昨年3月に発生した網走観光ホテルの8千リットル重油流出事故にについて、運営会社のブリーズベイホテルが漁協をはじめ関係者に事前説明せず、「バイオ工法」(バイオ資材による油の濃度低減措置)による処理を今月中にも始めると表明したことに対し、「具体的な方法や効果が不明」と全量撤去を求める地元関係者が反対し、11日に西網走、網走両漁協が市民に状況を報告する新聞折り込みチラシを1万枚配布した。
7月27日の網走呼人地区油流出事故に係る連絡会議で明らかにされたもので、ブリーズベイの津田忠則社長が「洗浄工法で検討したが、想定される必要経費が会社の負担能力を大幅に超過している」という理由でより安上がりな「バイオ工法」を提案してきたという。従来は汚染範囲内に漏れ出た重油の量を調べた上で「洗浄工法」で汚染度を浄化する方向で話が進められてきた。両漁協は「漏洩した重油の正確な所在と量が特定できないままバイオ工場を行うのは地中の汚染状況把握が困難となり、今後回収不能となる恐れがある」と断固反対し、網走湖の生態系や水産資源が将来にわたり影響を受けないよう重油汚染土の全量撤去を求める。
連絡会議は網走市市議会重油漏れ事故対策検討特別委員会とも意見交換し、8月14日には水谷洋一網走市長が道庁を訪れ、浜坂真一副知事にホテル側に丁寧な説明をするよう働きかけることを要請した。水谷市長は道や市が参画する連絡会議において専門家の提言を受けた上での議論が必要と述べ、浜坂副知事もホテル側に地元の意見を伝える意向を示した。