4月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:8108
ナイス数:3081
そして誰かがいなくなる (単行本)の感想
覆面作家・御津島磨朱李が建てた新築の洋館。こだわりの新邸のお披露目会に招待された作家・文芸評論家・編集者、そして名探偵。外は吹雪、外部との連絡は絶たれ事件が…。何と言っても舞台となったのが下村先生ご本人のご自宅!QRコードでリアルなお宅を拝見してため息。。楽しく読了。アナグラム(笑)
読了日:04月01日 著者:下村 敦史
ブラック・ショーマンと覚醒する女たちの感想
元マジシャンの神尾武史が営むバー「トラップハンド」。姪の真世は建築士に。殺人事件は絡まないが、武史のマジックで救われる女性たち。「リノベの女」と「続・リノベの女」が良かった!
読了日:04月02日 著者:東野圭吾
兎は薄氷に駆けるの感想
資産家の叔父を殺害した容疑で逮捕起訴された日高英之。取り調べは過酷で供述調書に署名捺印させられ裁判に。そこで無実を訴え、検察・警察を相手に息詰まる法廷劇が始まるが、英之の目的は自身の無罪を勝ち取ることでは無かった。英之の弁護をする本郷弁護士、その依頼を受けて事件の調査をする垂水と英之の恋人・千春。分厚さに一瞬怯んだが一気に読了。
読了日:04月04日 著者:貴志 祐介
ひなた商店街 (潮文庫)の感想
アクション俳優を辞め故郷の佐賀に戻った近江貴仁。叔母夫婦が営むおでん屋を手伝うことになるが、そこは寂れたシャッター通り商店街。残っているのはおでん屋を含めたった五軒。文具店に居候している女子大生・菜実との出会い、忍者装束でお客に対応したところから大きく変わってゆく商店街。上手く行き過ぎな感はあるが、そこは楽しく読めたのでOK。こんな風にインバウンドやSNSを取り込んで再生する商店街があっても良い。面白かった!
読了日:04月05日 著者:山本 甲士
まいまいつぶろの感想
不自由な身体に生まれたため、廃嫡を噂される長福丸(後の家重)。低い身分ながらただ一人家重の言葉を理解出来たため小姓として使えることになった兵庫(後の忠光)。「まいまいつぶろ」
と蔑まれながらも聡明で高潔な家重を支え続けた忠光。『もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば』素晴らしい作品、感動のうちに読了。お薦め!
読了日:04月06日 著者:村木 嵐
方舟を燃やすの感想
文章は読みやすく語られる時代は自分の人生と重なるのに、なんだろう読み終えてモヤッとしたものが…。1967年生まれの飛馬と戦後すぐに生まれた不三子がコロナ禍の子ども食堂で出会い、そこで生まれたものとは?不三子には共感出来ず。自分が信じたもの、それを信じ続けることの是非、角田さんは読者に問いかけるためにこれを書いたのだろうか。
読了日:04月08日 著者:角田 光代
有罪、とAIは告げたの感想
中国製のAI裁判官【法神2号】を試験導入することになり、新人裁判官・高遠寺円がテスト運用を担当することに。裁判のデータを入力すると実際の判決文とほぼ同じものを弾きだす驚異の精度の【法神2号】。そんな中で18歳の少年による父親殺しの裁判を【法神】にシュミレートさせることに。AIが弾き出した判決は…!うーん、まだまだ日本の裁判ではAI裁判官は導入されないと思うが、中国製と言うものはあり得ない。崎山さんの箴言と諫言が一番心に残った。
読了日:04月09日 著者:中山 七里
ゼロ打ちの感想
選挙の投票が締め切られ、開票が始まった直後に開票率0%に近い時点で当確を報じることを『ゼロ打ち』と呼ぶ。大和新聞社会部の記者・片山芽衣は衆議院選挙の報道センターに配属され、激戦区東京一区の担当になる。国会議員の秘書・中村は東京一区の新人候補の大学教授の事務所の応援に。片山、中村それぞれのパートで話は進むが、ゼロ打ちにまつわるあれこれより、隠された裏金問題や殺された都議の話の方が興味深かった。相場さんの渾身の作、読み応えあり。
読了日:04月11日 著者:相場 英雄
鼓動の感想
