水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

2015年11月13日発行/北海道漁協系統通信6121号

2015-11-15 20:20:43 | 系統通信

えりもで漁業とゼニガタアザラシを考える集会
定置網の食害深刻、サケ以外の魚種、周辺地域に被害広がる
漁業と共存するため増えすぎたアザラシの頭数調整やむなし

サンマの水揚げ状況(10月末)
全国8万5千トンと45%減、魚価高で200億確保
北海道5万5千トン(37%減)、137億円(11%増)

渡島・胆振スケソウ刺し網の漁獲状況(11月7日現在)
渡島1,888トン、胆振1,942トンの計3,830トン

釧路管内ねこ足昆布値決会は前年同で妥結

釧路西部海域毛ガニかに篭漁
白糠で毛ガニのキロ単価が7,600円を超える
十勝管内の試験操業は22日以降解禁

ロシア極東地域カニ操業概況(11月02日)
西カムでタラバ2,860トン、TAC開発率56%


11月号の表紙写真は、胆振管内苫小牧港の水揚げ風景です

2015-11-15 12:23:15 | 月刊水産北海道

「資源管理の徹底に活魚出荷。高付加価値化で魚価向上」(文・写真 鈴木記者)

 

 苫小牧漁協では14年連続漁獲量日本一を継続中のホッキの漁獲可能サイズを殻長9㎝以上と定めたうえで、産卵期の5〜6月は禁漁するなど資源管理を徹底している。今年の夏漁(7月〜11月末)はキロ単価が前年を200円強上回り、10月末までの取扱金額は約2億4千万円と好調な漁が続いている。秋サケは数量金額ともに当初計画を達成。マツカワは活魚出荷を推奨することで魚価向上を実現させている。


月刊『水産北海道』11月号が出ました。 TPPの影響は? 北海道漁業は多難な秋に

2015-11-15 11:55:23 | 月刊水産北海道

 

 TPP交渉が大筋合意し、次々に詳細が明らかされる中、水産物は農畜産物に比べちょっと影が薄い。「影響は限定的」というのが政府の評価だが、関税はコンブなど海藻類を除き、ほとんどが撤廃され、最終的にゼロになる。「全部の関税がゼロになるまで長時間かかる。当事者は誰も生きていない」「マイナスを気にするより、プラス面を見てしっかり励め」といった政府首脳の声も聞こえてくる。

 しかし、水産物は農産物と異なり、もともと貿易のウエイトが高い。関税より為替変動の幅が大きいと指摘は事実だが、いつまでも円安基調が続くとは限らず、世界の水産物市場の需給変化によって一挙に輸入が増える局面はありうる。逆に、政府が主唱する「攻めの農林水業」による輸出振興が逆風に直面する事態も想定される。

 本当に国内漁業の基本政策は十分か。競争力向上につながる足腰を強くする政策が現在、効果を発揮しているとはとても言えない。もともと漁業に「バラマキ」政策を施してきた経緯はなく、公共事業も低迷を極めている。

 沿岸漁業者が求める担い手育成策(漁業後継者対策)にしても、28年度概算要求では「漁船リースモデル事業」を新規計上しているが、その予算額は3億円である。全国の沿岸漁業者に船価3千万円の中古船を20隻提供し、そのうち2分の1を国が負担しようという計画に、北海道では誰も期待していない。45歳未満の条件に当てはまる漁業後継者に中古船を与える(=循環させる?)発想がちょっと理解できないが、これなどはスキームを組み直して浜の実態にあった本来の担い手育成につなげるよう再考すべきだろう。

 生意気な話をしてしまったが、春はオホーツク海のホタテ、秋は全道の秋サケ定置網と今年は「爆弾低気圧」と称される気象現象に大きな打撃を受けた。災害に強い漁業の構築は掛け声だけでなく、何とかしなければならない問題となっている。

 同時に、北海道漁業はサンマやイカ、スケソウといった多獲性魚種が史上最低の不漁に悩んでいる。コンブも生産量の回復の道筋が見えてこない。

 業界幹部は「今年は年間100万トンの大台を切る」と危機感を表明しており、資源管理ばかりでなく、資源回復に必要な育てる漁業、増大対策の展開が必要になっている。

 以上、いろいろな問題、課題が出ており、11月号はそういう「多難な秋」を考えさせられる内容になっていれば幸いです。