要約

以上が、白隠禅師の「夜船閑話(やせんかんな)」に高名な観想療法です。
著者の阿含宗管長・桐山靖雄氏はこれで結核を治し、臨済宗妙心寺派・龍源寺住職
松原哲明禅師は腎臓結石を流し出したそうですが、真偽のほどはわかりません。
人間が本来もっている自然治癒力を増幅することはあり得るかもです。





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