18年の引きこもりの果てに二人を殺害した草鹿秀朗。彼に殺害されたホームレスの老女は何者なのか?事件を追う奥貫綾乃刑事は殺された老女に自分の未来を重ねる。やがて明らかになる事件の真相、8050問題、引きこもりを食い物にする悪徳業者。親も完璧な人間ではないし、子どもも好んで引きこもるわけではない。現代の日本が抱える問題、重く受け止める読書に。
読了日:04月12日 著者:葉真中顕
春休みに出会った探偵はの感想
父子家庭の安住花南子は父の海外赴任を機に曾祖母・五月が経営するさつきハイツに入居。近所に住む同学年の根尾くんと様々な事件や謎に巻き込まれ(首を突っ込む)。暴走気味の中学生コンビとクールな調査員の今津。謎に包まれた今津氏の正体は最後に明らかになる。
読了日:04月13日 著者:大崎梢
四重奏の感想
放火事件に巻き込まれ命を落としたチェリストの黛由佳。由佳の演奏に魅了されていたセミプロのチェリスト・坂下英紀は、彼女の死の真相を探るため「火神」の異名を持つチェリスト・鵜崎顕の『鵜崎四十奏団』のオーディションを受けようとする。音楽を理解すること、演奏者も聴衆も、とても難しいことだと感じた。
読了日:04月14日 著者:逸木裕
はるか、ブレーメンの感想
3歳で母に捨てられ、祖父母に育てられた小川遥香16歳。祖母が亡くなり一人ぼっちになった遥香が出会った『ブレーメン・ツアーズ』の葛城。人が亡くなるときに見る「走馬灯」を描くと言う少し胡散臭いその会社。しかし葛城により、遥香には人の記憶を覗く能力があることに気付く。幼なじみのナンユウくんと共に認知症の老女・光子さんの走馬灯作りの手伝いをすることになる。後半で遥香を捨てた母のことが明らかになり、泣けた。人の記憶が見えるってキツいだろうな…。
読了日:04月16日 著者:重松 清
定食屋「雑」の感想
第1話はアンソロジー「ほろ酔い読書」で既読。沙也加は、ある日夫の健太郎から離婚して欲しいと言い出され家から出ていかれた。夫の行きつけだった定食屋『雑』でアルバイトをすることに。『雑』でみさえの作る大雑把で味の濃い料理を手伝い、常連客とのやり取りをしながら変わってゆく沙也加。みさえの来し方も含め、とても読みやすく面白かった。第1話では沙也加の頑なさで健太郎は息苦しいだろうと思ったが、話が進むとクズっぷりに腹が立つ。
読了日:04月17日 著者:原田 ひ香
望月の烏の感想
新たな金烏の座に就いた凪彦。その后候補の4人が登殿の儀に臨む。蛍・鶴が音・山吹・桂の花、そして落女として宮中で働く美しい澄生。山内を支配する博陸候雪斎(雪哉)。后選びの行方も、行方をくらました澄生も、先が気になって早く続編が読みたい。外界の動きも気になる。
読了日:04月18日 著者:阿部 智里
こまどりたちが歌うならの感想
親戚が営む製菓会社に転職した小松茉子。5歳上でハトコの伸吾は父の跡を継いで社長に就任したばかり。頼りない伸吾、理由あってパートとして長年働いているぶっきらぼうな亀田さん。パワハラ上司の江島と怒られてばかりの部下の正置。会社の古いルールを変えようと奮闘する茉子にも、前職での苦い失敗が。声をあげないと分かってもらえない。働く人たちへのメッセージ小説と受け止めた。
読了日:04月19日 著者:寺地 はるな
家族解散まで千キロメートルの感想
喜佐家には結婚するまで実家を出てはならないと言うルールがある。兄は既に結婚して埼玉に住み、長女と次男の結婚が決まり、それを機に古い家を壊し両親もアパートに入居することに。家の解体まであと3日に迫った元日、いつも家にいない父を除く家族全員で片付けをしていると倉庫から『青森の神社から盗まれたご神体」が見つかった!翌朝までに返却するということで青森へと向かうドタバタロードムービーかと思ったら最後は一転して家族論…。うーん、なんだろう、少しモヤモヤな読後感。
読了日:04月20日 著者:浅倉 秋成
山に抱かれた家 (小学館文庫 は 3-5)の感想
房総の海の近くの暮らしから群馬県西部の山間地域へ。縁もゆかりもない限界集落で古い家屋を自力で直し、長年休耕地だった畑に手を入れながらひとりで暮らし始める。気候も住む人々も異なる村でクセの強い住人との付き合いには不安が…。凪子が共に暮らすようになると、また新しい希望がうまれるかな?続編を待ちたい。
読了日:04月21日 著者:はらだ みずき
十字路の感想
雨降る夜、自宅前で刺殺された小学校教師。現場を目撃してしまった義理の娘。強盗殺人の線で捜査を開始する警視庁だが捜査は難航する。独自の視点で事件を調べる星野警部とバディの坪川。そんな折、殺害現場付近を自転車で走行していた大学生・椎野流夏の父親が毒殺される。何の関わりもない2つの殺人事件の根底にあった鬼畜たちの所業。天才的な絵の才能に隠されていた真実が切なかった。
読了日:04月22日 著者:五十嵐 貴久
成瀬は信じた道をいくの感想
成瀬が巻き起こすあれやこれや、巻き込まれる周囲の人々。ファンの小学生、成瀬を見守り心配する父、バイト先で出会うクレーマー(をやめたい)主婦、ともに観光大使になった女子大生、幼なじみの島崎の視点からの成瀬。「探さないでください」が一番面白かった。これからの成瀬を楽しみにして第3弾を待ちたい。
読了日:04月23日 著者:宮島 未奈
正しき地図の裏側よりの感想
第36回小説すばる新人賞受賞作。1994年1月、雪の降る夜、苦労して貯めた8万円を無職の父に奪われ、衝撃の言葉を投げつけられ、怒りを抑えきれず殴りつけ雪の中に放置して故郷から逃げた耕一郎。父を殺してしまったと思い、僅かな所持金を手に故郷から逃げ、ホームレスに。救いの手を差し伸べたホームレス。日雇いの肉体労働、屋台のたこ焼き屋、町工場の工員、出会いと別れを繰り返し、数年後に故郷に帰った耕一郎を待ち受けていた事実は?良かった、耕一郎、幸せになれ!
読了日:04月23日 著者:逢崎 遊
私、死体と結婚します (ハルキ文庫 さ 25-2)の感想
遠距離恋愛を経て婚約者の住む札幌に転居した七海は、婚姻届を出す予定の朝、夜勤から帰宅し婚約者・真悟の遺体を発見する。しかし、警察に通報もせず、予定通り婚姻届を提出する。4日後の月曜日迄遺体をそのままにして結婚したその理由は?う〜ん…相手のことを知りたいのなら、結婚する前にキチンと話し合うべきかと思ったり。もやっとした。
読了日:04月24日 著者:桜井 美奈
夢の終幕 ボーダーズ 2 (集英社文庫)の感想
警視庁SCU(特殊事件対策班)シリーズ第2弾。人気バンドFOTが松本のライブ終了後、ツアーバスごと消えた。八王子ICで高速を降りたあとの行方を、若手の最上が中心になり追ってゆく。マネージャーが遺体で発見され、メンバーたちは監禁された状態で見つかった。謎に包まれた事件が未解決のまま、SCUに持ち込まれた代議士秘書への脅迫状。全く接点がない2つの事件は思わぬ形で繋がった…。5人の能力が面白く、驚いたのは結城さんの「ガムドロップクッキー」😁
読了日:04月25日 著者:堂場 瞬一
無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記の感想
ある日突然余命宣告をされたら?もしも自分だったら?残された日々、それでも書くことをやめなかった山本さん。ひとり残されるダンナ様の心情を思いながらの読了。未読の山本さんの作品を少しずつ読んでいこうと思う。
読了日:04月25日 著者:山本 文緒
家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまでの感想
同居している実母の介護問題に直面しているタイミングでこの本を読めたことは良かった。来月連休明け早々に介護認定のために役所の担当者が来宅される。私の場合、同性の母を看ることになるけれど、著者の場合はお父さま。色々と大変だったと思う。ピンピンコロリ、コロリってそんなに簡単にいかないっていう現実を突きつけられた。
読了日:04月26日 著者:石川 結貴
spring (単行本 --)の感想
バレエという総合芸術、その神に愛された「萬 春」。8歳でバレエに出会い、15歳で海外へ。HALという天才を共に海外へ出た深津純、叔父の稔、幼なじみでバレエから作曲の道に進んだ滝澤七瀬が語り、HAL自身の回想を合わせて紡いだ物語。中性的な美しさ、スラリとした体型、観る人を惹きつけるその魅力。何作かバレエ公演を観た記憶から想像する。現実にHALの舞台を観たい、HALの虜になりたいと思ってしまう。傑作、お薦めです!
読了日:04月28日 著者:恩田 陸
読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:8108
ナイス数:3081
そして誰かがいなくなる (単行本)の感想
覆面作家・御津島磨朱李が建てた新築の洋館。こだわりの新邸のお披露目会に招待された作家・文芸評論家・編集者、そして名探偵。外は吹雪、外部との連絡は絶たれ事件が…。何と言っても舞台となったのが下村先生ご本人のご自宅!QRコードでリアルなお宅を拝見してため息。。楽しく読了。アナグラム(笑)
読了日:04月01日 著者:下村 敦史
ブラック・ショーマンと覚醒する女たちの感想
元マジシャンの神尾武史が営むバー「トラップハンド」。姪の真世は建築士に。殺人事件は絡まないが、武史のマジックで救われる女性たち。「リノベの女」と「続・リノベの女」が良かった!
読了日:04月02日 著者:東野圭吾
兎は薄氷に駆けるの感想
資産家の叔父を殺害した容疑で逮捕起訴された日高英之。取り調べは過酷で供述調書に署名捺印させられ裁判に。そこで無実を訴え、検察・警察を相手に息詰まる法廷劇が始まるが、英之の目的は自身の無罪を勝ち取ることでは無かった。英之の弁護をする本郷弁護士、その依頼を受けて事件の調査をする垂水と英之の恋人・千春。分厚さに一瞬怯んだが一気に読了。
読了日:04月04日 著者:貴志 祐介
ひなた商店街 (潮文庫)の感想
アクション俳優を辞め故郷の佐賀に戻った近江貴仁。叔母夫婦が営むおでん屋を手伝うことになるが、そこは寂れたシャッター通り商店街。残っているのはおでん屋を含めたった五軒。文具店に居候している女子大生・菜実との出会い、忍者装束でお客に対応したところから大きく変わってゆく商店街。上手く行き過ぎな感はあるが、そこは楽しく読めたのでOK。こんな風にインバウンドやSNSを取り込んで再生する商店街があっても良い。面白かった!
読了日:04月05日 著者:山本 甲士
まいまいつぶろの感想
不自由な身体に生まれたため、廃嫡を噂される長福丸(後の家重)。低い身分ながらただ一人家重の言葉を理解出来たため小姓として使えることになった兵庫(後の忠光)。「まいまいつぶろ」
と蔑まれながらも聡明で高潔な家重を支え続けた忠光。『もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば』素晴らしい作品、感動のうちに読了。お薦め!
読了日:04月06日 著者:村木 嵐
方舟を燃やすの感想
文章は読みやすく語られる時代は自分の人生と重なるのに、なんだろう読み終えてモヤッとしたものが…。1967年生まれの飛馬と戦後すぐに生まれた不三子がコロナ禍の子ども食堂で出会い、そこで生まれたものとは?不三子には共感出来ず。自分が信じたもの、それを信じ続けることの是非、角田さんは読者に問いかけるためにこれを書いたのだろうか。
読了日:04月08日 著者:角田 光代
有罪、とAIは告げたの感想
中国製のAI裁判官【法神2号】を試験導入することになり、新人裁判官・高遠寺円がテスト運用を担当することに。裁判のデータを入力すると実際の判決文とほぼ同じものを弾きだす驚異の精度の【法神2号】。そんな中で18歳の少年による父親殺しの裁判を【法神】にシュミレートさせることに。AIが弾き出した判決は…!うーん、まだまだ日本の裁判ではAI裁判官は導入されないと思うが、中国製と言うものはあり得ない。崎山さんの箴言と諫言が一番心に残った。
読了日:04月09日 著者:中山 七里
ゼロ打ちの感想
選挙の投票が締め切られ、開票が始まった直後に開票率0%に近い時点で当確を報じることを『ゼロ打ち』と呼ぶ。大和新聞社会部の記者・片山芽衣は衆議院選挙の報道センターに配属され、激戦区東京一区の担当になる。国会議員の秘書・中村は東京一区の新人候補の大学教授の事務所の応援に。片山、中村それぞれのパートで話は進むが、ゼロ打ちにまつわるあれこれより、隠された裏金問題や殺された都議の話の方が興味深かった。相場さんの渾身の作、読み応えあり。
読了日:04月11日 著者:相場 英雄
鼓動の感想
18年の引きこもりの果てに二人を殺害した草鹿秀朗。彼に殺害されたホームレスの老女は何者なのか?事件を追う奥貫綾乃刑事は殺された老女に自分の未来を重ねる。やがて明らかになる事件の真相、8050問題、引きこもりを食い物にする悪徳業者。親も完璧な人間ではないし、子どもも好んで引きこもるわけではない。現代の日本が抱える問題、重く受け止める読書に。
読了日:04月12日 著者:葉真中顕
春休みに出会った探偵はの感想
父子家庭の安住花南子は父の海外赴任を機に曾祖母・五月が経営するさつきハイツに入居。近所に住む同学年の根尾くんと様々な事件や謎に巻き込まれ(首を突っ込む)。暴走気味の中学生コンビとクールな調査員の今津。謎に包まれた今津氏の正体は最後に明らかになる。
読了日:04月13日 著者:大崎梢
四重奏の感想
放火事件に巻き込まれ命を落としたチェリストの黛由佳。由佳の演奏に魅了されていたセミプロのチェリスト・坂下英紀は、彼女の死の真相を探るため「火神」の異名を持つチェリスト・鵜崎顕の『鵜崎四十奏団』のオーディションを受けようとする。音楽を理解すること、演奏者も聴衆も、とても難しいことだと感じた。
読了日:04月14日 著者:逸木裕
はるか、ブレーメンの感想
3歳で母に捨てられ、祖父母に育てられた小川遥香16歳。祖母が亡くなり一人ぼっちになった遥香が出会った『ブレーメン・ツアーズ』の葛城。人が亡くなるときに見る「走馬灯」を描くと言う少し胡散臭いその会社。しかし葛城により、遥香には人の記憶を覗く能力があることに気付く。幼なじみのナンユウくんと共に認知症の老女・光子さんの走馬灯作りの手伝いをすることになる。後半で遥香を捨てた母のことが明らかになり、泣けた。人の記憶が見えるってキツいだろうな…。
読了日:04月16日 著者:重松 清
定食屋「雑」の感想
第1話はアンソロジー「ほろ酔い読書」で既読。沙也加は、ある日夫の健太郎から離婚して欲しいと言い出され家から出ていかれた。夫の行きつけだった定食屋『雑』でアルバイトをすることに。『雑』でみさえの作る大雑把で味の濃い料理を手伝い、常連客とのやり取りをしながら変わってゆく沙也加。みさえの来し方も含め、とても読みやすく面白かった。第1話では沙也加の頑なさで健太郎は息苦しいだろうと思ったが、話が進むとクズっぷりに腹が立つ。
読了日:04月17日 著者:原田 ひ香
望月の烏の感想
新たな金烏の座に就いた凪彦。その后候補の4人が登殿の儀に臨む。蛍・鶴が音・山吹・桂の花、そして落女として宮中で働く美しい澄生。山内を支配する博陸候雪斎(雪哉)。后選びの行方も、行方をくらました澄生も、先が気になって早く続編が読みたい。外界の動きも気になる。
読了日:04月18日 著者:阿部 智里
こまどりたちが歌うならの感想
親戚が営む製菓会社に転職した小松茉子。5歳上でハトコの伸吾は父の跡を継いで社長に就任したばかり。頼りない伸吾、理由あってパートとして長年働いているぶっきらぼうな亀田さん。パワハラ上司の江島と怒られてばかりの部下の正置。会社の古いルールを変えようと奮闘する茉子にも、前職での苦い失敗が。声をあげないと分かってもらえない。働く人たちへのメッセージ小説と受け止めた。
読了日:04月19日 著者:寺地 はるな
家族解散まで千キロメートルの感想
喜佐家には結婚するまで実家を出てはならないと言うルールがある。兄は既に結婚して埼玉に住み、長女と次男の結婚が決まり、それを機に古い家を壊し両親もアパートに入居することに。家の解体まであと3日に迫った元日、いつも家にいない父を除く家族全員で片付けをしていると倉庫から『青森の神社から盗まれたご神体」が見つかった!翌朝までに返却するということで青森へと向かうドタバタロードムービーかと思ったら最後は一転して家族論…。うーん、なんだろう、少しモヤモヤな読後感。
読了日:04月20日 著者:浅倉 秋成
山に抱かれた家 (小学館文庫 は 3-5)の感想
房総の海の近くの暮らしから群馬県西部の山間地域へ。縁もゆかりもない限界集落で古い家屋を自力で直し、長年休耕地だった畑に手を入れながらひとりで暮らし始める。気候も住む人々も異なる村でクセの強い住人との付き合いには不安が…。凪子が共に暮らすようになると、また新しい希望がうまれるかな?続編を待ちたい。
読了日:04月21日 著者:はらだ みずき
十字路の感想
雨降る夜、自宅前で刺殺された小学校教師。現場を目撃してしまった義理の娘。強盗殺人の線で捜査を開始する警視庁だが捜査は難航する。独自の視点で事件を調べる星野警部とバディの坪川。そんな折、殺害現場付近を自転車で走行していた大学生・椎野流夏の父親が毒殺される。何の関わりもない2つの殺人事件の根底にあった鬼畜たちの所業。天才的な絵の才能に隠されていた真実が切なかった。
読了日:04月22日 著者:五十嵐 貴久
成瀬は信じた道をいくの感想
成瀬が巻き起こすあれやこれや、巻き込まれる周囲の人々。ファンの小学生、成瀬を見守り心配する父、バイト先で出会うクレーマー(をやめたい)主婦、ともに観光大使になった女子大生、幼なじみの島崎の視点からの成瀬。「探さないでください」が一番面白かった。これからの成瀬を楽しみにして第3弾を待ちたい。
読了日:04月23日 著者:宮島 未奈
正しき地図の裏側よりの感想
第36回小説すばる新人賞受賞作。1994年1月、雪の降る夜、苦労して貯めた8万円を無職の父に奪われ、衝撃の言葉を投げつけられ、怒りを抑えきれず殴りつけ雪の中に放置して故郷から逃げた耕一郎。父を殺してしまったと思い、僅かな所持金を手に故郷から逃げ、ホームレスに。救いの手を差し伸べたホームレス。日雇いの肉体労働、屋台のたこ焼き屋、町工場の工員、出会いと別れを繰り返し、数年後に故郷に帰った耕一郎を待ち受けていた事実は?良かった、耕一郎、幸せになれ!
読了日:04月23日 著者:逢崎 遊
私、死体と結婚します (ハルキ文庫 さ 25-2)の感想
遠距離恋愛を経て婚約者の住む札幌に転居した七海は、婚姻届を出す予定の朝、夜勤から帰宅し婚約者・真悟の遺体を発見する。しかし、警察に通報もせず、予定通り婚姻届を提出する。4日後の月曜日迄遺体をそのままにして結婚したその理由は?う〜ん…相手のことを知りたいのなら、結婚する前にキチンと話し合うべきかと思ったり。もやっとした。
読了日:04月24日 著者:桜井 美奈
夢の終幕 ボーダーズ 2 (集英社文庫)の感想
警視庁SCU(特殊事件対策班)シリーズ第2弾。人気バンドFOTが松本のライブ終了後、ツアーバスごと消えた。八王子ICで高速を降りたあとの行方を、若手の最上が中心になり追ってゆく。マネージャーが遺体で発見され、メンバーたちは監禁された状態で見つかった。謎に包まれた事件が未解決のまま、SCUに持ち込まれた代議士秘書への脅迫状。全く接点がない2つの事件は思わぬ形で繋がった…。5人の能力が面白く、驚いたのは結城さんの「ガムドロップクッキー」😁
読了日:04月25日 著者:堂場 瞬一
無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記の感想
ある日突然余命宣告をされたら?もしも自分だったら?残された日々、それでも書くことをやめなかった山本さん。ひとり残されるダンナ様の心情を思いながらの読了。未読の山本さんの作品を少しずつ読んでいこうと思う。
読了日:04月25日 著者:山本 文緒
家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまでの感想
同居している実母の介護問題に直面しているタイミングでこの本を読めたことは良かった。来月連休明け早々に介護認定のために役所の担当者が来宅される。私の場合、同性の母を看ることになるけれど、著者の場合はお父さま。色々と大変だったと思う。ピンピンコロリ、コロリってそんなに簡単にいかないっていう現実を突きつけられた。
読了日:04月26日 著者:石川 結貴
spring (単行本 --)の感想
バレエという総合芸術、その神に愛された「萬 春」。8歳でバレエに出会い、15歳で海外へ。HALという天才を共に海外へ出た深津純、叔父の稔、幼なじみでバレエから作曲の道に進んだ滝澤七瀬が語り、HAL自身の回想を合わせて紡いだ物語。中性的な美しさ、スラリとした体型、観る人を惹きつけるその魅力。何作かバレエ公演を観た記憶から想像する。現実にHALの舞台を観たい、HALの虜になりたいと思ってしまう。傑作、お薦めです!
読了日:04月28日 著者:恩田 陸
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